第2話

魔王軍が攻めてきた。


魔物達が村を焼き払い人々に迫り来る。


俺は居ても立っても居られなかった。


都で覚えた稚拙な魔術で魔物に応戦こそするが焼け石に水のようなもの。


だがそれでもこちらに注意は惹きつけられた。しかし不意に魔物が幼馴染の両親を狙った。


幼馴染の両親は死んだ。


すると瞬く間に魔物達は引いていった。


そう魔物達の目的は初めから幼馴染の両親の殺害だったのだ。


俺は無力だった。


もはや職人の誇りなど、どうでもいい。ただ奴らを殺す力が欲しいと思った。そう聖剣使い達のように。


俺はそれから自分でも使える聖剣を作ろうと思った。たった一度村に来た聖剣使いより感じとったその聖剣の意思の根源を模倣する為に旅に出た。


来る日も来る日も自分がすり減らしてはいけないナニカを代償にしながら聖剣を模倣する


時に麒麟の角から


時に竜の逆鱗から


時に己の骨から


狂気なまでの聖剣を作り上げた


その道のりは決して良いものではなく自分が何者かわからなくなってしまっていた。


そして今現在、魔王軍に片腕片足でたった一振りの作り上げた聖剣で己身体1つで挑みにかかった。


魔王軍は嘲笑しか無かった。だが魔王軍は一人の大きな魔物を倒した瞬間、怒気を上げ一気に攻撃を集中させてきた。


だが、俺はもうヒトですら無かった。もはや感情を持たぬ殺人人形。


そこに意志はなくただひたすらに剣を振るい敵を倒す。


もう魔王軍と対峙して3日はたっただろうか。


俺は最後の砦の魔王と対峙していた。


「ふむ、聖剣使いかと思えば違うな。中々の男と言える。だがな私は聖剣で無くては倒せない。故に魔王なのだよ。」


だが俺は剣を振るった。


己の無き腕から生み出した剣を持ってして全身全霊、魂燃え尽きる一太刀を放った。


この聖剣の贋作は最後にたった1つの仕掛けを施していた。それは命の代償を持ってして聖剣をたった一太刀の間だけ完全模倣すること。


その一太刀で魔王は敗れた。まるで懐かしい友人に会った顔をして。


「そ、れは原初の聖剣か。そうか久々に命の剣を練り上げた者が現れたか。私が根絶やしにした悪しき慣習。命の代償により作り上げられる剣、それが聖剣だ。私は彼らを救いたかった、だがお前は彼ら以上に強い意志を捨てた。」


「キッカケは思い出せない。俺は俺の無力が嫌だった。だから無力に復讐する。」


「復讐は果たされてないか。ならば共には遺かせない。」


魔王は発光し俺を包んだ。


「ふ、と言っても最期の力だ。気休め程度でしかない。お前を愛する人が居ることを祈っているよ。」



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