第11話
私は今病院だ。
ついさっき、ホームルームが終わり、全速力で部室まで行き、朝比奈先輩に状況説明をし、パニックになってる先輩を引っ張ってここまで来たのである。
所要時間、30分。
……流石に疲れたし、一樹君除いて私と朝比奈先輩しかいない。
なぜ除いたのかというと、今就寝中だからである。
すやすや寝ちゃって可愛いなぁおい。
「遅くなったわね!」
言いつつハルヒさん入ってきた。
「別に待ってないけど…」
「はぁ…やれやれ」
言いながらキョン君も来た。
「…」
後ろから有希さんも来る。来すぎだろ、まぁそれが普通なのか。
「って、あれ?みくるちゃんもいるのね」
「あ…はい、さっき説明があって…」
こっち見られても困るんですが朝比奈先輩。
「古泉は寝てるのか?」
「うん、着いたときにはもう寝てた」
「それならいいんだが…」
「なんもなかったよーここまで」
「そうか」
……沈黙。
気まずいな、この空気……
「…ねぇ皆」
「なんだ?」
「誰かを本気で殺したいと思ったことはない?」
「それは誰だってあるんじゃないのか?」
「本気で」
「…俺はないな」
「そう。私はあるよ」
話を続ける。
「前の学校で…」
それを遮られる。
「いじめがあったから、か?」
「先に言わないでほしいな」
「どんなのだ?」
「典型的な奴だよ。悪口とか…あ、上履きに画鋲入れられたり机投げ飛ばされたりしたなぁ」
「…そんななんでもないような口ぶりで言われてもだな…」
「え、そお?」
コクコク、と朝比奈先輩が頷く。
「まぁそんな感じ!相談とは行かないかもだけど、こうやって自分で示さないと、ね」
「………」
目を覚ます。
なにも分からないままだ。
三人が誰なのか。SOS団の活動は何なのか。
「あ、おはよ」
「おはようございます。…2人増えているのはなんなんですか?」
「また他のSOS団団員だよ」
「そうなんですか…」
まただ。
既視感。デジャヴ。
僕はあの人―青みがかった銀髪の女の人を、知っている。
といっても、名前だけだが。
――長門有希さん。
「………」
それは顔に出さない。
とはいったものの、いつも僕はどんな顔をしているのかすら忘れてしまったからどんな顔をすれば自然なのか分からないのだが。
「あそういえば自己紹介忘れてた」
「確かにな」
「そうね、じゃあ私から行くわ」
「団長様の仰せのままに」
「SOS団団長、涼宮ハルヒ!」
「キョンだ」
「長門有希」
「朝比奈みくるです」
「……だよ」
「あ、よ、よろしくお願いします…でいいのでしょうか」
「そんな堅苦しくなくていいのよ!SOS団を結成してもう一年も経ってるのよ!」
「一年、ですか」
意外と経っていた。
この分だと、僕は二年生になるのか?
どう見ても一年生以下に見える人一人いるんですが。
「あ、朝比奈先輩は3年生だよ」
まさかの僕らより年上だった。
「あ…はい」
「さーて、古泉君の記憶喪失を治すためになにすればいいかしらねぇ?」
「さぁな」
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