第4話
――――――――――――――――――――
「来ないで」
「え?」
彼は、寂しそうな笑顔でそう言った。
「来ないで、ってねぇ…プリント届けに来てるんだけど」
「でもダメなんだ」
なにがあったよ。
「言えない」
また別の日。
「えーっと、来ないでって言ったよね?」
ヤバ、ちょっと怒ってる?
「許してよ、こうしないと教師がうるさいの」
「そーゆーことか」
そうです。
そして別の日。
「来るなって…」
どんどんなんか性格がアレな気がするなぁ…
「ごめんね、ここに置いておくから」
「……」
死んだ目してる。ホントになにがあったよ。
またまた別の日。
「一樹く…」
「来んな!!!」
「………えぇ?」
なにがあったんだろ。ヤバそうだな…
「…全く。」
一樹君は全然頼ってくれないよね。
「分かった。帰るよ」
このあと、私は引っ越すことになる……
――――――――――――――――――――
「こいつさー……だよねw」
「………」
「なんかいえよ!」バッシャーン
「…………」
「こいつ、変なやつと昔付き合ってたらしいよw」
「…付き合ってねーよ、あと」
「あぁ?なんだって?」
「私の友達にそんなこと言うな!!」
「ゴミが怒ってるww」
――――――――――――――――――――
「――…い、聞いてるか?」
「あ、ごめん…」
なんでこんなときに思い出してんだよ。
私はもう北高生だ。いじめなんてない。
「大丈夫ですか?」
「うん……ねぇ、一樹君」
「なんでしょう?」
「辛かったら無理せず言ってね。力になるから」
「それは心強い。ありがとうございます」
大丈夫だよ。だって――
「ここにいる皆、人間なんでしょ?」
「といいますと?」
「人間だから。ストレスとか、怒りとか辛さとかあるでしょ」
「………そう」
有希ちゃんが答えた。機械的な答え方だ。
人間だから。ストレスも感じるでしょ?
「……じゃあ、また明日な」
「うん、また明日…って明日土曜日じゃね?」
「あー説明してなかったか」
「えっと、不思議探検といって、町を回るんです。くじ引きで」
「来るだろ、というか来ないと団長様がお怒りになるからな」
「まじすか…」
「ええ、マジです」
「行くに決まってる!!」
私にとって初めての不思議探検は、明日。
ワクワクしながら眠りについた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます