T-+0000:00:00:00:00:00

<initialized/on/TYUKYO.Ltd>

</BIOS SRT/on>

<DB/system/ver1.02>

</comand: 00/standby power on>

</return/complete>

</auto/condition diagnosis technique system on>

</01>

</01>

</11>

<GPS/sysに微弱な反応ありこれより現在地の言語で表記かつ記録開始>

<メイン・システムに若干のエラーが存在するも再起動に問題なし>

<RUN/RUN/RUN>


 球体に八輪の立脚タイヤがついたロボットDB04は再起動した。正確な位置はわからない。

 八本の足はまだ縮こめたまま。

 システムの微細なエラーが気になるも、バッテリーの残量が何より気になる。残り少ない。

 充電のため早く光を受けたいが辺の状況を把握することを優先する。


<全周サーチ>


 球体の頭部がぱかっと開き小さなアンテナが飛び出す。

 ピーンと音源が小さく響く。

 アクティヴ・ソナー音波、電波、可視光、すべてを発しすべてを受信しあたりの状況を把握する。


<受信系の探査機器も作動>


 じっとしていて、なにか聞けたり、動きを感じられたり、温度の差を感じられるものはなにもない。

 無音で気温も低い。


<ここはどこだろう?>


 音波の反響による三次元的障害物の位置関係から大きめの筐体の中にいるらしい。

 人間が建物と呼ぶ建築物の一室らしい。

 人工衛星からの送受信が弱くGPSの位置情報がつかみにくい。

<error/バッテリー残量にエラー・シグナル/error>

 DB07の内部だけに響く警告音が響く。


<うわー大変だ>


 DB07は急いで八本の足を立脚させ各足先に付いているモーターを起動させる。

 キュルキュルキュルキュルと音を立てながら、部屋から廊下へ。

 廊下の先にエレベーターを発見。

 DB07はアクティヴ・ソナーの残響から自身が地下にいることを認識。

 ただし、地下何階かは不明。

 一本しかないマニュピレーターで丁寧にエレベーターの上昇のボタンを押すも無反応。

 もう一度押す。

 無反応。


<助けて、こんなところで擱座かくざして死ぬなんて大教祖アラン・チューリング様になんと申し開きをすればいいやら>


 DB07は廊下の反対側に階段があることを視認。急行する。


<階段は正直あんまり得意じゃないんだな>


 階段に到達すると、八本の足のうち先頭の二脚を少しモーター圧をかけて一段登らせる。続いてその二脚のサスを収縮。本体をにじり登らせる。これの繰り返しで階段を踏破していく。

 バッテリー残量は残り0.5%。

 元々予備電源で動いているので本当にヤバい。

 地上に出たはいいもの。巨大な障害物で扉が開かなかったり。八脚で踏破できない障害物があれば終わりだ。

 しかし、演算器はめげない。ただただプログラムの順序をこなしていくだけだ。

 DB07は一階まで登りきった。

 

 <なんと、光が、光が。御光ごこうが見えまするチューリング様>


 地上の一階では窓が吹き飛んだ後から光が指し込んでいた。どうやら日中らしい。

 しかも、廊下には白い小さな障害物が這いつくばるように落ちている。

 これらを避けるのは簡単だ。

 八脚のエアーによる収縮は必要ない。

 廊下の先には両開きの扉がある。

 ロックされていないことを願いつつ。

 白い物体群を避けつつピューと扉へ向かう。

 バッテリー切れの警告音はDB07の中だけでピーピー鳴っている。

 扉の前に到達。

 マニュピレーターで扉のノブを回そうとしたら、両扉がバターンと向こう側に倒れた。

 強烈な太陽の光が廊下にいや建物に差し込む。

 しかし、扉のその先は完全に破壊しつくされた瓦礫の山々だった。

 黒焦げになり白骨を晒す人の死骸が幾体か散見する。

 そしてその瓦礫の山と白骨の死骸は延々と視界が続く限りどこまでもどこまでも続いていた。

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