電車を待つひとへ

ねこみ

#0





毎日起きて、顔を洗って、

鞄を背負って、ホームで朝を眺めている。



行き先は違えど、スーツや制服がその人の今日の1日の過ごし方を物語っていた。


あの人は次の次の駅で降りることも覚えてしまった。



みんな毎日いろんな事がある。


怒られたら、落ち込むし自分を責める。

泣いてもいられない。

自分の感情を必死にコントロールして、必死に建て直して笑顔を造る。


面白くもないのに。



電車に乗ってる人たちもそうなのだろうか。


自分のことは自分が1番よくわかるっていうけど、こころは目に見えないんだ、誰にだってわかるもんか。


面白くて笑ってる訳じゃないんだ。



みんな、おんなじなのだろうか。



息を吸って吐いて過ごしていると

どうしようもないくらい沈んで、こころが真っ暗になることがある。

他人には話せないようなドロドロが渦を巻いて、深い深い海の底にいる最悪の気分だ。




辛いのは僕だけじゃないのだろうか。

こんなにも、こんなにも苦しいのに。

息が苦しい。溺れてしまうよ。



誰か。





明日が来なければいいのにって思う夜がある。




それでも目覚まし時計の音が鳴って、海の底から引っ張り出されるように朝が来ることを僕は知っている。



そしてこの朝が平等ではないことも、知っている。



顔を洗って支度をして

鞄を背負って、いつもの電車に乗って、いつもとおんなじ朝を観ている。



みんな必死に頑張っている。


誰かが見ていようと、見ていなくとも。



何のためかはひとそれぞれだ。

あなたの頑張る理由を僕は知らない。



あなたと共に喜ぶことはできないし、

励ますこともできない。


あなたの辛さや、繕った笑顔に気付くこともできない。



だけど、



「毎日、本当に頑張っている。」






さて、今日も顔を洗って

鞄を背負って電車を待つとしよう。



いってらっしゃい。

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