第5話

リスのように頬にたくさん食べ物を詰めている彼女の愛らしさはリスなんて超えてべりべりきゅーてぃってぃである。

昼休みに彼女は母親特製の弁当を頬張って、そんな彼女に癒されるのは私だけではなく彼女の周りの友人たちも柔らかな表情でいる。

他に人がいない屋上で影蛇の目を借りて彼女の様子を一部始終観察する。これもまた立派な仕事である。

会話は聞き取れないが、彼女たちの他愛もない話を盗み聞くというのも野暮というものなので割愛。

彼女の頬についている米粒を取ってあげたのは山川緑。性格はまさに大和撫子そのものであり、その年には似合わない落ち着きと色気はなんともムラっとさせるものである。

結婚してないけど、未亡人感があるんだこれがまた。

緑の正面で2人の様子に呆れているのは花田飛鳥。現魔法少女の中でもトップを争う実力を持ち、男性にも負けないタフネスを持っている。しかし顔は美人そのものであり、これまた女性にモテる。案外彼女はいじらしい。

この3人がこの地区の中の魔法少女たちであり、私が担当する魔法少女たちだ。

「今日も相変わらず私の魔法少女はかわいい」

「白銀さまぁ!!土産に熊とってきたぜ!」

「えっなにやってんの!?鷺〈さぎ〉君!!」

私の隣で叫んだのは部下の一人である鷺庄之助。気性がこの通り荒く、そしてすぐ何かしら殺したがる。本当に目を離せない危険人物だ。声もでかく、体もでかい。

正直他の幹部に任せたいのだが、彼自身が私の下を希望しているためなかなか切り離せない。

彼は背負っていた熊を私の目の前で下ろし、期待した顔で見つめてくる。

なんや褒めろってか、私は熊持ってこいなんて一言も言ってないし、そもそも熊もらってもただただ困るだけなんだが!

しかしその心のまま言うときっと彼は悲しむし、まずなにより暴れてあたりを壊してしまうだろう………

「あ、ありがとう鷺君…私はなんて素晴らしい部下を持ったんだろう!白銀感激ー…」

「そうか!!よかった!もう1体持ってこようか!?」

「いや、いいいいいい。ほんといいから。それよりやってほしいことっつーか今日の仕事ね!仕事やってもらうから!」

ほんと熊もう1匹とかなんの罰ゲー?

「それでは鷺君、詳しいことはこの紙に書いてるけど大まかな流れとしてはまずね、いつも通り魔法少女たちにちょっかいかけてきて」

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