第3話

「ほぎゃ〜〜なんで私毎朝毎朝遅刻するんだろう!」

「おめ、ばかだな」

「鹿に馬鹿っていわれだ〜〜!!」

「うるせ、とっとと走れ」

「あ〜〜ん!」

かっかわ…かわい!!ほんと毎朝毎朝なんで遅刻しちゃうのかな??は〜〜〜〜んけどそう言うドジなところというか間抜けなところがほんとたまらない、胸がきゅんきゅんどころかぎゅんぎゅんする………!!!

軽快どころか、風のように走っていく彼女の後を追いながらあまりの可愛さのあまりに胸が苦しくなってしまう。

「おめ、次遅刻したら確か補講入るっていわれてたべ」

「うそうそやだーーー!」

泣きべそをかく彼女に追い打ちをかけるのはパートナーである鹿の魔法生物である「カッシー」だ。(この名前は彼女が名付けた、なんともださかわいい)

縮小化して彼女の桜色の頭に乗っているその姿は誰が見ても可愛いというだろうが、その言動は正直可愛らしいとは言えない。むしろあれは生意気とも言えるものだろう。

独特な訛り方でいつも彼女を叱っている彼のポジションというものはいつ見ても羨ましくなる。しかしそう言うポジションになるのもまたなんか違うんだよなぁ…

「あっ!!門待って〜!閉まらないで〜〜!!」

彼女の後を追うという至福の時間はあっという間で、いつのまにか星宮学園に着きそうになったために、私は使い魔の影蛇を使って教室に滑り込んだ。

3階の3-Aの教室の隅の椅子に座り、門の方を見下げる。

声はあまり聞こえないが、門番に懇願している彼女の姿を見ていると自然と言っている言葉が分かってくる。

きっと潤んだ瞳を見ると、自分ならなんの躊躇もなく彼女を門の中に入れてしまうだろうが、門番の彼はそうはいかない。

というか、彼は魔物であり私たち側の者であるから、そのことも極まって彼女をなかなか中に入れてあげないだろう。

彼女は門外に叩き出されると、大きく泣き崩れてその場でへたり込んでしまった。

「…っふ」

本当に、彼女はかわいそうで可愛らしい。

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