第3章 那須川家

第6話 《前半・美涼の朝は早い》

※時系列が少し戻ります※





早朝。

私がしていることといえば、隣の家を覗くこと。その為に、この家を…譲ってもらったのだから。もちろん、財力コネでね?

なんて言ったかなぁ…確か、坂本さんって方だった気がするわ。

この家は住むことは目的としていないけれど、元々一家族が居ただけあって、ちゃんとしているのよ。一階は壁が無くて、仕切り板で部屋割りを自由にできるみたい。この私が来てからはフルオープンのままだけど。

二次創作とか、時々サークル仲間ファミリーを招いたりするからね。

真ん中には螺旋階段みたいな木製の階段があって、2階は各々の部屋になってるの。

1番使ってるのは……やっぱり


隣の家の…とある部屋がよーーく見えるところね!!


けど、真琴も…真琴よね。

てっきりバレてると思ってたんだけど、全然だもの。

あっ、真琴と言えば……

そういえば、真琴の義母さんから連絡が来てたんだわ。

えーと……?

ちょっと何を言ってるか分からないけど、要するに『女装した真琴と、二人っきりで





ぇえええええ!!!!!

『女装した真琴と、2人っきりでスイーツ店に行ってきて』ですって!!!



※※しばらくお待ちくださいませ



ふぅー…落ち着けたわ。

ちょっと動揺しすぎたわ。

て言うか、愛璃さん。なんでこんなお話を?少し聞いてみた方が良い気がします、私の高揚感的にもですけど。

返信帰ってきました!


『これから起こることを見てて』


えと?

意味が分かりませんよ、これ。

もしかしてなんだけど、バレてるってことなの?

ピーピーピー

少し控えめそれでいて私にしか聞こえないように、セットしていた電波時計連動タイマーがなった。

とりあえず、まずは観察よ……観察。


寝起きの真琴…ゃっぱり可愛い。

ほら、猫みたいに背筋伸ばしたりして。

あんなに色気出しておいて、異性だっていうんだから罪よ…本当に。

誰か入ってきたわね、あの格好は間違いなく愛璃さんよ…格好っていうより何も着てないんですけど。

あ、四方固め。

あ、苦しそうな顔。

はぁ〜、なんでなんでなんで……なんで!

同性じゃないでしょう!!

…………………。

…今、目が合ったような。

…確かに近いけど、観察用の隠しカメラじゃなくて、、、私のいる部屋。

くっ、欲張った昔の私。

双眼近距離視界拡大機エムレス version5.2.11のレンズで識別されちゃったのよ。

バレてたのが本当なのは否めないみたいね…

見てなさいって、さっきのあれのこと?

タイミングを図ったかのように、着信が来る。

もちろん、愛璃さんから。


『…ね?悪い話じゃないでしょ?』


真琴とか皆は、愛璃さんは天然がすぎる、って言うけど……私には到底思えないわ。

断る理由もなかったけど、更に断りずらくなってしまった。

よし!服を用意しなければ!

2人っきりで街に出掛けられる服を!!




観察を始めたのは、小さな思いでした。

真琴が学校に来なくなったから。

ただただ、心配だったから。

そんな理由だったと思います…でも、いつの間にか、楽しくなってしまったんです。

……私だけが知っている。

……私の、真琴。


はぁ…私もやっぱり、お父様の血が流れてるのかしら。

娘の成長を記録するためだ、とか言って…身体測定をさせ、その結果を全て伝えさせる。

私は嫌になって、お父様を………。

まぁ、この話は後々に。

あんなに可笑しい、嫌だと思っていた、

お父様と同じようなことをしている私も

また、いつか反旗を立てられるのか…

まぁ今は、今を、楽しみましょう!!

今なら思えるの、死んでもいいって!!!

デート…上手く行けば、そうなるわよね?!




斯くして、美涼はデート?へと邁進していく。

真琴の母・愛璃に何がバレているのか…朧気なまま。

真琴は何も気づいていない事も分からずに。


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