第7話 玄人(徒手空拳)の独り言。


 あの後、更に話し合いの結果、1日置きでは、咄嗟の判断が必要な時に齟齬が生じて周りに勘ぐられる恐れがあるので(今更ではあるが)基本、女性体じょせいたいなのでハル主導視点で生活してもらい、早朝の徒手空拳の訓練&筋トレは俺、夜のお散歩(全力疾走&遠吠え)はエルフの管轄とした。


 まあ、今まで苦でしかなかったマナーやダンス、勉強全般を全てハルが受け持ってくれると言うので、それはそれで俺としては大変助かる訳だ。



 俺は好きな格闘の訓練と新技の特訓で気持ちよく汗を流した後は、ハルが後を引き受けてくれるので(汗を流すために風呂に入る為)心地よいまま意識を落とせるという塩梅だ。


 夜はどうしてるかは知らんが…。



 日に3度も風呂に入る綺麗好きというか風呂好き?に認定されつつあるのだろうか?


 メイド達も付き合わされてご苦労な事だ。



 まあ、ハルには負担が多少かかるだろうけど、朝からサッパリ出来るし、念願の後ろ指さされない憧れの貴族生活だ、お互いWinWinウィンウィンということで、是非とも楽しんでくれ。


 意識が落ちている間や深奥なかで徒手空拳の新たな技を考えて編み出したりしている時も、ハルは何だかフワフワと嬉しそうだ。


 そんな感覚が俺たちにも伝わってくる。



 こんな事なら、もっと早くこの生活パターンを取り入れておけば、ハルもストレス溜めずに学院で沢山友人を作れたかもだし、俺もあんなに長く、牢獄の様な苦痛の学院生活を何年も長く過ごさなくて良かったのではと、かなり後悔してたりするが、今更なのでこれから楽ちんなスローライフ(俺的な)を堪能する事にした。


 これも、俺がアイツをぶっ飛ばす事に固執した弊害なのだろうけど、だけど、アイツを見つけたら必ずぶん殴る為に研鑽を止める訳には行かなったのだ。



 それ程までに俺はアイツキューブを許せなかった。


 アイツ絶対一人でも、あの魔獣倒せただろう!



 それなのに、俺たち拳聖チームを囮にしやがって、おかげで俺たちは全滅だ!


 アイツキューブ以外は!



 俺は、何だかんだこんな形でも生きてるが、他の奴らはもう…。


 だから、ここで着実に力を蓄えてアイツキューブをぶっ潰す為の有効な時間が出来たのは本当にラッキーだった。



 もちろん、緊急時には何時でも精神を入れ替えられる様、呼びかけの合図は決めてある。


 基本、徒手空拳の技の考察で、その合図に俺がもしも気が付かなくてもエルフが、何時も寝てるだけなので、俺に物理的?に知らせてくれる予定になっているから、あまり問題はない筈だ。



 エルフ、ちゃん気づくよな?


 少しばかり不安だが、エルフはハルと仲が良いから、問題なく意思疎通が出来るだろ。



 俺は無理だが…。


 どう聞いてもワンワン言ってるしか分からん。



 なんでハルはエルフの言語を理解してんだ?


 こればっかりは、マジで謎だな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

目が覚めたら、結婚予定の彼女の子供でした。 no.name @fk2310

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る