彼の家
引っ越しはすぐに行われた、というか当日に終わった。
家にあったものをほとんど全部雪斗が例の四次元ポケットみたいな魔法で収納して、そのまま彼の家に持ち運んでくれたのだ。
手続きとかはやってくれるというかやらせろと言われたので任せる事にした、よかったのかとは思うけど急な事で混乱していたから押し切られてしまった。
雪斗の家は普通に豪邸だった、びっくりした、部屋がいくつもあった。
でも住んでいるのは彼一人だけで使用人とかも雇っていないらしい、贅沢だなあブルジョワは。
なんでか知らないけど一番日当たりのいい部屋を使わせてもらう事になった、えらい広い部屋なんだけど本当にいいのだろうか?
それでもそうしてくれと頼まれたのでとりあえずこれでいいのだと納得する事にした。
何もしなくていいとは言われたけど、それはそれで自分にとって良くないと思ったので家事だけはやらせてもらう事にした。
でも料理だけは自分がやると押し切られてしまった、なんかハマったらしい。
そのあとは私が主人で彼が奴隷だった頃とあんまり変わらない日々が始まった。
変わったのは住みかと彼が料理を作るようになったくらいと言い切ってしまっていいくらい、変化がほとんどなかった。
それでいいのかと思ったけれど、そうしたいと言われたのでとりあえず納得する事にした。
何かがおかしいなと思い始めたのは3年ほど経った頃だった。
彼は私を外に出したがらなくなった、どこかに行きたいというと必ず渋る。
確かに忙しいっぽいから私なんかに割く時間なんてないのかもしれないけど……そういう意味ではない渋っているのではないような。
なんというか説明しにくいのだけど。
それからご飯を食べるときにもちょい違和感。
彼が作るご飯はどれもとても美味しいから、いつも美味しい美味しいと食べているのだけど、私が食べているところを見る彼の笑顔が……ちょっと怖い?
いやなんかちょっと異常なほど喜んでるように見えるんだよなあ……きのせい?
そんな違和感を今更のように持ち始めた頃に、彼はそれを差し出してきた。
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