奴隷とお買い物

 翌日、目覚まし時計で普通に起きて、朝ご飯にはちみつトーストを食べて色々片付けをしてから街に出た。

 昨晩はすっきりと晴れていて乾燥していたから洗濯物もすっかりと乾いていた、奴隷君には元のサイズに戻ってもらって元の服を着てもらった。

 シンプルな服装だったので街中でもそんなに目立たなかった。

 行き先は最寄駅の二つ隣の駅にあるデパート。

 そこで色々と必要なんてものを買い揃えた。

 途中で宝くじ一等を当てた私を僻んでる不審者から二回ほど襲撃されたけど、奴隷君がさくっとあっさり撃退してくれた。

 歴代最強は本当であるらしい、何があったのかよくわからないうちに気づいたら襲撃者が沈んでいた。

 そういうトラブルに見舞わられたもののそれ以外は大方順調に終わって、最後に本屋に寄ることになった。

 色々と買ったけど荷物は全部奴隷君が空間系のスキル持ってたのでそれで持ってくれている。

 早い話が大昔から愛され続けている某国民的アニメの四次元ポケットみたいなのでスキルなんだけど、これ結構高等技術で使える人滅多にいないらしいんだよね、私も初めて見た。

 最強な上に便利なスキル持ってるとか、超有能だな。

「あった、あった。よし次は人名辞典」

 本屋に寄ったのは人名辞典を手に入れるというのが第一ではあったものの、じつは今日発売の新刊を買うためでもあった。

 楽しみにしていたシリーズの最新刊、読めるのは色々作業した後になりそうだけど楽しみ。

 人名辞典の方もコーナーがすぐに見つかったので適当に見繕う。

「これでいい? それともこっちがいい?」

「どっちでも、君が好きな方で」

「じゃあこっち」

 より分厚い方を手にとってレジに並んで本を買った。

 その後は普通に帰ろうと思ったら、いつの間にか空が雲で覆われていて、白いものが降っていた。

「あ、雪だ。初雪だ」

 久しぶりに見た白にちょっとだけテンションが上がった。

 傘を持っていなかったのでデパートにもどって傘を買って、帰った。


 家に帰って着たので雑務を終わらせて夕御飯を食べる。

 今日はカレー、というか今日こそカレーだった。

 人参とじゃがいもとエリンギも買ってきたのでちょっと具沢山になった、うまし。

「美味しい?」

「おいしいよ」

「ならよかった」

 ありふれた会話をしてそれ以降は黙って食べ続け、ごちそうさまをして食器の片付けをする。

「何か手伝うことはない?」

「大丈夫」

 ニートだからせめて家事くらいやらないとどんどん怠惰になりそうだから、自分でできることはなるべく自分でやろうと昨日決めたので、本当に辛い時以外は頼らないことにしたのだ。

 だからテレビでも見ていてほしいと言って、片付けをした。

 それにこういう雑務は孤児院時代に叩き込まれているのでそれほど苦ではないのだ。

 もうすでにあの孤児院はないし一番お世話になった人ももういないので、天国か煉獄か地獄にいるであろう彼女に心の中でだけ感謝しながら作業を続けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る