奴隷と眠る

 その後は風呂に入ってもらってる間に片付けして、奴隷君の取扱説明書トリセツにざっと目を通して自分も風呂に入ってついでに風呂掃除もして、洗濯も終わらせてから寝ることにした。

 取扱説明書トリセツによると奴隷君は特殊な種族で、肉体をあらゆる物質に変化させる&ほぼ無限の再生力を持つとんでもびっくりな体質であるらしい。

 なんか金とか宝石も量産できるって書いてあった、宝石は見るの好きだからちょっと気になるけど、お金には幸い困っていないので特にそういうことをやってもらう必要はなさそうだ。

 基本的には肉体の超強化とか武器の製造とかそっち系は使ってもらうことになりそうだ。

 奴隷君にはゆっくりするように言ってあったのでその時間で彼の性能をざっとだけ理解した、詳しくはまた今度読むか本人に聞いてみようと思う。


 服とかどうしようか私のじゃ絶対サイズ合わないよなと思っていたら身体の大きさも変えられるらしいので、今日は私の替えのパジャマを着てもらうことにした、下着だけは我慢してもらうことになったけど。

「と、いうわけでちゃんと掃除機かけたから今日はこの布団で寝て欲しい」

 といいながら布団を指差す。

「君はどこで寝るの?」

「おこたで寝るよ」

 すでに大きめのクッションを仕込んでおいたのでそれほど寝苦しくはないだろう。

 それに今日だけなのだ、大したことじゃない。

「普通逆じゃない?」

「いいんだよこれで。私がそうしてもらいたいからそうするの」

「……こっちで一緒に寝るとかは?」

「いや狭いし。というか同性ならともかくあったばかりの人と同じ布団、ってのは嫌だろう?」

 私は割と貧乏な孤児院暮らしだったからそういうのあんまり気にしないけど……奴隷君は奴隷といっても元々あんな高級なとこにいたんだし、多分平民な私よりも余程ブルジョワな生活してたっぽいし。

「……じゃあ同性で狭くなければ構わないの?」

「んー? まあそうだね」

「わかったよ」

 と言った奴隷君の身長が急激に縮んだ。

 サイズ的にはお子様サイズ、多分4歳児くらい。

 パジャマのズボンと下着がずり落ちてしまっているけど、シャツの方が膝上くらいまで隠してくれてるからギリセーフ。

「ほわっ!!?」

「小さくなって女の子になったよ、これでいい?」

「ひえそんな小ちゃくもなれんの…………ん? 女の子?」

「性別変えるくらい大したことじゃないから、ほら」

 ピラッと奴隷君(ちゃん?)がシャツをまくった。

「……っ!!?」

 とっさに目をそらした、見えちゃったけど。

 ツルッとしてた、なかった。

「どうしたの?」

「は、恥じらいとかそういうのないわけ!!? びびびっくりしたんだけどさすがに驚いたんだけど!!?」

 顔が赤くなる、いくらちびっこサイズでもそこを急に見せられるとビビるのだけど。

「ああ、ごめんね。でも確認するならここが一番わかりやすいと思ったから」

「そうだけど……そうだけどさ……!!」

「これなら問題はないだろう? 奴隷的には主人を差し置いて自分だけ布団で寝るっていうのはどうかと思うし……今日は寒いから、風邪とかひかれるのも困るし」

「そ……そう? そこまでいうなら……そっちで寝るけど……」

 と、いうわけで布団で寝ることにした。

 ちょっと離れた位置で横になる、もう少し真ん中によればいいのにと言われたけど、それは遠慮しておくことにした。

「寝相とかいびきとか寝言とかはあんまないと思うけど、煩かったり邪魔になったら叩き起こしてね」

「………………わかったよ」

 何故か変な間があったけどわかってくれたみたいなので安心する。

「じゃあ電気消すよー。おやすみ」

「おやすみなさい」

 手元のスイッチで照明を消して、そのまま寝た。

 疲れてたからか割とあっさり眠りに入れた。

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