第19話

「――で、大体話したかな」


 必然、優司に電話をすれば、欠席の理由を尋ねられてしまう。何とか誤魔化そうとはしたのだが、彼があらぬ方向へ妄想の翼を広げそうになったため、これまでのことを包み隠さず話す羽目になってしまっていた。


『ぽかん、としか言いようがないな』


 電話口から聞こえてくる優司の声に苦笑する。それはそうだろう。


「信じられないか?」

『いや、信じるさ。長いつき合いだ。全ての嘘を見抜けるとまでは言えないが、そんなあからさまに嘘っぽい荒唐無稽な話でお前が嘘をつくとは思えないからな』

「そうか」


 その辺はやはり親友、か。

 改めてそれが実感できて、徹は何となく嬉しく思った。

 自分の信じて欲しいことをちゃんと信じてくれるのは心強いものだ。


「でも、優司が俺を殺す、なんてなあ」

『ああ、全く酷い話だ。そんなにみみっちい奴かね。俺は』


 本気で怒っている風の優司は、しかし、どこか納得を含んだ口調で続けた。


『でも、実際のところ、その、森羅だったか? 昔のお前はその並行世界とやらのお前みたいだったよ。大概のことはできたし、全てにおいて俺より上回っているように感じられた。妬んでも不思議はないくらいにな。こういうのが天才なんだと思っていたよ』

「いやいや、それは、さすがに買い被り過ぎだろう」


 優司の言葉が度の過ぎた謙遜のような気がして、半ば呆れて徹は笑ってしまった。

 長年のつき合いから彼の口調に嫌味の色は全くないことが分かるので勘違いしないが、他人ならそんな過剰な謙遜は嫌味だと思われかねない。

 確かに小学校の低学年の頃は文武共に同じレベルぐらいだった気もするが、優司よりも上回っていると思ったことは、ただの一度たりともないのだから。


「それに、そうだったとしても十で神童、十五で才子、二十歳過ぎればただの人、なんて諺もあるし。保てなければ一緒じゃないか」


 その諺は何も本人の堕落だけを表している訳ではない。

 幼い時は社会の範囲が狭く限定されているため、その平均より多少上回っているだけでも天才とちやほやされもする。

 しかし、次第に成長し、社会が徐々に拡張されるにつれて、本当の位置が分かってくる、ということでもあるのだ。

 そもそも、子供レベルの天才など、教育者の想定する範囲における上位という意味でしかない。

 エジソンが子供の頃は馬鹿だと評されたように、真の天才は凡人の想定できる程度の頭のよさとは次元が違う才能を持っているのだ。


『まあ、そういうことにしておくか。でもな。おじさんが亡くなってから、お前がどこか変わってしまったのは確かだ。そして、それを見て何となく分かった。こいつも俺と同じぐらい弱さを持っている、ってな』


 優司の弱さなどと言われても、それこそ徹には想像することなどできなかった。

 自分の弱さなら正しく今日、実感したばかりなのだが。

 それをそのまま言葉にして伝えると、優司は心底おかしそうに笑った。


『人間、誰しも不完全なんだから、純粋に強いだけの奴なんかいる訳ないじゃないか。そもそも、俺なんか本当に弱っちい奴だったしなあ。何せ、昔は何でもできたお前のようになりたかったんだからな』

「おいおい、冗談言うなよ」


 正直、現状を鑑みると悲しくなってきてしまう。


『冗談なんかじゃないさ。そして、それは弱さなんだよ。誰かを目指しているってことはさ。既にその誰かに屈し、敗北している弱者ってことなんだ。人間誰も自分以外の何にもなれやしないんだからな。お前もおじさんみたいになろうとして、その目標を失ったせいでぐだぐだになったんだろ?』


 先程の里佳との会話まで逐一話した訳ではないので、それは優司自身が昔の徹の素行を見て思ったことなのだろう。

 やはりつき合いが長いだけのことはあると言うべきか。


『別世界の俺なんか特にそうみたいだけどな』


 その言葉と共にばつが悪そうな優司の嘆息が耳元で聞こえた。


『その世界のお前だって何かしら弱さの一つや二つは持っていたはずなのに、それに気づけなかった訳だ。勿論、徹自身がそれを誰にも見せようとしなかったせいでもあるだろうけどな』


 優司はそこで一度言葉を区切り、一つ間を置いてから続ける。


『多分、それは守るべき妹がいたからなんじゃないか? その世界ではおばさんは死んで、妹がいる。だから、常に強くあろうとしたんだろうな』

「……かもな」


 あの家族思いの妹、佳撫が傍にいるなら、確かに自分も無理をして彼女の前では強くあろうと思ってしまうかもしれない。

 弱さを見せて欲しい、と言ってくれるからこそ。

 そうは思っても既に弱いところを多々見られているので全く今更だが。


『別世界の徹、シスコン疑惑、だな』

「へ、変なこと言うなよ」

『別にお前のことを言っている訳じゃないだろ?』

「それは、そうだけど……」


 森羅の彼の強さをその一言で断じられると何となく哀れに思える。

 それ以上に、徹は自分自身にもそうなる芽がありそうな気がして、何とも言えない気分になってしまった。


『ま、話は大体分かったけどな。それで、お前はどうしたいんだ?』


 その問いに少しの間沈黙する。

 即座にはっきりとは答えられない質問だ。

 その答えは自分には相応しくない気がして。


「……素人が剣の達人に勝つ、ってのはやっぱり無理なのかな」


 笑われるのを覚悟でその分不相応な望みを言う。

 いつか文武両道と評した通り、優司は高校で空手部に所属しており、その腕前も全国クラス。そんな実力者だからこそ、そんなことは不可能だと笑うはずだ。


『また戦うつもりなのか? 後の処理はあっちの副会長がするって言ったんだろ?』


 しかし、優司は呆れたように言うだけで、笑ったりはしなかった。


「正直、まだ分からないし、あれとはもう戦いたくない。でも、やるだけのことはやっておかないと捨て切れないし、徹底的に否定されれば捨て易くなるからな」

『後腐れなく、いや、後腐れはあっても納得して終わりたい、か』


 随分とネガティブな感じの終わり方だが、現状ではこれ以外のエンディングは正直思いつかない。

 漫画やら小説やらでは、ここから大逆転しなければならないのだが。まあ、現実ではそう上手くいくものではないだろう。


『まあ、そうだな。剣の素人が剣の達人に剣で勝てるはずがない。こんなことは子供にも分かることだ』


 優司は特に剣という言葉を強調しながら言った。


『でもな。剣の達人は無敵じゃない。四方八方から銃撃されりゃ死ぬだろうからな』


 これは格闘技の世界チャンプだろうと同じことだ、と優司はつけ加えた。


「まあ、それはそうだろうけどな。でも、多分それは無理だ」


 異常復号体としての真の姿となった森羅の優司を脳裏で思い描き、そう結論する。

 普通の人間であればそれで済むのかもしれないが、相手が相手なのだ。通常の銃程度の威力では恐らく少し体が削れる程度で、すぐに再生してしまうだろう。

 そもそも銃など一介の高校生が手に入れられる訳がないし。

 あるいは銃の代わりに、遠距離攻撃が可能な符号呪法で攻撃するというのも考えられるが、それは既に二週目の血戦で実行されて失敗したと思われる。

 符号呪法を打ち消す村正の特性によって。


「一対一でも簡単に勝てるぐらいの策が必要だと思う」


 とは言え、別に態々一対一である必要はないだろうが。

 しかし、実際にあれと対峙していない優司との間には、どう言葉を尽くしても温度差ができてしまうものだ。

 だから、それぐらいの策を持って、ようやく互角に戦えるぐらいかもしれない。

 そんな都合のいい策があれば、の話だが。

 さすがに今度こそ笑われるか、と思う。

 だが、優司は困ったように唸っただけだった。


『難しいな。正直、俺には思いつけそうもない。俺にできるのは精々ちょっとしたアドバイスぐらいだ。後はお前自身にそこから思いついて貰うしかない。すまん』

「……いや――」


 自分が諦めず捨て切るためなのに、全く他人に頼り切りというのはさすがに間違っている。アドバイスを貰えるだけありがたいと思うべきだ。

 徹はそう思い直して電話越しでは意味がないだろうが頷いた。


「それでも十分助かるよ」

『そうか。でも、話半分で聞けよ? そもそも、誰がどう見ても無理そうなものを何とかしようって話なんだし、このアドバイスには微妙に概念論みたいなものが混じるからな』

「分かった」


 ヒントというものは曖昧なもの、と相場が決まっている。


『まず、最低限のことだけど、普通に剣で戦うのはアウトだな』

「それは、そうだな」


 レオンに頼り切れば達人域にありそうな剣術を扱うことができるが、それすらも相手には通用しない。何か、根本的に別の方法を考えなければならない。


『前提として剣術というものは、まあ、当然のことだけど、剣に依存した技、剣を使用することを想定した技だ。極端な言い方をすれば、剣という道具が最初にあって、その形状に応じて仕方なく動きが最適化して生まれたのが剣術だ』


 優司の言ったことは、彼の言葉通り正しく当然のこと。

 当然のこと過ぎて忘れてしまうぐらいの大前提。剣術の定義だ。

 しかし、仕方なく、と表現したのは面白い。


『そもそも、道具というものは可能性と不可能性を同時に備えている。使用者が何かをできるようにすると同時に、何かをできなくする訳だ』


 その言葉に、徹はしばらく前に優司から聞いた話を思い出した。

 人間の体の各部位も道具と見なすことができ、それに当てはまるという話だ。

 例えば、目。目は見ることを可能にするものだが、同時に人間の可視領域は限定されているため、それ以外の領域を見ることが不可能なのだ。

 つまりはこの目のおかげで今見えているように見えるが、しかし、この目のせいで今見えているようにしか見えない訳だ。

 耳においても同様のことが言える。可聴領域というものがあるのだから。

 その他、手や足などにおいても、この形故にできることがある代わりに、この形故にできないことが確実に存在する訳だ。

 このように考えるといわゆる障害というものは、概念的には障害ではなくなるのだそうだ。誰しもが、その体に可能性と不可能性を共存させているのだから。

 例えば、目の見えない人が目の見える人には聞こえない音を聞き取ることができるように、人間が持つ可能性と不可能性の総量は恐らく変わらないのだろう。

 とは言っても、あくまでもこれは概念的な話であって、社会が大多数が共通して持つ可能性に合わせて作られる以上、小数を助けるのは至極当然の話なのだが。


『極端で変な例だけど、両手剣で箸を使うみたいに飯は食えないだろ? でも、これは戦闘時における不可能性じゃない。剣は戦闘時という条件下における可能性の割合が多いから、戦闘に使用されている、って訳だ』


 当たり前過ぎる話だが、だからこそ逆に改めて言われると成程、と思う。

 加えて戦闘時においても遠距離という条件下で考えるなら、剣には不可能性の方が多く、弓や銃の方が可能性を多く有するから、それらが使用されるという訳だ。

 あくまでも武器の特性、適正距離を少々回りくどく言っただけ。

 だが、ポジティブな理由で考えるよりもネガティブな理由で考えると何かが見えるような気がしてくる。


『だから剣術を考えるんじゃなくて、剣そのものの不可能性を考えてみるんだ。勿論、長年洗練されてきた剣術にはその部分を補うような技もあるんだろうけど、それでも剣を使用する限りにおいて、剣という限界がそこにあるんだ』


 優司の話を聞いて考える。

 本来的に武術というものは、もっと多くの、それこそ無限のバリエーションを持っていていいものだったのかもしれない、と。

 しかし、人間の体の構造的な問題から動作不可能なものが削られていき、現在の形に限定されてしまっているのだ。

 剣術もまた、剣があの形だからそうならざるを得なかったのかもしれない。

 剣という存在から逆算して可能性と不可能性を振り分けて対処する。

 言う程簡単にはいかないだろうが、思考の方法としては確かに有効かもしれない。


『これは剣と対峙するためだけでなく、剣を使用するのにも必要な考え方だな』


 剣に限らずとも、自分にできることとできないことをしっかりと把握しておくのは、何か行動を起こす際には必須のことだ。


『次に、だけど、剣にしろ拳にしろスポーツとして楽しんだり、護身術として学んだりするんじゃなくて、本気で自分に最適な戦い方を見つけたいのなら、型だの何だの誰かから学ぶべきじゃないと俺は思う』

「どういうことだ? その方が上達し易いんじゃないか?」

『上達のし易さを言えば、確かにそうだけどな。でも、いずれは限界が必ず来るはずだ。だってそうだろ? 武術ってのは全て過去の達人が自らに合った戦い方を突き詰めた結果生まれたものだからな。そして、その最も初めの達人は誰かから技を教わったと思うか? 目の前にある武器の本質を見極めて、自ら作り上げたのさ』


 どことなく屁理屈臭い気もするが、それは確かにそうだろう。

 どのような武術の流派にも開祖と呼ばれる人がいる。

 それすらもどこかの流派の枝分かれに過ぎないかもしれないが、それを辿っていくと正に始まりの開祖に行き当たるはずだ。

 その人はきっと試行錯誤を繰り返したことだろう。

 いわゆる素人が素人考えの独学で武術を学ぼうして変な癖がついてしまうようなことが何度もあって、しかし、自ら非効率的だと判断して修正し、最適なものを作り出していったに違いない。

 実際問題としては、そこまで悠長にしていられるだけの暇などない。

 だが、武器やその技を考える前に、まず自分の本質を見定める必要はあるのかもしれない。


「本質、か……」


 どう考えても自分と森羅の彼とは別人だと思う。

 たとえ、どこかで似ている部分があるとしても、だ。

 それは精々双子の範囲内でのことに過ぎない。

 他人同士から比べれば、限りなく似ているかもしれないが、やはりそれは当人からすれば全くの別人なのだ。


『随分、曖昧な話しかできなくて悪いけどな』

「いや、そんなことはないさ」


 思考の方向性は大分絞ることができたように思える。これに後はあの戦いで経験したことを加えれば、拙い方策の一つや二つ捻り出せそうだ。

 勿論、それで何とかなるかどうかはまた別の話ではあるが。


「直接指導して貰う訳でもなく、普通に鍛錬する方法を聞く訳でもなく、ただ倒すアドバイスだけをくれ、ってのは虫がよ過ぎるし」

『ああ。そもそも今の状況は、経験値千倍のチートで強くなった奴が、ステータス改竄のチートを使った相手を倒そうとしているようなものだからな』


 そう言われると何とも身も蓋もなくて、徹は後ろめたさを感じてしまった。

 優司のように真面目に順当な方法で体を鍛えてきた者にとってはかなり酷い話だと思うから。


『まあ、ゲームなら前者は設定上のパラメータを超えはしないけど、後者は明らかに超えるからチートとしても性質たちが悪い。前者は卑怯で、後者は外道ってとこか』


 それでもゲームと現実は違うのだから、卑怯だろうと利用できるものは何でも利用しておきたいところだ。しかし、さすがに外道にまではなりたくない。

 徹はそんな微妙に自己弁護を交えた思いを抱いた。

 何より、あの人間として何かが壊れてしまったような森羅の優司の姿は、本当に外道と言うに相応しいような気がするから。


『もう一つ、参考になるかは分からないけど、面白い話をしようか』


 優司は若干勿体ぶるように間を取ってから続けた。


『円、ってあるだろ?』

「円? 日本円か?」

『違う違う。それじゃない。いや、それが最初に出るのは分からなくもないけどさ』


 苦笑しながら言う優司に、徹は羞恥で顔が熱くなってしまった。

 自分が相当にがめつい奴のように思えて。


『円、丸の話だ。徹、正円と楕円なら、どっちが一般形だと思う?』

「それは……普通は正円かな」


 そういう問われ方をすると普通とは逆が答えだろうとは思ったが、徹は一応優司の望むように答えた。

 優司も徹がそんな予定調和的な選択をしたのに気づいているのか、耳元に困ったような笑い声が聞こえてきた。

『答えは楕円だ。楕円の方程式は……授業ではまだだったっけ?』

「休んでいる内に進んでいなければな」


 星律学院は一応進学校なので、二年生の内に高校生で学ぶべき数学の範囲は終わらせることになっている。が、楕円はまだもう少し先だったはずだ。

 とは言え、優司なら既に予習済みだろうが。

 何せ授業中に予習するのだから、教師も立つ瀬がない。


『そうか。まあ、いいや。楕円っていうのは平面上で二定点からの距離の和が一定になるような点の集合な訳だけど、円はこの二定点が一致する状態を言うんだ。つまり楕円の一形態が円なんだ。これは方程式を見ても分かるけどな』


 何となく気になって数学の教科書をパラパラと捲る。

 楕円の方程式を確認すると、確かにそれは円に似て、しかし、微妙に複雑なものだった。


『方程式は複雑であればある程、一般性が高い。アインシュタインの相対性理論もまず特殊相対性理論が最初にあって、後から一般相対性理論になったんだからな』


 逆に方程式が単純であれば、それは様々な条件を既に当てはめた後、つまり特殊な条件下でのものということになる。

 例えば、物理で最初に習う速度の計算式も空気抵抗が存在しない場合のもの、そこに零を代入した後の単純な式な訳だし。


『つまり、世の中で一般的と思われているものの方が実は特殊な形に過ぎない、ということもあるって話だな』


 円と楕円では普通、漢字から考えると円が一般で、楕という漢字がついた楕円が特殊だと考えてしまうだろう。

 確かに似たようなことは多くありそうだ。


『ここから先はかなりのこじつけかもしれないけど、剣ってのもまた武器の特殊形な訳だ。武器という方程式に条件をいくつか代入することで、剣という解が得られる。……うん、やっぱりこれはこじつけだな』


 決まりが悪そうに笑う優司の声が電話口から聞こえてきて、徹も彼に釣られるように微苦笑を浮かべた。


『まあ、俺が言えるのはこの程度だな。役に立たなかったかもしれないけど』

「いや、十分だ。ありがとう」


 電話越しでは相手に伝わらないはずなのに、その言葉を口にするとついつい頭を下げてしまう。しかし、ある意味それは現代人共通の癖とでも言うべきものだ。

 優司はその様子を感じ取ったのか、さらに笑い声を強めた。


『……そういや、何でお前電話してきたんだっけ?』

「ん?」


 一しきり笑われた後の彼の問いに首を傾げる。


「……あ、そ、そうだった!」

『うお、馬鹿、耳元で大きな声を出すな!』


 当初の目的を思い出して、つい声が大きくなってしまい、優司に文句を言われる。

 しかし、慌てざるを得ない理由がある。

 長々と話をしていたので大分時間が経過してしまった。

 これで宿題が大量に出されでもしていたら、かなりまずい。

 別世界のことに囚われて、自分が属する社会を蔑ろにする訳にもいかない。

 と言うことで、徹はここに至ってようやく欠席中の授業の進み具合と宿題の有無を優司に確認し始めたのだった。

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