【2 名無しジャージの謎】
プロローグ
(これは、金縛り?)
気がつけば、暗黒の闇の中にひとり。手も足も動かない。どうやら、紐か何かで私の両手、両足を縛られているようだ。
冷たい床の上に、まるで新巻鮭のように転がっている、自分。
もう春も近いというのに、やけに寒い部屋だ! 息が白い。
そう考えたとき、遠くから物音が聞こえた。
ギイィ、ギイィ
まるで闇から近づく、悪魔の足音だ。
ギイィ、ギイィ
古い床板を
ギイィ、ギイィ
私のすぐそばで立ち止まった、悪魔。
恐怖で声も出ない。
といっても、叫んだところで、猿ぐつわを噛まされた自分には、声にならない声しか出せなかっただろうが……。
悪魔の荒い息遣いが聞こえる。顔を近づけてきたらしい。
そのとき窓から弱々しい月明かりが差し込んで、部屋を淡く照らし出した。
「……」
悪魔は、何も言わなかった。
ただ、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます