第八話 妖星

①戸惑いと積極アピール

 イクティナとプルトナにオルタネイトの正体を知られてしまった日の翌日。

 その事実を隠していたことを気にしてか、イクティナは朝の訓練に現れなかった。

 教室で顔を合わせてもオドオドとして視線を逸らすばかりで話しかけてこない。

 逆にこちらから声をかけようとすると――。


「ユウヤ! 昨日の件、考えて下さいましたか!?」


 空気を読まないプルトナに邪魔をされてしまう。

 そんなことを繰り返して昼休み。


「ユウヤ――!」


 プルトナが傍に来て、またもや同じパターンに入りそうになる。


「分かった分かった、ちゃんと考えるから! けど、まずイーナと話をさせてくれ!」


 さすがに焦れて、雄也は苛立ち交じりに言った。が、プルトナに堪えた様子はない。


「承知しましたわ」


 そして彼女はそう軽く頷くと、こそこそと教室を出ようとしていたイクティナの背中を一瞥した。それからすぐにアイリスに目線を送る。


「アイリス!」


 プルトナの呼びかけに、アイリスは深く溜息をつくと突如として跳躍した。そのまま天井を踏み、教室のドアに辿り着こうとしていたイクティナの前に降り立って立ち塞がる。


「ひゃわあああああああっ!!」


 いきなり目の前に人が降ってきた形となったイクティナは、腰を抜かして思い切り悲鳴を上げた。食堂に向かわずクラスに残っていた生徒達の視線が集まる。

 突然の絶叫に、むしろクラスメイト達の方が驚いたようだった。


「はわ、はわわ」


 イクティナの動揺は収まらない。周囲の注目に全く気づかない程だ。


【ごめん、イクティナ】


 アイリスはそんな無防備な彼女の制服の首の部分を、子猫を持つように掴んで立ち上がらせた。そのままイクティナは軽々と小脇に抱え込まれてしまう。


【この前の空き教室で話をする】


 そうして教室を出ていくアイリス。

 雄也は思わず、椅子に座ったままポカンとそれを見送ってしまった。


「さあ、ユウヤ。行きますわよ」


 今度はプルトナが雄也の手を取って引っ張り上げてきた。

 そのまま抗う間もなく立たされ、背中を押されて教室を出る。呆然としたまま歩き、気づくと以前プルトナから話を聞いた時に訪れた物置のような空き教室にいた。

 移動の間にイクティナも自失状態からは脱したようではあった。が、彼女は混乱したように視線をあちこちに飛ばしている。何か不憫だ。


「さ、存分にお話して下さいな」


 プルトナが悪意のない笑みで言う。

 彼女の場合、完全に善意からの行動っぽいのが反応に困る。

 これがフォーティアだったら意地の悪い笑顔の一つも浮かべていただろうに。勿論、それはそれで偽悪的な演技に過ぎないだろうが。

 何にせよ、イクティナと話をするのは望むところだったので文句は後だ。


「イーナ」


 名前を呼ぶと、彼女はビクッとしてこちらを見た。それから視線を教室のドアに向ける。

 しかし、前の扉にはアイリスが、後ろの扉にはプルトナが門番のように立っている。

 生命力の低いイクティナでは逃亡は不可能だ。


「事情があったとは言え、黙ってて悪かった。許してくれ」


 真っ先に頭を下げて謝る。と、イクティナは驚いたように一歩後退りした。


「あ、頭を上げて下さい」


 しばらく頭を下げ続けていると観念したように彼女はそう言った。


「ちゃんと考えれば正体を明かせない理由ぐらい私にも分かりますから」

「なら、何で避けるような素振りを見せたんですの?」


 イクティナの返答に対し、間髪容れずにプルトナがド直球で問う。


(いや、まあ、こういう場面は真正面からぶち当たるのが大体正解だけどさ)


 互いに遠慮してなあなあで済ませる選択肢を選ぶと、逆に関係が決定的に拗れてしまうものだ。勿論、絶対ではないがオタク知識の統計的には、高い確率でそうなっている。


「それは……その……」

「言わないと素直になる闇魔法をかけますわよ?」

「わ、分かりました。言います言います! だから、許して下さい!」


 プルトナの変な脅しに涙目になるイクティナ。何だか苛めているみたいだ。


「でも、その前に――」


 彼女はオドオドとしながら上目遣いでこちらを見た。眉が八の字に下がっている。


「ユウヤさんがオルタネイトの力を得たのは、この世界に来てからですよね?」

「…………ああ」


 雄也は内心の納得を含めて肯定の声を発した。

 何となくイクティナが何を気にしているか分かる。


「やっぱり。私がユウヤさんを召喚しなければ、こんな……」


 案の定な言葉に軽く息を吐いて、雄也は俯く彼女にデコピンをした。


「あう。な、何するんですかあ」


 軽い(はずの)痛みに顔を上げながら、おでこを両手で押さえて涙目になるイクティナ。


「召喚とオルタネイトになったことは何の関係もないことだ。事情の説明はその内じっくりするけど、全部ドクター・ワイルドの企てなんだから」

「で、ですけどお」


 イクティナは、そう簡単に割り切れない、という感じに情けない顔になった。

 やはり、避ける素振りを見せていた原因は、雄也を召喚したことへの罪悪感が再燃してしまったことにあるようだ。

 オルタネイトの正体を知って、その戦いを思い返し、尚のこと負い目が大きくなってしまったのだろう。


「…………はあ。そんなに悪いと思ってるなら、罰でも受けて貰おうか」

「はい。ユウヤさんに一生かけて贖罪をします。何でも言って下さい」


 今度は硬い表情になって再度下を向くイクティナ。

 もう一度デコピンして顔を無理矢理上げさせる。


「あうあう……」

「奴隷にでもなるつもりか、馬鹿」

「ユ、ユウヤさんが望むなら、それも――」

「ええい、この馬鹿ちん!」

「きゃう」


 最後まで言わせずに、またデコピンを食らわす。

 人を奴隷のように扱うなど、自由を守るヒーローにあるまじき姿だ。

 いくらヒーローもどきに過ぎない雄也でも、それは絶対に許容できない。


「俺とイーナは友達だろ?」

「……友達でいて、いいんでしょうか」

「ああ、もう! 面倒臭い! 俺とイーナは友達なんだから、これから変な遠慮をする度にデコピン一発! これが罰だ! 分かったな!?」


 どうしても俯き加減になるイクティナにもう一発お見舞いしながら言う。


「や、やりながら言わないで下さいよお」


 いや、これぐらい強引にしなければ、この子は分かってくれないだろう。


「分かったのか分からないのか、返事!」


 脅すようにデコピンの形から二度三度中指を弾く。


「わ、分かりました! 遠慮はしません!」


 おでこを隠しながらコクコクト頷くイクティナ。

 その様子に安心して雄也は指の形を自然に戻した。


「よし。なら、何か俺に文句の一つや二つ、あるんじゃないか?」


 そう問うと彼女は「あうあう」と視線を彷徨わせてから諦めたように口を開いた。


「あの、その……正体を隠してた理由。理解はできますけど、やっぱり少し納得できません。友達としてユウヤさんの口から教えて欲しかったです」

「……うん。悪かった。……ごめん」


 改めて頭を下げて、そのまま言葉を続ける。


「勿論戦いに巻き込みかねないからってのもあったけど――」


 しかし、余り謝り続けても、逆にまたイクティナが気にしかねない。

 なので、雄也は微苦笑を浮かべながら顔を上げた。


「何かイーナが凄くオルタネイトを美化してたから幻滅させちゃうかとも思ってさ」


 そして少し冗談めかして言う。

 すると、イクティナは一瞬呆けたようになり、それから今までの自分の言動を思い出したのか緩々と頬を赤くしていった。


「にゃ、にゃ――」


 変な声まで漏れてきている。

 まあ、散々オルタネイトたる雄也の前で憧れがどうとか、時によっては好きとか言っていたのだから、その反応も当然だろう。


「幻滅した?」

「ひえ!? しょ、しょの……そ、そんなことないです。幻滅どころか、その、ちょっと嬉しかったと言うか……」


 顔を背けながら、何故か真正直に言うイクティナ。

 肌が茹で上がったように真っ赤になっている。


(だから何で、そう自分で自分を追い込むんだ)


 そんな風に言われると、こちらまで恥ずかしくなってくるではないか。


「そ、そっか」

「は、はい……」


 互いに照れて視線を逸らし、場に沈黙が降りる。と――。


「いい感じに和解できたようですわね!」


 小っ恥ずかしい青春的な空気をぶち壊しにしながら、プルトナが近づいてきた。

 もう扉の前に立っている必要性はないと判断したのか、アイリスも傍に来る。

 何故だか普段より目つきが鋭く、何だか立ち位置も妙に近い気がする。


「あ、あわわわ」


 途中から完全に周囲の存在を忘れていたのか、イクティナがわたわたし出す。が、今更どうしようもないと思ってか、嵐が過ぎ去るのを待つように俯いて小さくなった。

 そんな彼女を余所に、プルトナが待ち侘びたと言わんばかりにさらに一歩近づいてくる。


「では、次はワタクシの話ですわね」

「あー……うん」

「改めて、ユウヤ! 貴方に結婚を前提に交際を申し込みますわ!」


 そして、相変わらず決闘を挑むように勢いで言うプルトナ。

 告白やプロポーズの甘酸っぱさや気恥ずかしさは全く感じられない。


「えーっと、その、ごめんなさい」


 そんな雑な雰囲気のせいか、雄也はついサラッと即答してしまった。

 本当はもう少しオブラートに包もうと思っていたのだが。


「何でですの!?」


 軽く断られ、憤慨したようにプルトナが迫ってくる。若干涙目だ。


「い、いや、今はそういうことを考えてられる状況じゃないからさ」


 ドクター・ワイルドとの戦いのこともあるし、何よりも――。


「まずはアイリスの呪いを解かないことにはな」


 真っ直ぐにプルトナの目を見て告げると、彼女は「うぐ」と言葉を詰まらせて視線を僅かに逸らした。その先にはアイリスの姿がある。


「それは……そう、ですわね」


 雄也の言葉に同意して、プルトナは申し訳なさそうに視線を下げた。さすがの彼女も友達の状況を配慮するぐらいの気持ちはあるようだ。


「で、では、ワタクシもそのお手伝いをいたしますわ!」

「や、それは間に合ってます」


 ペース的には問題ないし、プルトナ一人増えて早まる話でもない。


「うぐ。うう、ユウヤ。意地悪ですわ」


 恨めしげに睨んでくるプルトナ。

 そんな彼女の目の前にアイリスが作った文字が浮かび始める。


【プルトナはもう少し我慢を覚えるべき。体ばかり大人でも中身は意外と子供】

「ぐ、ぐぬぬ。これが正妻の余裕というものですの?」


 アイリスは正妻という単語に耳をピクッと反応させ、どこか誇らしげに平たい胸を張った。尻尾もブンブンと元気よく振られている。


「で、でも、プルトナさんじゃないですけど、私達に何かできることはありませんか?」


 そこへ、ようやく立ち直ったらしいイクティナが問いかけてきた。


「友達が大変な時に何もできないのは、申し訳なくて」

「別に何かできなきゃ友達じゃないなんて言うつもりはないけど――」

「私自身が嫌なんです」


 一歩前に出て、やや強い瞳で見上げてくるイクティナ。

 ちょっと強引な感じは罪悪感や遠慮とはまた違う感じか。

 友達の役に立ちたいと思うのは、彼女の性分なのだろう。


「う、うーん……」


 視線で訴えかけられても咄嗟には思いつかず、アイリスを振り返って目で助けを求める。


【家事は譲らない。正妻の仕事】


 何をどう勘違いしたのか、アイリスはそんな文字を返してきた。

 それから彼女はイクティナに視線を向け、掌の上に浮かべていた文字を改める。


【イーナは一先ず魔法の制御をしっかりするべき。イーナぐらいの魔力があれば、もしかしたら戦いの面でユウヤのサポートができるかもしれない】


 示された言葉を読んでイクティナは僅かに視線を下げた。現時点では自分にできることは何もないと暗に告げられたようなものだからだろう。


【私も大概人のことを言えないけれど、イーナも多くを求め過ぎ。まずはできることを一つずつ積み重ねて、実際に助けを求められたその時に、ちゃんとユウヤの助けになれるようになることを目指した方がいい】

「あう……そう、ですね。まずは足手纏いにならないようにしないと。今日みたいに人質になったりしたら目も当てられませんし」


 イクティナは目を瞑って、自分に言い聞かせるように呟いて頷いた。


「ですけど……うう、魔力制御って結局どうやったら上達するんでしょう」


 しかし、彼女はそう自問すると、途端に情けない顔になった。


「あー……どうせだったら、イーナも参加するか? 放課後の訓練」

「え? ユウヤさん達、朝だけじゃなくて放課後も?」

「まあ、事情が事情だからな。鍛えておいて損はないし」

「……私なんかが参加してもいいんですか?」

「デコピン、食らっとくか?」

「い、いえ、いいですいいです。えと、私も参加させて下さい!」


 慌てて言い直すイクティナに苦笑しつつ頷く。

 本当に損な性分だ。そう思っていると――。


「ワ、ワタクシも!!」


 微妙に影が薄くなりつつあったプルトナが大声で存在をアピールしてきた。

 彼女は、思った以上に声が大きくなってしまったのか、軽く頬を紅潮させながら誤魔化すようにコホンと一つ咳払いをした。


「し、失礼しました。ええと改めて……どうかワタクシもご一緒させて下さいまし」

【プルトナはもう成長限界に来てるはず。訓練の意味は余りなさそうだけれど】

「うん? 魔人サタナントロープは早熟だからか?」


 首を傾げながら問うとアイリスは静かに頷いた。


【早ければ十二歳。遅くても十五歳で頭打ち。技術習得の効率も著しく悪くなる】

「確かにワタクシは既に潜在能力のクラスまで成長し切ってしまいました。新しいことを始めても以前程すぐには上達できなくなりましたわ。けれど、技能向上が全くない訳ではありませんし、イーナの手伝いぐらいはできるはずです」

【そう。理解した上でのことなら私が言うことはない】


 自分の特訓ではなく、あくまでもイクティナの補助が目的だと分かったからか、アイリスは一つ頷いて引き下がった。ついでにプルトナをからかう文字を作りながら。


【昔みたいに技がうまく決まらなくて駄々を捏ねたりさえしなければ】

「うぐ、さ、さすがにもうそこまで子供ではありませんわ」


 そう言ったプルトナは、しかし、アイリスに疑わしげに見詰められて視線を逸らした。


「まあ、プルトナはダブルSだしな。助かるよ」

「そ、そうでしょう!?」


 雄也の言葉に一転してパッと表情を輝かせるプルトナ。結構ちょろい子だ。


「うん。じゃあ、よろしく頼む」


 そう言って手を差し出すと、彼女は嬉しそうに手を握ってきた。


「こちらこそ、ですわ!」


 そして、満面の笑みで手を上下に振る。何だかんだで結構子供っぽいお姫様だ。

 と、そんな感じで話が纏まったところで、タイミングよく誰かのお腹が「くー」と可愛らしい音を立てた。フォーティアとは大違いの慎ましさだ。


「す、すみません」


 お腹を押さえながら謝ったのはイクティナ。案の定と言うべきか、顔が赤い。


「そう言えば、イーナは食堂だったっけ。……今からで間に合うのか?」

「え? あ、はい。そこまで食べるの遅くないので大丈夫ですよ」


 微妙に噛み合わない答え。

 学食はあり得ない程混雑するもの、というイメージがあっての質問だったが、どうやら王立魔法学院には当てはまらない偏見だったようだ。


「なら、まあ、一先ず解散ってことで」

「放課後また集合、ですわね」


 そう頷くとプルトナは一番に空き教室を出ていった。彼女も学食派らしい。

 続いてイクティナも教室を出ようとして――。


「あ、そうだ。忘れてました」


 ドアの前で立ち止まって、パタパタと小走りで戻ってきた。


「すみません。ユウヤさん、オルタネイトになって貰えますか?」

「ん? 分かった」


 上目遣いの中に真剣さが見て取れたので、雄也はすぐに了承して小さく構えを取った。


「アサルトオン」

《Change Phtheranthrope》


 イクティナの種族に合わせて翼人プテラントロープ形態を選択しておく。

 すると、彼女はこちらを見詰めてポーッと呆けたようになってしまった。


「えっと、なったけど……」

「あわ、す、すみません」


 そう声をかけると、イクティナは慌てたようにペコペコ頭を下げた。それから再び瞳の中に真摯さを湛え、一つ深呼吸してからギュッと目を瞑って口を開く。


「あ、あの時は助けてくれて、本当にありがとうございました! それと、できれば私のことも貰って下さい!」


 そこまで一気に言うと、イクティナは雄也が内容を理解する前に脱兎の如く逃げ出そうとした。……ようだったが、一歩目で盛大にこけてしまった。


「うお!? だ、大丈夫か? イーナ」

「あうあうあう」


 ぶつけて真っ赤になったおでこを両手で押さえながら床にペタンと座り込み、涙目になってこちらを見上げるイクティナ。


「ほら、立てるか?」

「うう、すみません……って、あわわわ、すみ、すみません!!」


 手を引かれて立ち上がった彼女は、しかし、直前の自分の発言を思い出したのか、赤熱したように肌という肌を赤くして謝りながら雄也の手を振り解いた。

 そのまま雄也達に背中を向けて全力で駆け出し、そうしてイクティナは今度こそ教室から出ていったのだった。


「ドジッ子だなあ」


 若干現実逃避気味に呟く。と、アイリスから腕部の装甲をコンコンと叩かれた。


【どうするの?】

「あー、いや、だから、まずは呪いを解かないとな」

【イーナのこと、嫌い?】

「そんなことはないけど……アイリス的にはどうなんだ?」

【強者に異性が集まるのは当然。それに、正妻が私なら問題ない】


 平らな胸を張って言葉を作るアイリス。


「あのー、アイリスさん? さっきから約束を空の彼方へ放り捨ててる感じなんですが」

【そんなことはない。気持ちを伝えるのは声で。それ以外は自由なはず】


 正妻とか完全にアウトな感じがするが、気持ちそのものを言葉にしたものではないからセーフという判断なのだろうか。

 何だか、淡々と状況証拠を天高く積み上げられている感じだ。別に構わないが。


【それに、えっちなことはしてないし】


 恥ずかしげに視線を逸らしながら爆弾染みた内容の文章を作るアイリス。

 二人が去った後でよかった。本当によかった。心置きなく突っ込める。


「いや、あの、この前、未遂ありましたよね」

【あれは介護だから問題ない】


 何だか文字が乱れている。誤魔化そうとしているのがありありと分かる。


【それより、お昼】


 そうして無理矢理話題を変えにかかるアイリス。

 雄也はそんな彼女の様子に苦笑いをしながら、自分にとっても恥ずかしい話題なのでこの場は流れに乗っかることにしたのだった。


(異世界に来たらモテモテになりました、か。それ何てエロゲって感じだな。……けど、オルタネイトの力が切っかけだから、なんともはや、だなあ)

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