第3話 推しと殿下
図書室の奥の奥。
誰も読まなさそうな古いどこかも分からないような国の歴史書やか弱い令嬢なら5人くらいでやっと持てるような辞書が並べてある棚の裏側。
そこには勝手口がある。
その扉を開けるとそこには……
この国の第1王子が草むらで昼寝している。
「殿下、ここは私が最初に見つけた読書スペースです。毎日言ってますがお引き取り願えますか?」
「そちらこそ……そろそろ折れたらどうだ?それに……令嬢達に見つからずに昼寝できる場所なんて他にないのだ」
「そもそも一国の王子が草むらに寝転がるのはどうかと思いますが?」
この頭でっかちが……私の読書を邪魔しないで頂きたい……
「別にいいじゃないか……このような姿を見せているのはルシアだけだ。」
「あら、殿下。
「……優しさの欠片もないな……」
「殿下?
「それだけは勘弁して欲しい……」
「あ、そうだ。殿下、
「あぁ、ルシアとルシアの婚約者のやつな。」
「今日の朝に令嬢にぶつかられませんでした?」
「……何故知っている?」
やっぱりかぁああっ!!!
こいつがノア様だなんて……ショックだわ……こんな……こんなやつがノア様だなんて……ルックスはいいけど……
面倒くさがりで頭でっかちなこの男が……?
いやぁぁぁ!!!夢をこわさないで!!!
「殿下、このページからこのページを読んでください!」
「これはっ……」
「殿下分かりました?……そう……これはっ……!!予言書なのです!」
「……なるほどな?まぁ、この物語では俺は余り出てきてないし……だい「ああ、これ7巻まで出てますけど殿下と結ばれる感じになってきてますよ」」
「めんどくさい……」
「そして
可愛子ぶってるのがわかり易すぎる……それに騙されるあいつやっぱり馬鹿だ。
「ん〜確かに有り得んな……本当にめんどくさい……」
「っていうことでまた突進してくる可能性大なのでお気をつけください!!!」
「まて!その予言書を貸してくれないか…???」
「嫌です。」
「え?」
「え?……
「……突進されないようにするにはどうしたらいい?」
「護衛でもつけたらどうです?……ヒロインと結ばれたくないなら小説の展開を変えるしかないんじゃないでしょうか?」
「……めんどくさいが……ルシア、君も手伝ってくれるよな?」
「嫌です。」
そんなめんどくさい事、誰がするのよ!もう最小限、関わりたくないの!!王子が居なくなれば私はここで静かに本が読めるの!
「成功したら王宮の図書館に自由に出入り出来るようにしよう」
「やらせていただきますわ!!!」
王宮の図書館……!!!ここよりずっと大きくてずっと面白い本が沢山あるに違いない……!!!
「よろしくな、ルシア」
「こちらこそよろしくお願いします、殿下」
私たち二人は自分の目的のため、握手を交わした。
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