第38話 女子会準備クッキー作ります!

 アルフ達、捜索隊が出発して直ぐ、お茶会の準備に取り掛かった。


 まずはカードを作った。

バレンハーブの押花を使った、香り付き招待状カード。


 鉱山村に居た時に実験で、石から魔法で取り出した、鉄鉱石のカケラを粉々にして便に詰めたりしてたんだよね。特に金色の綺麗な物だけ、小瓶に小分けにしておいたやつ。これをカードに花とかつる化の植物のイラストを縁柄のように並べ、魔法で箔押しにして飾った。


 直ぐに王立執事王太子付のフルセラムさんに各招待者に届けてもらえるよう、手配してもらった。


 明日の午後3時に、場所はあたしの応接間の2階、会議室にソファを並べて、等のお茶会セットはメガエラさんを先頭に、侍女達に任せた。



 次にケーキ作り。今回の討伐でゼリの実が沢山収穫出来たので、ジャムにしたい。それを使ったゼリケーキを作る。ゼリの実はラズベリーと似ている外見で、味はブドウ。これでお酒を作るドワーフもいるけど、貴重で滅多に飲めない。ドワーフに会う機会があったら、是非レシピを教えて欲しい。


 まずゼリの実600gを三温糖によく似た、たっぷりの蝶蜂の蜜と一緒に煮込む。ゼリをヘラで潰しながら、かき混ぜるとゼリの良い香りがした。やっぱり小さいけど、キッチンがあるって良いわね。


 粗熱をとる間に、クッキーの用意。

ウラヌス牧場直送のバターを使った、ラングドシャクッキー。軽くてサクサクの食感。


 ◆ラングドシャクッキー


 卵白……………………………3個。

 砂糖……………………………90g

 小麦粉…………………………90g

 無塩バター……………………90g

 バニラエッセンス少々


1.小麦粉をよく振るっておきます。最低でも、三回は振りましょう。


2.バターは常温に戻してから、白っぽくなるまで泡立てる。砂糖を加えてよく混ぜます。


3.別のボウルに卵白を入れ、泡だてます。泡立て過ぎるとクッキーが崩れやすくなるので、程々に。


3.2に3を入れ混ぜます。これにバニラエッセンスを少々入れ。再び、ふるいながら小麦粉を入れます。滑らかになるまでよく混ぜ真合わせます。


4.絞り袋に3を入れ、天板にある適度の間隔を開けて、絞っていきます。


5.予熱した、180度のオーブンに4を入れ、大体10分位焼きます。


 味見したら、ホロホロで美味しく出来た。アルフにもあげたい。


 次にゼリケーキ。


◆ゼリケーキ


 小麦粉………………………120g

 砂糖…………………………120g

 卵………………………………2個

 バター………………………30g

 牛乳…………………………15cc

 バニラエッセンス少々

 ゼリジャム………………120g


 生クリーム………………250g

 砂糖(生クリーム用)……25g


 シロップ(砂糖・水)少々


1.バターは湯煎にかけ、溶かしておく。小麦粉は3回ふるいにかけておく。


2.卵に砂糖を入れ泡立てる。(共立て)湯煎にかけ、白くモッタリと文字を書いても、少し消えない位まで泡立てる。


3.2にふるいにかけた小麦粉を入れ、切るように混ぜる。粉っぽくなくなったら、1で溶かしたバター、牛乳、バニラエッセンス少々を入れ混ぜる。型に入れ たら何回かトントンと落とし空気を抜き、均等にする。180度に熱したオーブンに入れ、約20分ほど焼く。


4.焼けたら型から外し、網の上に置き粗熱をとる。スポンジを三等分に切る。スポンジの両面に刷毛にシロップを付けて塗る。


5.生クリームに砂糖を入れ泡立てる。ツノが立って、しばらく形がくずれないようなるまで、泡立てる。


6.4の一番下のスポンジにゼリジャムを塗り生クリームを少しぬる。中段のスポンジにゼリジャムを塗り、同じく生クリームを少しぬる。最後に一番上の段のスポンジをかぶせる。


7.6に5の生クリームを塗る。絞り袋に5の生クリームを入れ、クリームを絞り、飾り付ける。


 これを冷蔵空間倉庫に入れ、明日までじっくり冷やして置く。


 王宮専属のデザイナーのシャリーヌさんが、凄腕のお針子3人を従え、斬新なドレスを纏い、参城した。


 そして、あたしのサイズを隈なく測る。その上で新しいドレスを考案し、いくつかデザインをその場で書いて、見せてくれた。どれも素敵なデザインだけど、斬新なものが多かった。王太子の婚約者に近付きたいものは沢山いる。これから、舞踏会や晩餐会、お茶会に呼ばれる事が多くなるだろうから、多めに作る必要があるらしい。

 年齢的に、セクシー過ぎるのはやめてもらった。


 明日のお茶会用のドレスは胸の部分をレースやシルクの布を足してもらい、その場で3着程手直ししてくれた。


夕方、新たなプレゼントがドワーフから届いた。

オールオパールのブレスレットとイヤリング、そしてペンダント。そして、それらにも今まであった加護や防御魔法が付加されていた。新たに付けられた付加魔法は、あたし以外が身につける事が出来ない魔法とか、回復魔法、アルフも羨ましがりそうなのは、悪意の匂いを跳ね返す魔法。すご〜い匂いバリアだ!危険が及んだ時に、転移魔法で移動出来る事。



 さて夜になると、あたし一人の晩餐は淋しかろうと、女王に呼ばれて行くと、ダンビラスさん、ミトレスと高坂が同じく、呼ばれていた。緊張の面持ちのミトレスと高坂。


 ダンビラスさんがミトレスの子供の頃の話を披露して笑わせて、緊張をほぐすと、皆には討伐の話をするよう促した。

 あたしと高坂の隕石魔法の話や、ケルピーと森の話。森の精霊の話、37歳のエルフを我が子供のようにあやすアルフの話では、女王が目に涙を溜めて笑った。


「オホホホ、息子は世話好きとは思うとったが、まさか年上の者まで可愛がるとは、それは見ものであったろうなぁ。」と笑顔の女王が言えば、ミトレスが


「しかもピンクのエプロン着て、抱っこ紐であやして、寝かしつけていました。」


 と言うと女王は悶絶して、咳き込んでダンビラスさんに背中をさすられていた。


 こんな女王をアルフに見せられなくて、残念だなぁ。


 そしてあたしに、これならいつ結婚しても安心じゃなと言った。


 本当に楽しい晩餐だったので、これからの王宮暮らしも案外、心配する程ではないかと、この時のあたしは思えたのだった。

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