第37話 王宮にて作戦会議です

 女王やダンビラスさんと話し合う前に部屋で身なりを整えてから、待機するように言われた。王宮に王太子の婚約者として、部屋を用意されていた。


 す、すごい豪華な部屋!!

廊下を挟んで、アルフの部屋の真向かいに部屋を作ってもらっていた。部屋に入ると、まずは広い応接間がある。中央にシャンデリアですよ!自室でシャンデリアって。


 ソワソワしながら、こんな豪華な部屋頂いて、申し訳ない。良いのでしょうかと聞いたら、王太子の婚約者にみすぼらしい部屋を与える訳がないと、笑われた。


 応接間を真っ直ぐ行くと階段があり、上に行くと会議室がある。広いのでここでアミダラさん達と、お茶会も出来そう。しかもトイレも付いて居て、バルコニーにも出られる。


 応接間の右のドアを開けると左に執務室、右の階段を上がると図書室がある。ロフトタイプで、図書室に手摺が付いていて、そこから執務室に居る者と会話が出来る。


 そして、応接間の左のドアを開けるとかなり広い寝室とその部屋の階段を上がるとドレッシングルーム、寝室の奥にトイレと洗面台兼脱衣所があり、更に進むと浴室がある。


 応接間を真っ直ぐ行くと階段の隣にドアがあり、入るとちょっとしたコンロや食事が取れるダイニングテーブル、水回りなどのミニキッチンがある。ここの階段を上がるとバルコニーがある。


 そう、まるでちょっとした一軒家位の大きさ。


 まずは浴室に行き、汗を流した。キャンピングカーにシャワーが付いていたが、お風呂でゆっくり体をほぐしたかった。メガエラさんの助けを断って、一人で入らせてもらった。大理石と石の彫刻、浴槽には花びらが浮かべられていた。

 オウ!これは見たことのある、シャンプーやコンディショナー、ボディシャンプー、洗顔料まで。しっかり日本製。芸が細かいわアルフ。あたしが家で使っているメーカー何故知った?母に確認した?


 この世界でも安心して過ごせるように、とのアルフの優しい心配りが今は素直に、とても有難い。

 すっかりリラックスして、ロープを羽織り、寝室2階のドレッシングルームに行った。ウハァ、、見事にドレスだらけ。なるべくゴテゴテしていない、シンプルで動きやすそうなものを選んだ。

 そこで姿見の鏡があったので、初めてちゃんと自分の姿を見た。


 あまりに驚いて、最初は自分と気が付かなかった。まず、胸が大きい。真正面から見ると、ドンと主張していた。肌も白くなっているが、お風呂に入ったせいか、艶やかで頰が紅潮していた。

 そして、目がヤバイ。基本は透明の黄色っぽくて、瞳の中の虹彩が正に虹のように、オパールみたいな模様が見えた。角度によって、青や紫、赤、オレンジ、緑と色が変わる。何これ。

 まつ毛が長くて多い。アルフの毛ブラシまつ毛に、憧れていたけど、これは付けまつげみたいな長さ。エクステ要らずだわ。

 髪の色も基本は明るい栗色。光沢がピンクっぽい虹色にみえた。つまり、全体的に派手になった感じ。


 これなら、アルフの隣に居ても、文句言われなくなるかしら。


 メガエラがコルセットの紐を引っ張っている。


 ウゲ〜〜ッ昼間食べた、レッドホーンのステーキ出ちゃう!!


 ドレスは胸がちょっとキツイので

胸があいているタイプを選ばされた。仕方ないよね。短期間で揃えてもらったのは、前に測ったサイズだもの。丈だけは間抜けに見えないよう。レース等を足してもらい、なんとか格好がついた。

 少し落ち着いた、ギラギラを落とした玉虫色のイブニングドレス。5cm身長が伸びたので、丈が短い。レースを布の切れ目に付け、更に薄いグレーのオーガンジーを沢山重ねて取り付けて、広がるとマーメイドタイプのドレスになった。それに豪華になった。


 アルフのタキシード姿、眩しいです。基本落ち着いたグレーで、光沢だけ虹色。首元のクラバットは王太子付き着付け係の渾身こんしんの結び目。どんな風に結んだのか、解けちゃったら結び直せないだろうな。という作品レベル。


 女王は落ち着いた濃い紫のシンプルなイブニングドレス。女王の美貌には飾り付ける物は無用って感じで、カッコイイ!胸元だけ、どデカイダイヤのネックレスが煌めいていた。



 夕食会は女王がお誕生日席で、Uの字になって座った。

 女王から見て、右側にアルフ、左側にあたし。アルフの隣にダンビラスさん。あたしの隣にシルバニア。


「このメンバーでの食事会は、すこぶる味が美味しく、調子も良くなるので楽しいな。定期的にこれからも行うとしよう。」


 最後のコーヒーを飲みながら、女王からの温かいお言葉を賜った。


 定期的にですか!この緊張感に慣れる日が来るのでしょうかね。アルフと結婚したら、それも致し方無いんだろうなと、諦めの仏の境地であります。


 フゥッ。はっきり言って、彼方の世界からの取り寄せ、伊勢海老やら、神戸牛なんて、緊張感とコルセットの苦しさで、せっかくの味がわからない状態でやした。



 そんで本題。何故今回の対象外の地域に、第3隊の隊長の反応があるのか。

 最初から、やる気が無いのは判っていた。親から無理に参加するよう命令され、誰にも会わないで済む東を選んだのではないかと、ここまでは理解する。しかし、本日の最終日に戻らなかった事。何も狩られず、プライドの高い奴らはほとぼりが冷めるまで、隠れているつもりなのか、面倒だが実際に行って調べてくる必要がある。


 アルフが総指揮者なので、此度こたびの責任はそなたにある。管理能力が無かったというわけだからな、と女王にキツイお叱りを受け、アルフ、マグノリア、シルバニア、ジョージ、オーレンで捜索する事になった。捜索隊指揮はアルフ。マグノリアさんが副隊長。ダンビラスさんが部下のログナーを貸してくれるそうで、影ながら助けてくださるそう。また、今回の事はまだ、公にはしないで欲しいと親族からの訴えがあり、把握出来ていない現状では下手な憶測を生んでしまうので了承した。


 ただ、点数発表と受賞式は延期となった段階で、噂する者は居た。よっぽど強い敵と遭遇し、討伐延期を許されたのではないかとか、戻るのに時間がかかっているだけなら、減点だなとか噂されていた。サボっているとは流石に言われてないようだ。魔物狩好きにとってはそうかもしれない。



 部屋に戻り部屋着に着替えた所で、アルフが来た。

あたしも行きたいと言うと、今回は自分の落ち度だから、春音は待っていて欲しいと言われた。

 あたしが繭状態の時に時間は幾らでもあった。その時に奴らを探そうと思えば幾らでも出来た。ワザと探さなかった。


 まぁねぇ〜。敢えて逃げ隠れしている人を探すのもね。やる気ない奴に説教する心境じゃなかったろうし。いつも、待たせてばかりだから、今回はあたしがアルフを待つ番なのね。

 了解しました。


 明日は行ってしまうので、今日はあたしの部屋でイチャイチャする事にした。


「ドレスの作り直しをやっていれば良いんじゃない?他にも部屋着やら、ラフなの欲しいだろうから、デザイナーのミセスシャリーヌを呼んでおくとしよう。」


 お胸とお尻問題や、身長伸びたので、どれも着れない、またはツンツルテンになっちゃう。でも、全部のドレスを手直しするのは大変とのことで、新規ドレスをいくつか作ってもらう事になった。


 お茶会用にも必要だしね。


 お風呂に一緒に浸かりながら、「春音が前に実験で作った様な、露天風呂が欲しいな。」とアルフが呟いた。

 ああ!アレ?ふむ。アルフが行っている内に、やってみようかな。


 コルセットがキツくて、夕食はろくに食べれていなかった。キッチンでアルフとタマゴサンドを作り、食べていたら、ふと、結婚したらこんな風にアルフと過ごせるんだ、って思って嬉しくなった。案外悪くない。王太子と結婚したら色々大変だろうけど、王太子としてというより、アルフと結婚という所が一番重要ではないかと思った。


 アルフの匂いに包まれて眠る事も、今では当たり前に思うようになった。あたしの安心出来る場所。


ハァッ。すぐ見つかるといいなぁ。何日もかかるのだろうか。


 アルフの腕輪と同じ物をあたしも付けてもらい、アルフを見送った。

 指輪に腕輪でどちらかが使えなくても、何とかなりそうよね。


 おや?ジョージにもお見送りする女性がいた。婚約者のソフィア・ファゴット・マイセン男爵令嬢。青緑色の瞳に薄紫色の髪。線が細くてか弱い印象だった。せっかく討伐が終わり帰ってきたのに、また直ぐ行ってしまうジョージに長々と抱擁し、別れを惜しんでいる。そうか、あたしは討伐の間、一緒だったけど、彼女はずっと待っていたんだなぁ。それは淋しいよね。


 皆が出発した後、彼女もお茶会に誘ってみたら、喜んで参加致します。いえ、参加させてくださいとお目々キラキラさせて言われた。


 うん。女子会やろう!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る