第83話禅定太閤殿下とチーズ

1538年8月「筑前国・大宰府」種子島少弐時堯・10歳


「禅定太閤殿下、寂しくなります」


「麿もでおじゃる、少弐殿と僅かな間とは言え分かれる事になるかと思うと、とても寂しいでおじゃる」


 やはり戻ってくるつもりなのだな。


 まあ京では新鮮な魚介類は食べられないだろうから、俺と一緒に空を駆けた後で海の幸を満喫する愉しみは忘れ難いだろう。いや、磯風を肴に飲む酒がなにより美味いと言っていたから、各種の酒を船で運ばせたら京に残るかもしれない。


「今度の船にはあらゆる酒を沢山運ばせますから、京での生活でも不自由させるような事はございません」


「そうか! それは有り難いことでおじゃるが、少弐が手ずから作ってくれる醍醐の数々は京では食べられないでおじゃる!」


 まずい!


 日本で最初に作られたと言うチーズ・蘇は今でも作られているが、醍醐に関しては製法が既に失われてしまっていた。俺も確たる製法は知らないのだが、まあチーズの一種だと考えればいいから、チーズを醍醐と言って禅定太閤殿下にお出ししたのがとても気に入られたようだ。


 プロセスチーズや燻製チーズは保存がきくが、ナチュラルチーズは保存がきかない。まして牛・山羊・羊から8種のナチュラルチーズ、フレッシュチーズ・白かびチーズ・ウォッシュチーズ・シェーブルチーズ(山羊乳チーズ)・ブルーチーズ・半硬質チーズ・硬質チーズを作っているから、チーズ好きになられた禅定太閤殿下はここが恋しいのだろう。


 特にフレッシュチーズは生鮮食品だから、できたてが最もおいしいし、何よりできて数日以内に食べないといけない。味は熟成工程を経ないために、原料であるミルクの味が強く出て酸味が強いものが多いが禅定太閤殿下はそれが好きなのだろう。


 まあいずれは京でも、牛だけでなく山羊や羊も飼育させる心算だし、チーズ作りだけでなく俺のあらゆる料理法を仕込んだ人間を派遣する。だからその内に下向するなどと言わなくなって下さるだろう。


 だが今は父上様と共に上京して頂けねばならない!


 畿内各地に得た九条兼子の化粧領(3000石)にある城砦と守備兵を確認してもらわなといけない。いや九州に家族が待つ者もいるから、交代要員を送ってやらなければいけない。それに禅定太閤殿下の話では、さらに領地を購入する事も可能だと言う!


 畿内に拠点を得られるのなら、領地からの収穫量で養える以上の兵隊を駐屯させる。いずれは京に攻め上る心算だから、難攻不落の城を築いておくのは大切なことだ!


上京艦隊

第1艦隊・司令長官兼司令官・市丸玄武・副司令官・若林越後守信元

第11戦隊・74門戦列艦2艦(1400兵)

第12戦隊・フリーゲート4艦(800兵)

第13戦隊・フリーゲート4艦(800兵)

第14戦隊・スクナー 12船(360兵)

第15戦隊・ブリック 12船(360兵)

第2艦隊・司令官・波多下野守興・副司令官・肥後雲長

第21戦隊・合関船  12船(1080兵)

第22戦隊・合関船  12船(1080兵)

第23戦隊・合関船  12船(1080兵)

第24戦隊・合関船  12船(1080兵)

第3艦隊・司令官・奈留盛信・副司令官・時任昭房

第31戦隊・合関船  12船(1080兵)

第32戦隊・合関船  12船(1080兵)

第33戦隊・合関船  12船(1080兵)

第33戦隊・合関船  12船(1080兵)

第4艦隊・司令官・宮里左衛門尉源蔵・副司令官・市丸武義

第33戦隊・合関船  12船(1080兵)

第33戦隊・合関船  12船(1080兵)

第33戦隊・合関船  12船(1080兵)

第33戦隊・合関船  12船(1080兵)

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