第78話5度目の栄達

1538年3月『大隅国・国分清水城』種子島少弐時堯・10歳


「それに禅定太閤殿下、父上だけでなく私にまで官職を進めてくださりありがとうございます」


「殿下とは他人行儀な事を申すことはないでおじゃる、既に我らは義兄弟でおじゃる」


「とんでもございません、妹姫を正室にお迎えしたとは申せ、禅定太閤殿下と私では身分が違い過ぎます」


「気にする事はないでおじゃる、少弐殿が支援してくれなければ都落ちして、乞食のような生活をせねばならなかったでおじゃる」


「とんでもございません、禅定太閤殿下の御蔭で父上様も私も望んでいた以上の官職を賜る事が出来ました」


 九条禅定太閤殿下は、種子島家の九州支配の大義名分が立つように、朝廷での官職を任官させてくださった。


 1番欲していた大宰権帥を父上に任官させてくださり、これで正三位に相応しい官職を得る事が出来た。その上で筑後・肥前・筑前の国司と守護職を追加で任官することになったが、左近衛権少将に叙留されたのはとても名誉な事だ。だがまあそれは、来年以降も献金献納が欲しい朝廷が、近衛中将や権少納言などを来年以降に与える心算なのだろう。


 そして俺も大宰少弐に任じられ、筑後・肥前・筑前の国介と守護代職を追加で任官することになったが、やはり右近衛権少将に叙留されると言う名誉を賜った。


「そうか、少しは役に立ったでおじゃるか」


「少しどころではありません、とても助かっております」


 そう、九条禅定太閤殿下のして下さったことで1番助かったのは、大宰府と国軍団の下級官職を大宰権帥となった父上様や、大宰少弐となった俺が独自で任官させれると言う事だ。そして軍団を国防のための防人と統合する事まで認めて頂けたので、父上様と俺で国防軍を指揮できるのだ。



「種子島左近衛権少将恵時」

正三位・大宰権帥・左近衛権少将

多禰・大隅・薩摩・日向・肥後・筑後・肥前・筑前の国司

多禰・大隅・薩摩・日向・肥後・筑後・肥前・筑前の守護


「種子島右近衛権少将時堯」

正五位上・大宰少弐・右近衛権少将

多禰・大隅・薩摩・日向・肥後・筑後・肥前・筑前の介

多禰・大隅・薩摩・日向・肥後・筑後・肥前・筑前の守護代


大宰帥・従三位相当

右近衛権中将・従四位下相当

大宰大弐・従四位下相当

大宰少弐・正五位上相当

左近衛権少将・正五位下相当

少納言・従五位下相当

「参議」

四位以上の位階を持つ廷臣の中から、才能のある者を選び、大臣と参会して朝政を参議させたもの

「参議任官の条件」

以下のいずれかの官職を務めた経験がある者 蔵人頭・左右大弁・近衛中将(長年務めた場合のみ)・左中弁・式部大輔(侍読を務めた場合のみ)

五ヶ国の国司を無事に務め上げた者

三位の位階を持つ者

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