第67話火山山麓の活用・(蓮華草・向日葵・牧草など)

1537年7月『阿蘇山麓の広大な牧場』種子島右近衛権少将時堯・9歳


「生育は順調か?」


「はい! 想像以上に馬や牛、羊や山羊が好んで食べてくれます」

 

「そうかそれはよかった、これからも田畑にする人手が足りなかったり管理が行き届かない土地、田畑にするのに不向きであったり定住するには危険な土地は牧草地として活用してくれ」


「はい! 火山山麓に関しましては、若様が手に入れて下さいました牧草や緑肥食物を栽培させていただきます」


「蜂蜜が取れる蜜源になる植物や、非常時に食用に出来る植物、薬などに使える植物だけを厳選してある、定期的に生産方を動員して採取してくれ」


「はい、お任せください! 養蜂係の者が既に蜂を放して蜜を集めております」


「そうしてくれ、火山の山麓を有効に使えれば、今よりも多くの民と軍馬を育てることが出来る」


「は! 粉骨砕身働かせていただきます!」


 南蛮商人を通して集めた動植物が、順調に日本の役に立って来ている。蓮華草・向日葵・ムラサキツメクサ・モロコシ・ムラサキウマゴヤシなどを土地の状態に応じて上手く活用することが出来て来た。無理に国を攻め取らなくても、領内の食糧自給率は順調に上昇して来ている。


「蓮華草(レンゲソウ)」

 蓮華の花は、蜂蜜の源として良い「みつ源」となる蜜源植物です。ゆでた若芽は、おひたし・汁の実、油いため他の食用にもなりますし、 民間薬として利尿剤や解熱剤として利用されることがあります。

 乳牛を飼っているところでは飼料にもできますし、休耕田の雑草防止策にもなっります。蓮華の生える中に不耕起直播して乾田期除草剤を使わないですむ方法、蓮華の枯れぬうちに入水、強力な有機酸を出させて雑草を枯死させる方法もあります。ただし蓮華は湿害に弱く、不耕起では連作障害が起きかねません。

 緑肥(りょくひ )・草肥(くさごえ)・牛の飼料とするために、8月から9月頃、稲刈り前の水田の水を抜いて種を蒔き翌春に花を咲かせていました。


「向日葵(ひまわり)」

 ヒマワリの原産地は北アメリカ大陸西部であると考えられていますが、紀元前からインディアンの食用作物として重要な位置を占めていたと考えられます。1510年にスペイン人がヒマワリの種を母国に持ち帰り、マドリード植物園で栽培を開始しました。ヒマワリ油は今も食べられていますが、熟したタネは炒ったり塩ゆでにして食べることができますし、若葉は独特の苦みはあるものの、灰汁抜きすればお浸しや天婦羅として食べれます。茎は牛馬などの肥料として活用することも出来ます。


「ムラサキツメクサ」

 土壌を肥沃にする空中窒素固定作用も評価されており、それゆえ緑肥としても利用されるますが、なによりもハーブとして多用されます。とくに本種に含まれるイソフラボン(ゲニスタインとダイドゼン)とエストロゲンは、女性の更年期症状を抑えるのに使用されてきましたし、咳止めや口内炎の痛み止めに効き、服用すると気管支炎、湿疹、外傷、るいれきに対する治療効果があるとされています。


「モロコシ」

 熱帯、亜熱帯の作物で乾燥に強く、イネ、コムギなどが育たない地域でも成長すます。穀物としての生産面積ではコムギ、イネ、トウモロコシ、オオムギに次いで世界第5位です。穀物として食べた時はソバに似た食感で、北アフリカではクスクスや粥の原材料となります。インドではチャパティなどのフラットブレッドの原材料として使われます。アメリカ合衆国南部では、濃褐色のシロップが作られ、ビスケットにつけて食べられます。漢名は「蜀黍」(しょくしゅ)ですが、現代の中国名は「高粱」(こうりゃん、カオリャン)で、白酒(パイチュウ、中国酒の一種である蒸留酒)、茅台酒(マオタイチュウ)の原材料に、南部アフリカではビールの醸造に使われます。


「ムラサキウマゴヤシ」

牛などに与える牧草として使われるほか、スプラウトの状態でサラダなどに使います。

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