第48話鷹尾湊に築城
1536年11月『筑後国・鷹尾城』種子島左近衛将監時堯・8歳
「若殿、無理なされないでください!」
「うん? 全然平気だぞ?」
「いや、しかし、それ程の大岩を持ち上げられるなど……」
「この程度軽いものだぞ」
俺は直径7m450トン程度の大岩を片手で持ち上げてやった!
この鷹尾城は、同時に築城している江浦城と共に、田尻家から離反した家臣たちを給料制にして手に入れた土地に築いている。筑後国最大の湊・鷹尾湊を種子島家の庇護のもと発展繁栄させるための築城なのだが、莫大な銭と給食用の玄米を投入して日雇い労働者を集めたので、降伏臣従して間もない筑後十五城も家臣を率いて集まっていた
もちろん領民にはタダ働きなどさせないが、税を納めていない国衆・地侍は戦に加わらない代償として勤労奉仕に来ている場合もある。だから俺の力を見せつけ、決して謀叛など企まないように念押しの意味もあって、身体強化魔法を使って築城を手伝っているのだ。
城壁や礎石に使う大石・大岩を運び、地下深くまで井戸を掘り、土塁城壁の外側に濠をサクサクと掘り返した。その姿を間近に見た筑後十五城や地侍はもちろん、領民や鷹尾湊の商人も恐れおののいて俺には逆らわないと心底誓ったようだ。
「若殿、ただいま参じました」
「よく来てくれた因幡守、城の護りは任せたぞ」
「お任せください」
築城中の鷹尾城に、陸軍二千長から海軍に転出し頭角を現した鮫島因幡守宗勝が挨拶にやって来た。筑後を完全に支配下に置くための1つの方法として、圧倒的な海軍力を常駐させる。同時に九重連山などから切り出した材木を使って、フリーゲート・スクナー・ブリックを建造させるつもりだ。さらに言えば小早96船を使って有明海で漁業を行い、筑後の領民が毎日食事で魚を食べられるようにし、余った魚で魚肥を作り田畑の収穫量を増やすつもりだ!
鷹尾城と江浦城は、土々呂湊に続いて国境線を睨んだ防衛拠点の城としての機能と、1国の貿易を司る国際貿易湊としての役割を担う事になった。特に俺が常駐することで、各国各地の商人は種子島・根占・清水国分・徳淵津よりも鷹尾湊に集まり始めた!
鮫島因幡守宗勝・種子島家第11艦隊司令官・小早96船を指揮する
「鷹尾湊」
有明海にそそぐ矢部川の下流右岸に位置し、中世、河港として荘園、瀬高荘など矢部川流域の物資積出港を担った港街。鎌倉期、鷹尾別符とみえ、筑後国一宮、高良大社の別宮で瀬高下荘の鎮守、鷹尾社を支える一方、瀬高荘の倉敷地として年貢やその他の物資の集散基地となっていた。
1548年、国人領主田尻家は鷹尾城を本拠城として鷹尾に拠点を移す。
1570年、田尻氏は、竜造寺氏を攻撃する大友氏から兵船を準備して榎津に在陣するよう命じられており、この頃、鷹尾は田尻氏の水軍基地も担うようになったと思われる。
1547年、府内を訪れた田尻氏は大友氏に贈り物をしているが、その中には鷹尾周辺地域で栽培されたと思われる木綿のほかに、嶋木綿、絹布の緞子、北絹、北黄円など舶来品が多数含まれていた。鷹尾は大量の高級舶来品の調達が可能な発展した国際貿易湊。
戦国武将録・ウィキベキ参照参考
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