第31話父上様3度目の上京・種子島家艦隊
1535年8月『大隅国・国分清水城』種子島左兵衛尉時堯・7歳
父上様が津田監物殿と共に上京されたが、途中でも商売する上に艦隊の1部は蝦夷国・樺太国まで出向いて商売をする。スルメ・干鮭・干ホタテ・干ニシン・干コンブなど俺が欲しい食材や、明国相手に高価に輸出できる商品を大量に仕入れてもらわなければならない。
だからその艦船数や兵力は、まるで戦争を仕掛けるような大軍勢になってしまっている。この辺の説明を事前にしておかないと無用な戦争を引き起こしてしまうので、監物殿の配下と種子島家家老・肥後下総守時典が先行して、各地の水軍大将・湊を支配する大名・国衆に挨拶に回っている。
普通なら色々と面倒な事もあるのだが、根来寺の信用と威光を使い、少し多目に湊の停泊料を支払い、極めて貴重で珍しい商品を購入出来る機会を与える事のより挨拶程度で済んでいる。まあ監物殿が今上帝陛下と公方様の上京命令の勅旨・御教書をもらって来てくれたから、逆賊になる覚悟でなければ表立って入湊を断ることは出来ない。
「父上様、お気をつけて」
「ありがとう、だが心配はいらんよ、左兵衛尉が造らせてくれたフリゲートの部屋は、船の中とは思えないくらい快適だからな」
「お褒めに預かり恐悦至極でございますが、船の中に閉じ籠ると空気が悪くなりますので、適度の部屋の空気を入れ替えて下さい」
「ああわかった、だがガラスの窓のお陰で光も入るし空気の入れ替えも出来る。だが左兵衛尉に心配をかけたい訳ではないから、甲板に出て散歩をするよ」
「はい、そうなされてください」
「ところで今年の献上品の目玉は麝香でいいのか?」
「はい、朝廷でも香は貴重なようで、今上帝や公家衆から届く令状も香のことに触れられています」
「うむ、だが酒も喜ばれているだろう?」
「確かにそうですね」
父上様からみれば、香よりも高級酒を多目に献上した方がいいと言うことだな。こればかりは俺には理解出来ない。100度以上も転生を繰り返しているが、今まで1度も酒を飲めたことが無い、常に下戸の体質に産まれてしまう。1度くらいは酒が大好きで、いくらでも飲むことが出来る大酒豪の体質に産まれたいのに!
「では父上様が今上帝陛下と公家衆に献上するに相応しい酒をお選びください、艦隊にはまだまだ献上品や商品を詰め込む余裕がございます」
「そうか! それは愉しみだな!」
父上様は、公方様や公家衆と酒を酌み交わす非公式な酒席を愉しみにしておられるのだな。まあそう言う席こそが歴史を決めるという1面は確かにあるが、俺には無縁だったな。
「では父上様、酒席で喜ばれる酒の肴も作っておきましょう」
「種子島家上京艦隊・兵力」
合関船 100船 9000兵
ジャンク船 (50兵) 50船 2500兵
ブリック(40兵) 4船 160兵
スクナー(40兵) 4船 160兵
フリゲート(200兵) 3艦 600兵
「種子島家残存艦隊」
小早船(20丁櫓・40兵) 400船1万6000兵
関船 (40丁櫓・90兵) 150船1万3500兵
ジャンク船(50兵) 10船 500兵
総兵力 4万2420兵
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