世界へ

勝利だギューちゃん

第1話

「さあ、行こう」

「どこへ?」

彼女に手をとられる。


「ふたりだけの、世界へ・・・」


返答する間もなく、僕は彼女により、

ある世界へと、誘われた。


どのくらいかかったかは、わからない。

一瞬だった気もするし、数百年かかった気もする。


「さあ、ついたよ」

彼女の声で、眼を開けた。


彼女の名は、笹原照子(ささはら てるこ)

かなり古臭い名前だが、現役バリバリの女子高生。

17歳だ。


僕は、七瀬一彦(ななせ かずひこ)。

彼女と同じクラス。


彼女と言っても、恋人ではなく、3人称の意味。

最初は、それほどでもなかったが、ある共通の趣味で、少し仲良くなった。


冴えない僕とは対照的に、彼女は天真爛漫で自由奔放で人気者。

なので、彼女が僕といると、不愉快に思っている人も多い。


まあ、昔からなので、もう諦めた・・・

世間様は、冷たい・・・


「一彦くん、説明終わった?」

「うん」

「さてと、ここはどこだ?」


辺りを見る。


初めて来る場所だ。

でも、懐かしい。


でも・・・分からない・・・


「ごめん。わからない」

「ここは、君の心の中」

「僕の心?」

彼女は頷く。


「ただし、今のではなく、子供の頃のね」

「子供の頃?」

彼女は再度頷く。


「そしてあそこが、今の君の心の中」

「今の?」

「見てみる勇気はある?」

「拒否権は、ないんだよね」


彼女は、手を握ってくる。


「恋人つなぎだよ」

「えっ?」


【私と一緒に、見よう。今と昔の、君の心の中の差を】


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

世界へ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る