第43話川崎競馬場グルメ2 タンメン おでん 宝くじ購入

12月14日7時00分:川崎駅近くのファミリーレストラン


「今日の昼食は競馬場のラーメンでいいですか?」


「いいよぉ~」


「花子もいいよぉ~」


「はい、ありがとうございます」


 今日も昨日と同じように、朝食バイキングのあるファミリーレストランで朝食を食べることにした。今日は昨日と違って大きな競走が無いから、競馬場内でゆったりと食事が出来ると思ったからだ。そうなると、朝食は野菜をたくさん食べておきたいので、昨日に引き続き朝食バイキングを選択する事になった。


「それでこの後なんだけど、宝くじを買おうと思うんだ」


「いいよぉ~」」


「花子もいいよぉ~」


「いくら太郎君と花子ちゃんが幸運の使者と言っても、流石に宝くじが当選するとは思えないのですが」


「そうだね、僕もそう思うけど、万が一と言う事もあるからね」


「そうですか、勝也さんが買うと決められたのなら、特に反対はしませんが」


「太郎君と花子ちゃんは、宝くじが何なのかもわからないと思うけど、座敷童がやって来た家の主人なら、必ず手を出すと思うからね」


「そうですね、確かにそう言われてみれば、買いたくなるでしょうね」


「現代日本の仕組みを太郎君と花子ちゃんに教えるのなら、住み着いた家の主人がしそうなことは、全部教えた方がいいと思う」


「失礼ですが、勝也さんの趣味嗜好は随分と偏っているように思うんですが?」


「うん、僕もそう思うよ」


「でもどうして急に宝くじを買う気になられたのですが、資金なら競馬で十分稼げるのではありませんか?」


「前にも言ったと思うけど、馬券師として得た収入だと、八百長を疑われて馬主には成れないと思うんだ」


「それはお聞きしました」


「その流れの話なんだけど、綾香さんに馬主になってもらうとして、勝てない馬を厩舎に預けるから、ずっと赤字なんだよね」


「はい、でもそれは、勝也さんから資金提供を受けて、補填するのではありませんでしたか?」


「それが知れ渡ってしまったら、綾香さんが関係する法人は、馬主資格を剥奪されるんじゃないかと思い至ったんだよ」


「八百長の心配がある者から借金している馬主は、公共性の観点から排除すべきと言う事でしょうか?」


「僕が公営ギャンブルの主催者なら、マスコミやファンに疑念を抱かれないように、馬主資格を剥奪するだろうね」


「だから太郎君と花子ちゃんに、宝くじの高額当選を引き当ててもらい、私が換金して表に出すと言う事でしょうか?」


「そう言う事だよ」


「本当にそれで好いのでしょうか?」


「お金だけの事なら、俺は太郎君と花子ちゃんの御蔭で大金を持っているよ。でもね、それはある意味でズルして稼いだお金なんだよ」


「でも誰だって、自分の才能を駆使して働いています! 勝也さんも、才能があるから太郎君と花子ちゃんを託されたんだと思います。そして太郎君と花子ちゃんも、その才能を駆使しているだけです」


「そうかもしれないけど、太郎君と花子ちゃんの年齢で馬券を買うのは法律違反だし、そもそも戸籍がないからね。いや、人間ですらないからね」


「それはそうですけれど」


 段々ファミリーレストランで話せる内容ではなくなって来たので、小声で話すようにした。だけど壁に耳あり障子に目ありとも言うし、制限時間もある。取りあえず話題を変えて、昨日の橋本さんと相談内容を確認することにした。


「まあまあまあ、それは今晩ホテルで話そうよ」


「そうですね、ここで話していい内容ではありませんでしたね」


「昨日の橋本さんのお話をどう思う?」


「養老馬を引き受ける場合は、無料で譲って頂けますが、肉にしないと言う契約書を交わすことでしたよね」


「はい、でもそれについては、僕達も異存はなかったですよね」


「はい、では、神奈川県の馬主になって、弱い馬を預けると言う話の方ですか?」


「そうです、どう思われますか?」


「採算が取れるのでしょうか?」


「そうですね、タイムオーバーせずに、最下位でゴールしたとして、17万円が手に入ります」


「はい、でも預託料が28万円から34万円でしたよね」


「そうです」


「だとしたら、毎月11万円から17万円の赤字になるんですよね」


「そうなりますね」


「それだけのお金があれば、6万円の養老料金で2頭か3頭助けてあげれるんですよね?」


「そうですよ」


「だったらお断りになるのが、今までの勝也さんの方針だったのではありませんか?」


「でも昨日2歳馬の売れ残りの話を聞いてしまいましたから」


「最低300万円以上かかって繁殖育成した2歳馬が、100万円を切る場合があると言う話ですか?」


「そうです、何のチャンスも与えられず肉にされてしまうと聞いてしまうと、僅かでもチャンスを与えてあげたくなります」


「それもあっての宝くじの話なんですね」


「そうです、宝くじで10億の資金が手に入ったら、売れ残った2歳馬を買ってやることが出来ますから」


「私が宝くじで資金を手に入れられたら、表に出て競馬場を活用して馬を助ける。勝也さんが競馬で得たお金を使って、養老馬を助けると言う話なのですね」


「ええ、まあ、そうです。でも全て、太郎君と花子ちゃんが、宝くじの1等を引き当ててくれたらの話です」


「そこまで決断されておられるのなら、いっそ太郎君と花子ちゃんに2歳馬を見てもらってはいかがですか?」


「あ! 安いけど隠れた才能のある馬を探してもらうのですか?!」


「そうですが、無理でしょうか?」


「次に帯広に行った時に、太郎君と花子ちゃんに教えてもらいます!」


「川崎競馬場の賞金額」

JpnⅠ川崎記念競走(優勝賞金6000万円)

1着:6000万円

2着:2100万円

3着:1200万円

4着: 600万円

5着: 300万円

JpnⅠ全日本二歳優駿(優勝賞金3500万円)

1着:3500万円

2着:1225万円

3着: 700万円

4着: 350万円

5着: 175万円

最下級競走

1着:  80万円

2着:  27・2万円

3着:  16万円

4着:  11・2万円

5着:   9・6万円


「川崎競馬場の預託料・出走奨励金・着外手当」

預託料    :28万円~34万円

在厩馬出走手当:10万円

在厩馬着外手当:4万円

(馬主協会  :3万円)


「神奈川県川崎競馬組合の助成」

1:新馬購入助成(申請先着順130頭まで)  :60万円

2:着外手当を上乗せ支給           : 3万円

3:JRA認定2歳馬入きゅう助成(15頭まで):50万円

4:特別競走以上の競走において本賞金に手当を上乗せ支給

重賞競走で入着すると特別奨励金として賞金額の1・75~2%支給

準重賞競走や特別競走で優勝すると賞金額の2%を支給

5:川崎競馬場所属騎手を騎乗させることで手当を支給

川崎競馬場の在厩馬に川崎競馬場の所属騎手を騎乗させると、奨励金として5千円支給

6:古馬ダートグレード競走に出走すると別途出走奨励金を支給

古馬ダートグレード競走に出走すると30万円を支給

優先馬、指定馬として出走するとさらに20万円~50万円を支給

7:一般競走でも奨励金を追加支給

一般競走で入着(1~5着)すると1万円を支給

8: せり高額馬購入助成

4月に実施される抽選で選ばれた後に、2歳までの競走馬をせりで購入した場合、購入額の40%分を支給する(補助上限額200万円)

9:JRAから転入する3歳馬への助成

3歳時(4月以降)にJRAから川崎に転入して3歳中に南関東で出走した場合に、25万円が支給される。(上限頭数100頭)




 朝食を終えた後で、太郎君と花子ちゃんに番号を選んでもらい、その上で直接窓口でロト6とロト7を買ってもらった。ロト7の当選金額が、上限の10億を超えそうだったので、同じ数字を2口買うことにした。もちろん年末ジャンボ宝くじも買ってもらったし、totoビッグも2人に番号を抽せんしてもらった


「太郎君」

totoビッグ :300円×1000口=30万円

ロト6   :200円×1000口=20万円

ロト7   :300円×2000口=60万円

年末ジャンボ:300円×1000枚=30万円

「花子ちゃん」

totoビッグ :300円×1000口=30万円

ロト6   :200円×1000口=20万円

ロト7   :300円×2000口=60万円

年末ジャンボ:300円×1000枚=30万円


小計:280万円




川崎競馬場


 俺達4人は、開門早々川崎競馬場内で遅い昼食を食べることにした。綾香さんが、前々からネットで調べて愉しみにしていた、2号館2階にあるタンメン屋さんをメインに、同じ階にあるにこみ屋さん・フライドチキン屋さん・立喰屋さんで買い食いした。テーブル席のあるお食事処とカフェは、次の機会に行くことにした


「タンメンはどうですか?」


「早く食べたい競馬場のお客さんに合わせた、縮れ細麺が美味しいです。注文を受けてからスープで煮る、キャベツ、もやし、玉ねぎ、にんじん、にらが甘く美味しくなっています。特にキャベツが信じられないほど甘く美味しくなっていますし、一緒に煮られた豚もいい出汁を出していて、スープに野菜の旨味が出て、ラーメン全体を美味しくしています」


「そうですか、だったら僕も食べてみます」


「僕も食べるぅ~」


「花子も食べるぅ~」


「タンメン屋メニュー表」

タンメン    :650円×4=2600円

(トッピング)

揚げ一味唐辛子

ラー油

豆板醤

コショウ

お酢

ニンニクペースト

麺の硬さ:(硬め・やわらかめ・普通)

麺の量:(少なめ、普通、多め+200円)

野菜:なし・増し

牛もつ煮込み  :450円

牛すじ煮込み  :550円

牛もつ煮込み定食:700円

牛すじ煮込み定食:800円

枝豆      :

冷奴      :

アルコール   :


 今日の食事を決めるに当たり、ネットサーフィンで色々調べたのだが、今は取り壊されてしまった3号スタンドにあった『くにともタンメン』で修行したお弟子さんが、2号スタンドで『くにともタンメン』のレシピを守っているのだという。


 鶏ガラと豚骨を6時間煮込み、化学調味料はいっさい使わないというこだわりのスープだそうだ。麺は細目の縮れ麺を使い、ダシのうま味と野菜の甘みがラーメン全体を調和させている。最近まではタンメンだけで勝負していたようだが、来場者数の減少が影響したのだろうか、牛もつ煮込みや牛すじ煮込みなども置くようになっていた。


 俺と一緒にうどんを食べていた太郎君と花子ちゃんだけど、綾香さんが本当に本当に美味しそうにタンメンを食べているので、自分達も食べたくなったようだ。まあそれは俺も同じだったんで、偉そうに食べ過ぎなどとは言えない。


「立喰屋メニュー」

もつ煮込みライス:650円

もつ丼     :650円

煮込み     :450円×1=450円

カレーライス  :600円

(うどん・そば)

カレー :600円×1=600円

スタミナ:500円

(卵・揚玉・わかめ)

天ぷら :500円×1=500円

たぬき :400円×1=400円

わかめ :400円

月見  :400円

かけ  :350円


小計:1950円


 俺はたぬきうどんと煮込みを食べて、太郎君と花子ちゃんはカレーうどんと天ぷらうどんを注文して、2人で仲良く分け合っていた。見ているだけで、こちらの心が温かくなるような光景だ。この後にタンメンを食べたのだから、第1競走のパドックを見に行った時には、もうお腹一杯だった。


 最終競走が合わるまでに、手分けして馬券を買ったり、パドックで食べる料理を買ったりした。特にホテルに持ち帰って食べるおでんは、それぞれが好きな物を好きなだけ買ってタッパーに入れた。


「にこみ屋メニュー」

もつ煮込       :450円×1=450円

鳥ももからあげ(和風):300円×4=1200円

枝豆         :200円×4=800円

(おでん)

こぶ   :100円×3=300円

しらたき :100円×3=300円

大根   :100円×3=300円

さつま揚げ:100円×4=400円

厚揚   :100円×5=500円

いかつみれ:100円×5=500円

合鴨つくね:150円×5=750円

フランクソーセージ:200円×5=1000円


小計:6500円


 そして川崎競馬場では、ネット投票と現金投票ともに1685万6800円づつ勝つことが出来た!


ネット投票:1685万6800円

現金投票 :1685万6800円


 ホテルに戻ってゆっくりしながら、ロト6の結果を確認したが、残念ながら外れていた。お婆さんにも言われていた事だが、今の太郎君と花子ちゃんには宝くじを当選させるほどの能力は無いのだろう。O型気質の所為か、当選するものだと思い込んでいたので、少々落胆してしまった。


 だが直ぐに当然っだと言う思いが湧いて来て、落胆した気持ちは消えてくれ、ホテル備え付けのレンジでおでんを温め直し、4人で他愛の無い話をしながら夜を過ごした。

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