第42話川崎のラーメン店
12月13日7時00分:ファミリーレストラン
今日はファミリーレストランの朝食を食べることにした。朝食の定番であるスクランブルエッグはもちろん、豊富な料理を日替わりで取り揃えてくれている。ホテルなどの朝食バイキングと違って、かなり安いので、味と品数から言えば庶民の味方のような気がする。
玉子料理と野菜をお腹一杯食べたい。特に野菜に関しては、今日の昼食がラーメンで晩飯がコンビニパンの予定だから、出来るだけたくさん食べておきたいのだ。
ファミリーレストランの朝食バイキング(ドリンクバー付き)
「時間」
7時~11時
「価格」
平日 :大人 :680円+税~×2=1360円
:小学生以下:480円又は500円+税~×2=960円
:3歳以下 :無料
土日祝:大人:780円+税~
:小学生以下:480円又は500円+税~
:3歳以下 :無料
小計:2505円
「勝也さん、帯広競馬場に問い合わせさせて頂きましたが、本当に馬主申請されているようですね」
「確認して頂いたようですね」
「はい、お言葉に甘えて確認の電話を入れさせて頂きました。競馬場職員、ばんえい競馬馬主協会、ばんえい十勝調教師会、ばんえい十勝騎手会もそろって、諸手をあげて歓迎されていますね」
「ええ、色々手を貸して下さっています」
「それでどうでしょう、馬を手放したい馬主さんが結構おられるのですが、買われる気はないですか?」
「どう言う意味ですか? 以前ちゃんと言っておきましたよね、肉にされるような馬なら、肉代分を払って引き取りますよ」
「ですが南関で走っていた馬はレベルが高い、高知や佐賀などに持っていけば、馬場も変わって勝てるようになるかもしれないのですよ」
「本当にそう思うのなら、黒崎さんが買えばいいし、今の馬主さんが転厩させればいい。それをしないで俺に売りつけようと言うのは、仲介して小銭を稼ぐ心算ですか? 私達の事を馬の恩人と言いながら、随分と下劣な行動ですね」
「な?! その言いようは失礼ではないか!」
「では何故あなたが買わないのですか?」
「それは、競走馬に絶対はないからで」
「何度も言うが、90万あれば輓馬を3頭救ってやれるんだよ! それを自分が絶対とも言えないような馬を押し付けて、小銭稼ぎしようと言う人間を、下劣と言わずに何といえと言うんだ!」
「祟っれちゃったぁ~」
「花子もそう思う~」
「駄目よ太郎君、花子ちゃん」
「祟られるってどう言う事だい、太郎君、花子ちゃん」
「おじさんや僕達に危害を加えたり騙そうとした人間は、「小袖の手」が御山に報告に行って、祟られる事になってるのぉ~」
「祟られるって何をするの?」
「呪い殺すのぉ~」
「そうだよ、呪い殺すんだよぉ~」
「この基地外共が! お前らなんかとは話しておれんわ!」
黒崎と言う船橋競馬場の馬主は怒って出ていったが、俺にはそんな事を気にしている余裕はなかった。
「太郎君、花子ちゃん、殺すのはさすがにやり過ぎだから、もう少し穏やかな祟りにしてくれないかな?」
「無理だよぉ~」
「花子も無理だと思う~」
「何で無理なのかな?」
「お婆ちゃんは厳しい~」
「花子もそう思う~」
「う~ん、「小袖の手」に、俺が殺さない程度にして欲しいと言ってたって、お婆さんに伝言頼めないかな?」
「今聞いてるから伝えると思う~」
「花子もそう思う~」
「今話を聞いてくれてるの?」
「聞いてるよぉ~」
「聞いてるぅ~」
「そうか、だったらそれでいいよ」
「あの、どこで聞いているか気にならないのですか?」
「こればかりは気にしてもしょうがないよ」
「そう言うものですか?」
「気にしていたら、一緒に夜も寝れなくなるさ」
「あ! それは・・・・・」
「人知の及ばない、神や妖怪の事は空気と同じだと思わないとね、日常生活に差し障りが出過ぎるよ」
「はい、恥ずかしいです・・・・・」
「神仏の前で恥ずかしいと思っても仕方が無いよ、ありとあらゆる場所と時間に神仏はおられるから、人間が何をしようと気にされていないよ。自然にあるがままの姿をお見せすればいいんだよ」
「はい、そうですね」
「お代わりするぅ~」
「花子もお代わりするぅ~」
「よし! 気持を入れ替えてお腹一杯食べようか」
「はい」
黒崎との話は腹立たしいものだったが、心優しい馬主さんから頼まれれば、無償なら馬を引き受けさせてもらっても構わない。いや、九州で消費される馬肉は輓馬が主だが、福島で消費される馬肉はサラブレッドが多いと聞いた。
だったら10万円くらいまでは出してもいいと考えていたが、ネットの現役競走馬オークションのように、100万も200万も出せはしない。それでなくとも関東から北海道まで運ぶのに、馬運車を借りなければならないのだ。
あちこちで見積もりを出させて、どれほど安く抑えても1頭片道10万円以上かかるのだ。それならば、太郎君と花子ちゃんが大好きな、輓馬を助けられるだけ助けてあげた方がいい。
「馬運車代」
大井競馬場から日高:片道10万円
大井競馬場から千葉:片道2万5000円
大井競馬場から茨城:片道2万5000万円
関東圏内(5頭)車:5万~8万
川崎競馬場
この日はJRAの馬も参加する、JpnI級の競走が川崎競馬場で開催されてるため、入場者数が多いと予想されたので、事前にコンビニで食料を買いこんだのだ。その上で、ラーメン二郎の京急川崎店でがっつりと食いだめした。
「さっきの店はどうでしか?」
「次郎にしては珍し麺だったお思います」
「どう言う事ですか?」
「他の二郎ではあまりない食感と香りです。かなり加水率が高いのか、みずみずしい細めの四角い麺でチュルチュルと吸えました。小麦の香りもなんとなく他の次郎と違うと思いました。同じオーション使用でもこんなに変わるんですね」
「へえ~、そうなんですね、スープはどうでした?」
「そうですね、あっさりとした正統派の醤油スープで、くどさがなく、きちんと美味しいと思いました」
「具材はどうでした?」
「チャーシューは厚切りですが柔らかく、他の二郎と比較しても美味しい方だと思います。野菜は柔らかめに茹でてあり、モヤシ9とキャベツ1くらいの割合もよかったです。ニンニクも刻み生ニンニクと言うインパクトのあるタイプでよかったです」
「そうですか、綾香さんが気に入ってくれたのならよかったです」
俺達4人は大ダブルを注文した!
食べ切れないと失礼かと思ったのだが、最近の暴飲暴食で胃腸が大きくなったのか、4人とも食べ切ることが出来た。
そうそう、人気店だと食べれない可能性もあったが、平日の御蔭が外にまでは行列しておらず、店内の順番待ちに並ぶだけで済んだ。ちなみに店の前に来たのは12時半頃だった。
コンビニ代:5000円
「メニュー表」
小ラーメン :730円
小ブタ :830円
小ブタダブル:930円
大ラーメン :830円
大ブタ :930円
大ダブル :1030円×4=4120円
ラーメン代:4120円
川崎競馬場
第68回 全日本2歳優駿(指定交流)JpnIオープン選定馬
(サラブレッド系 2歳 定量)
「あの子脚痛い~」
「花子にも痛いと言ってるぅ~」
「おい、厩務員さん、その馬混合跛行を起こしているぞ、チェックしないと予後不良になるぞ!」
「なんだと?!」
目立ち過ぎだ!
事もあろうに、全日本2歳優駿(指定交流)JpnIの競走で、パドック周回中の馬の跛行を注意する羽目になった。下手をしたら、テレビ中継に俺達4人の顔が流れてしまうかも知れない。そんな事になったら、綾香さんの馬主申請にまで悪影響が出るかもしれない!
いや、まさかとは思うが、座敷童は電波に写るのだろうか?
俺の眼にも他者の眼にも写っているから大丈夫だとは思うが、ヴァンパイアの伝説のように、鏡には写ないとか。そんな特色があったら大問題だ。
そんなゴタゴタはあったものの、船橋競馬場の所属馬が3着に入って健闘した。だがやはり、それ以外の上位はJRA所属馬が独占していた。
だが、そう、だがなのだ!
JRAの馬が参加し、JRAのシステムでネット販売してくれる御蔭で、全日本2歳優駿の売得金額過去最高が5億9215万190円だったのに、今回は7億7301万2500円と新記録となったのだ。
売得金:勝馬投票券の発売金から返還金を引いたもので、これが国庫納付金のもとになる。
それだけではなく、波及効果として全日本2歳優駿競走施行日売得金額も、16億3904万4200円から18億5428万8690円の新記録となっている。
俺達4人は混雑する競馬場で手分けして現金馬券を購入し、ネット投票と現金投票のそれぞれで696万8400円づつ勝つことが出来た。
ネット投票:696万8400円
現金投票 :696万8400円
帯広で輓馬を現金購入した為、手元の非常資金が心細かったのだが、昨日と今日合わせて1400万円補給できた。随分と感覚がマヒしてしまっているが、何時も手元に1000万円以上ないと不安になってしまう。
「勝也さんですね?」
「え~と、船橋で挨拶してくださった馬主さんでしたね?」
「はい、橋本と申します」
「それでどう言うご用件でしょうか?」
最終競走が終わって、4人でホテルの帰ろうとしていたら、どこかで見た事のある人が声をかけて来たのだが、船橋競馬場で名刺交換した人の1人だった。
「黒崎から悪い話を聞かされたんですが、黒崎自体があまり評判のよくない男なんで、真実をお聞かせいただきたいと、勝手ながら話しかけさせて頂きました」
「そうですね、黒崎と言う男は馬喰気質の人間のようですね」
「仰る通りです、今回も他の馬主との間に入って、小遣い稼ぎをしようと目論んでいたようです」
「それで橋本さんは、どう言う心算で話しかけて来られたんですか?」
「養老馬の引き取りとお聞きしましたが、引き渡す方の馬主さんにそれを証明する一筆を頂けるのですか?」
「なるほど、馬を手放す馬主さんからみれば、養老馬になれると安心して手放したのに、いつの間にか肉にされていたと言うような事を心配されているのですね」
「はい、率直に言えばそう言う事です」
「だったらお茶でも飲んでじっくり話し合いませんか?」
「そうして頂けるなら助かります」
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