第20話帯広グルメ2 パン 豚丼 馬主条件

 温泉ホテル:6時00分


「お腹空いたぁ~、サンドイッチ食べたい~」


「花子もお腹空いたぁ~、クロワッサン食べたい~」


 今日も何時ものように、夜明けと共の太郎君と花子ちゃんに起こされた。昨晩は4人で、3食どこで食べるかをネットを調べて決めたから、もうパンが食べたくて我慢できなくなったのだろう。


「何時ものように、顔を洗って歯を磨き、シャワーを浴びてから食べに行こうな」


「わかったぁ~」


「花子歯を磨くぅ~」


「私はシャワーを浴びて来ます」


「あ、僕も一緒にいいですか?」


「あ、はぃ」






 俺達は昨日のようにタクシーを呼んでもらい、帯広市稲田町南8線西にあるパン屋さんに向かった。タクシーがつけてくれた駐車場は広大で、100台くらいなら駐車できそうな規模だった。ネットで検索した時に、11000㎡もの広大な敷地で「日本一の敷地面積」を誇るパン屋さんと書いてあったが、実際に見てほとほと実感できた。


タクシー代:1830円


 十勝産小麦を100%使っていると言うパンが、沢山沢山広い店内に置かれていてた。太郎君も花子ちゃんも、オープンキッチンでパンが焼かれていくのをみたり、沢山のパンから食べるものを嬉しそうに選んでいた。いや、俺も綾香さんも選ぶ楽しみに浸ってた。


 イートインスペースで食べようとしたら、その一角には石臼が展示され、ここの小麦が石臼と水車を使って製粉されていると説明されていた。


メイプルフレンチトースト:138円

とかち牛カレーパン   :194円

パン・オ・ショコラ   :162円

鉄板ピザ        :216円

フライドポテト     :123円

ジェノベーゼのピザ

マルガリータのピザ

カグラチーズバーガー

とろーりチーズパン・十勝牛焼肉

パニーニ(ジャーマンポテト)

白スパサンド

チョココロネ

クリームパン

あんぱん

塩パン

ライ麦パン

クロワッサンえびのスープパスタ

クラムチャウダー    :150円


 正直な話、ついつい買い過ぎてしまった。


 昼には、昨日定休日だった1番人気の豚丼を食べに行くのだ。とてもではないが、朝食だけで食べ切れるような量ではなかった。だがまあいい、パンが1日で腐るはずもない。熱々が美味しい調理パンだけは食べてしまい、餡パンやクリークパン、チョココロネなどの菓子パンは、競馬場で食べるか夜食にすれば済むことだ。


 朝食を食べた後は、昨日の緑が丘公園にタクシーで行く心算だったのだが、広大な敷地を持つパン屋さんは、芝生やガーデンテラスもあり、太郎君と花子ちゃんを安全の遊ばせてあげることが出来た。


パン代:7530円


 パン屋さんから豚丼屋さんの開店時間の11時を逆算し、10時50分には行列に並べるようにした。月曜日だから土日のように並ばない可能性は有るが、豚丼屋1番人気の超有名な店だから、油断する訳にはいかない。


タクシー代:1750円


 15分前には店の前に到着出来たが、既に10人ほどの行列が出来ていた。だが何とか開店と同時に入店できた。


「ご注文は何ですか?」


「4つとも肉大盛で、ロースぶた丼1、ヒレぶた丼1、バラぶた丼2でお願いします」


「はい、肉大盛のロース1、ヒレ1、バラ2で宜しいですか?」


「はい、それで大丈夫です」


「少々御待ち下さい」


「メニュー表」

ロースぶた丼      :780円

ヒレぶた丼       :780円

バラぶた丼       :780円

ロース・バラ盛り合わせ丼:880円

ライス大盛    プラス:120円

肉大盛り     プラス:200円


「美味しぃ~」


「花子も好きぃ~」


「昨日の店とはまた違う美味しさですね」


「そうですね、昨日の店は網焼きで炭火の香ばしい美味しさでしたが、この店はフライパン焼きの、甘く優しくい美味しさですね」


「そうですね、優しい甘さですね。それにロース、ヒレ、バラの3種類を選べるのもいいですね」


「はい、ロースとバラの盛り合わせがありますから、2人いれば3種を1度に食べれますね」


「はい!」


 俺達4人は、昨晩から決めていたように、3種の豚肉を分け合って食べていた。俺と綾香さんは、1枚目は何も振りかけずに店の味を愉しみ、2枚目は店の勧めに従って、バラにはにんにく一味、ロースには山椒、ヒレには胡椒を振りかけて食べてみた。


 肉大盛で味噌汁と漬物がついて980円は、この美味しさを考えれば格安としか言えない。帯広競馬場やとかちむらで豚丼を食べることも考えていたのだが、この美味しさを味わったら他の店で食べるような冒険は出来ない。もちろん昨日の豚丼屋さんは別だが。


ぶた丼代:3920円


 行列に並んでいる人の事も考え、でも太郎君と花子ちゃんをせかす事はせず、それなりの早さで食べ終えて店を出た。


 店外に出てからタクシーを呼び、少々早いが帯広競馬場に向かった。


タクシー代:1660円






とかちむら:


「おう! 昨日のおじさんじゃねえか! 昨日はありがとよ、御蔭で馬に無理させなくて済んだよ」


「いえいえ、全くの偶然と言うか、子供のまぐれ当たりですが、それでもお役にたてれてよかったです」


「おう、本当に助かったよ。それと昨日山本に聞いたんだが、もしかしておじさんが協賛レースをしてくれた人か?」


「もう噂になっているんですか?」


「まあな、個人情報と言うかプライバシーの問題はあるんだろうけどよ、あんだけ協賛してくれると言うのが噂にならない訳が無いよ」


「仕方ないですね」


「で、どうなんだ?」


「え、何がです?」


「それだけ余裕があるのなら、いっそ馬主になってみないか? なる気なら推薦人になってやるぞ」


「いきなりですね、でも駄目ですよ、セミリタイヤ状態なんで、所得が基準を満たしませんよ」


「JRAがか?」


「地方もですよ」


「残念だな、そこのちびっ子たちがいるなら、いい馬主になれると思ったんだがな」


「そうですね、この子達が今後も同じような事が出来るのなら、所得を上げて条件をクリアーすることにしますよ」


「そうかい! だったら俺の名刺を渡しておくから、馬主になる気になったら連絡してくれ」


「ええ、その時はお願いします」


「あの、勝也さん、馬主になるのは難しいのですか?」


「ええ難しいですよ、公営のギャンブルなので、八百長を仕掛ける可能性があるような。いえ、八百長をするかもしれないと疑われるような人は、欠格条件で馬主になれませんし、そもそもかなりの資産や所得がなければ馬主には成れません」


「え~と、JRAと地方で違うような事を言われていましたが?」


「ああ、それは資本力と言うか規模と言うか、地方にまでJRAの基準を持ち込んだら、馬主になれる人がいなくなって、馬が集まらなくなります」


「どう違うのですか?」


「細かな欠格理由は省いて、個人でJRAの馬主になるのなら、資産が7500万万円以上で、過去2年間の所得が1700万円以上で、さらにその所得を今後も継続できる見込みがある事です」


「それは、相当に厳しいですね、地方はどうなんですか?」


「金融資産の状況次第では、年間所得が300万円以上でも許可される場合もありますが、基本年間所得500万以上が条件ですね」


「他に方法はないんですか?」


「法人馬主や組合馬主と言う仕組みもありますが、どうせ馬主になるのなら個人馬主になりたいですね。それに法人を設立したとしても、法人代表者は個人馬主の基準を満たしていないとダメなんですよ」


「そうなんですか、勝也さんはセミリタイアされていて、所得がないのですね」


「ええ、残念ながら」


「もう話終わったぁ~」


「花子、早く入りたいよぉ~」


「そうだね、そろそろ時間だね、じゃあ行きますか」


「はい!」


「中央競馬馬主基準」

A:馬主登録の経済的要件

(1)個人

今後も継続的に得られる見込みのある所得金額が、過去2年間1700万円以上

資産の額が7500万円以上


(2)法人

資本金または出資の額が1000万円以上

代表者について

1:施行規程第7条第1号~第13号に定める事項のいずれにも該当しないこと。

2:申請法人の代表権を持つ役員であること。

3:申請法人の資本金または出資の額の50%以上を出資していること。

4:今後も継続的に得られる見込みのある所得金額が、過去2年間1700万円以上あること。

5:資産の額が7500円以上あること。

6:すでに中央競馬の個人馬主であること。


(3)組合

1:組合員数が3名以上10名以下であること。

2:組合員全員が施行規程第7条第16号に定める事項に該当しないこと。

3:組合員全員について、今後も継続的に得られる見込みのある所得金額が、過去2年間900万円以上あること。

(組合員が軽種馬生産者と認められる場合の所得金額は650万円以上)

(所得金額には、一時的な所得および競馬に関する所得(地方競馬賞金等)は含めない)

4:組合財産として1,000万円以上の預貯金があること。

(預貯金は組合名義(代表者名併記)のものが必要)

(組合財産に対する各組合員の出資比率は、10%以上50%未満)

5:組合員のうちに、個人馬主・法人馬主の代表者又は他の組合馬主の組合員が含まれていないこと。

6:代表者1名が特定されていること。

7:組合契約(組合の意思決定・出資その他の経費負担・組合財産の管理・損益の分配等について定めたもの)が、農林水産省および日本中央競馬会の定める基準に適合していること。



「地方競馬馬主基準」

A:馬主登録の経済的要件

(1)個人

 年間の所得金額が原則500万円以上であること。

 ただし、300万円以上500万円未満の場合でも、金融資産(預貯金、株等)の残高等の状況により登録できる場合があります。(最低所得300万は必要と言う事)

 また、60歳以上の年金受給者(または年金受給資格者)の方は、所得の金額にかかわらず、金融資産(預貯金、株等)の残高等の状況により登録できる場合があります。


(2)法人

1:払込済資本金又は履行済出資の総額が300万円以上であること。

2:直近2年間の決算が連続して赤字となっていないこと。

3:直近の決算において債務超過となっていないこと。

4:法人の代表者の年間の所得金額が、(1)個人の経済的要件を満たしていること。


(3)組合

1:組合名義で300万円以上の定期預金があること。

2:組合員各々の年間所得金額が300万円以上であること。


注:一時的に得た所得(不動産や株式の売却益など)は算入できない


参照参考

JRAホームページ

http://www.jra.go.jp/owner/

地方競馬情報サイト

http://www.keiba.go.jp/

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