第58話調理補佐獣人奴隷(キッチンメイド)

「はい皆さん注目して下さい! 今からサートウ男爵様の指示に従って築城準備を行います。まず従士隊の人たちは、魔獣や獣が襲って来た時に備えて、領民たちの外周を等間隔で護って下さい」


「「「「「おう!」」」」」


「領民の人たちは、新たな砦に使う材木の切り出しと石材の運搬を行って頂きます。材木隊はチェーンソー隊と運搬隊に分かれて下さい、石材隊は沢にある適当な大きさの石を砦まで運んで下さい」


「「「「「はい!」」」」」


「皆さん男爵様の魔道具が見えていますね? あれを通して男爵様は全てを見ておられます、手を抜いた者の食事が並みの食事になりますよ! サートウ男爵家特製料理が食べたいのなら、手を抜く事無く一生懸命働いて下さい!」


「「「「「はい!」」」」」


 俺がモニターを通してみてると、獣人家事奴隷(メイド)の仲間たちから推薦された調理補佐獣人奴隷(キッチンメイド)が従士と領民を指図している。彼女は50人に増えた獣人家事奴隷の中でも、俺を含めた家人の投票で料理上手と認められた者だ。誰だって毎日美味しいものが食べたいのだ、そこに不正や邪念が入り込む余地などない!


 基本は俺が料理をするのだが、それを手助けしつつ料理を覚えるのが仕事だ!


 最初に購入した獣人家事奴隷(メイド)に対しては、俺も震える事無く話すことが出来るようになっていた。下劣な話だが、御主人様と奴隷と言う主従関係が俺の人間不信と対人恐怖症を和らげているようで、徐々に直接会って話せるようになっている。


 その20人の中でも料理のセンスがある者2人を、調理補佐獣人奴隷(キッチンメイド)に抜擢し家中と労働役の料理を作らせている。


 もちろん2人だけで獣人家事奴隷(メイド)50人・従士800兵・領民800人の料理が作れるはずもなく、ハウスメイドやスカラリーメイドが部下として働いているし、労働に不向きな領民の妻子も臨時で働いている。


 1650人前と言う大量の食事を用意するには、1度に大量調理できる煮物が中心になるのだが、皆が大好きなのが甘口のカレーライスとパンプキンシチューだ。もちろんブラウンシチューやホワイトシチューも人気があるのだが、甘味の少ない異世界ではパンプキンシチューの方が人気がある。それとはまた別に、塩味を利かせた肉たっぷりの味噌汁も人気だった。


 海千山千で荒々しい傭兵上がりの従兵も、逃亡奴隷から領民に入り込んだ強(したた)か者も、調理補佐獣人奴隷(キッチンメイド)に胃袋を掴まれて素直に指示に従っている。


 新たに購入した30人の獣人家事奴隷(メイド)からも、いずれは調理補佐獣人奴隷(キッチンメイド)を選抜し、さらに調理補佐獣人奴隷(キッチンメイド)からコックに抜擢する者を育てたい。

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