第116話 生きるは死・死は生きる

杏子が閃いたように、2人に語りかけた。


「今更だけど、死死森霊子って名前おかしくない?」


里奈が一瞬、悲しげ顔をして、返事を返した。


「うん。」


波は杏子に問いかけた。


「何で、今まで不思議に思わなかったんだろ?そう言えば、死別世獄高等学校ってのもおかしいよね?」


里奈が真剣な眼差しで答えた。


「多分、あれの事を死死森って言うんだと思う。」


2人は、里奈の目線の先にある木を見た。


杏子が納得し、頷き話を続けた。


「じゃあ、霊子って死んでるって事?死別世獄って、ここは死の世界の地獄って事?…い…嫌…死にたくない。」


杏子は恐怖に、現実に、耐えられなくなった。


今にも、自殺しそうな勢い。


里奈と波は必死で抑えた。


「杏子、死んだら駄目。」


それでも、振りほどこうとした。


「嫌、嫌、嫌、もう怖い…こんなの死んだ方がまし!」


波は希望をかざした。


「必ず、生きて戻ろう。まだ、諦めちゃ駄目。」


杏子は、暴れるのをやめた。


里奈が呟いた。


「みんなと合流しよう。」


その頃、亮と京介は片手にバットを持ち、霊子を探していた。


一階の教室を、一つずつ教室に入り、バットで戸を破壊し、確認するがいない。


ピアノの、不気味なメロディーが聞こえてくる。


音楽室の方から。


2人は、音楽室の扉をバットでぶち破り、入っていく。


中には、演奏を続ける霊子がいた。


亮が壁にバットで叩き、声を荒げた。


「随分舐めてるな、ぶっ殺されてーか?あぁ!」


霊子は無言のまま、亮にゆっくりと近づく。


亮は怖くなり足が後ろに下がる。


「何だよ。これ以上近づくと殺す。」


それでも、霊子は足を止めない。


バットを、霊子の頭部を目掛けて振った。


鈍い音と共に、京介はやってしまったと、不安にあられた。


しかし、その不安は直ぐに拭われた。


霊子の額から、血が流れ地面に落ちた。


ぽた…ぽたた。


霊子は両手を伸ばし、亮の首に手を回し引き千切った。


千切れた首筋から滝が流れるように、血が溢れる。


亮の頭を持ち、京介に近づく。


「カエシテ…カエシテ、私の…カエシテ」


京介は完全に腰が抜け動けない。


体を引きずりながら、霊子に背を向け逃げる。


しかし、距離は縮まらない。


亮のバットを持ち、後頭部目掛け、バットを叩きつけた。


ごきんと、鈍い音をさせた。


小さい悲鳴。


霊子は滅多打ち。


頭が割れた、亮の頭を適当に投げた。


京介の割れた頭部に、手を入れ、脳味噌を取り出し、口に運んだ。

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