第117話 生きるは死・死は生きる

むしゃむしゃ。


霊子は、満足気に食べている。


脳味噌を見つめ、ハンバーガーを喰らうよう口にし、歯に力を入れ噛みちぎると、血が肉の油のように出て来た。


全てを平らげ、完食した。


「さぁ、新しい記憶を…アハハハハハ」


記憶の追憶。


亮と京介の死によって、脳裏に映像が横切る。


場所は不明。


ただ、壁はなく、空間の色が赤黒い。


まるで異空間のような感覚で、宇宙にいるかのように体は浮いている。


零子は辺りを見渡し、体を宙に浮かばせたまま、進んでも景色も色も変わらず、不気味な赤黒いまま。


零子は状況を整理する為、顔半分に手を当て記憶を辿った。


「ここはどこ?私は確か吉沢先生を殺して、私も死んだはず…人を殺したから…地獄なのかな?」


すると、空間は変化した。


赤黒いだけの世界が、次第に無数の数え切れない程の人の顔が、空間を埋めていく。


だが、どの顔も苦しそうな顔。


叫びを上げている顔。


泣き喚く顔。


目玉がない顔。


顔の半分がない者。


色々な苦しみや悲しみの顔。


零子は開き直り、高笑いをした。


「ふふ、アハハハハハ…やっぱり地獄だな…ここは、私は罪人に罰を与えただけで…地獄?…殺す…殺す………殺す!」


零子は次第に、殺人をした時の顔付きになった。


苦しむ顔を、握り潰した。


「地獄で泣き喚くな!」


すると、握り潰した顔の部分から、小型車位の丸い光が見える。


空かさず、零子は光を手に取った。


映像が途切れた。


どうやら、今ので2人分みたいだ。


全てを殺せば分かる事。


今は、この血の洪水を楽しみましょう。


次は誰にしようかな。


ふふ。


零子は、亮と京介の頭と死体を掴み、開かずの間に運んだ。

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