第108話 あの日の始まり

陽を全部平らげた霊子は、まるで好きな食べ物を食べた、子供のように満足げにしていた。


霊子は2人の足を残して、開かずの間に引きずりながら、どこか痛めつけるように運んだ。


開かずの間から出ると、霊子は体育館に向かった。


首や両手、体ごとだらんとぶら下げ、歩いた。


体育館に着くまでに、誰1人合わなかった。


体育館に着くと、霊子は拓己と小平の吊るされた肉塊を見た。


霊子はクスっと鼻で笑い、吊るされた死体を降ろした。


霊子は開かずの間に運んだ。


これで、開かずの間に収められた死体は14人。


後、半分くらい。


霊子は楽しげに、1人ごとを言った。


「あー、早く皆んなで楽しく、あの頃に戻りたいな。」


死体の血が付いた指を、口に咥えていた。


悍ましい程の純粋な気持ちで、殺人を繰り返し、死体を集める霊子は、最早、憎しみと愛が溶け合い混じり合う。



霊子は突如歩きだし、血塗られた気配を感じ取った。


職員室の出て直ぐの左曲がり角を進み、奥の部屋に入った。


そこには、2箇所に渡って血の跡があった。


霊子は床に染み付いた血をぺろっと舐めた。


私は分かった、誰の血か。


正木の血。


2つの血痕。


もう一つは友希か。


辺りを見渡しても、死体は愚か人の気配も音すら無い。


霊子は死体を探した。


宝物を落とした少女のように。


復讐を遂げる為に。


私が生きる為に。


渇きを血で潤す為に。


「いない、何処にも、まぁ、明日は学園祭前日は、必ず1人は殺せる。ふふふ…っう頭が…割れる。」


記憶の映像が流れた。

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