第63話 復讐の冷血

吉沢先生は、机の中から作業場所が書かれた紙を取り出し、読み上げる。


「すまんすまん。じゃあ、発表するぞ!」


場所は、1班は体育館、2班は教室、3班は隣の空き教室4班は家庭科室、5班は理科室、6班は2階のホールだ、何か質問あるか?」


生徒同士ざわざわと話しているが、誰も質問する気配すらない。


「よし、じゃあホームルーム終わり。」


それから、今日1日は放課後迄は何も変わらず、1日が終わり放課後を迎えた。


手を伸ばし、固まった体をほぐす里奈。


「霊子、体育館に行くか」


霊子は横にいる里奈に楽しそうな笑みを浮かべた。


「はい。」


2人は席を立ち、京子と人見に手を振り、一緒に行く合図を送った。


人見は言われずとも行く感じだ。


京子は置いていかれないように、駆け足で来た。


隣の人見の鋭い視線に気づき、笑顔で返すも表情は変わらない。


「霊子様、私達の班は何を出しますか?」


霊子は記憶喪失の事を、人見には話していない。


特に隠す理由もなかったが、学園祭の出し物の案など分からなかった。


困り果てた霊子の姿は、人見には考えてるようにしか見えなかった。


里奈は、一足先に気がついた。


「うちらはさ、バスケのフリースローに何か加えた物にしない?」


人見は里奈の意見を聞いて、霊子を見た。


霊子がこの案がいいか確認するため直視した。


「霊子様が良いなら、私は賛成です。」


里奈は片目をウインクさせ京子を見た。


「丁度、京子も経験者だしね。」


京子はバスケと聞いて、自分の得意分野を生かせると生き生きしていた。


「うん。結構上手いからバスケの事は何でも聞いて」


すると霊子が京子に質問をした。


「フリースローって何ですか?」


京子は得意げに締まらない顔で言った。


「コートの決められたラインがあるんだけど、そこからシュートを打つ事だよ。」


実際にシュートを打つポーズをとり、霊子に見せた。


京子は、まだ緩みきった顔をしている。

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