第61話 復讐の冷血

今日もまた、1日が始まる。


始まりとしては、最悪。


霊子は記憶を無くしてから、太陽を見たことがない。


空は雲で覆われ暗くなり、やがて神は涙を流す。


この空は、まるで霊子と神の写し鏡。


神と言う言葉を聞いて、空を見る人がいる。


空に神はいるのか、いないのか。


神は誰よりも正しい、そう言う認識から上の存在と無意識に思うものだ。


神は、誰よりも強い。


神は、誰よりも優しい。


神は、誰よりも正しい。


霊子にとって、神は無に等しい。


悪を裁かず、善は命も心も失う。


正しい事が、力によって塗りつぶされる。


「なら、神を私が、力で喰らうてやるわ。」


神に誰も救えない。


救えるのは、神の目に映る僅かな人だけ。





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