第60話 復讐の冷血

吉沢先生が手の平を叩き、場を仕切り直した。


「仲がいいのは良いけど、喧嘩は程々にな」


亮は不貞腐れるように、小さく呟いた。


「先生は、女子生徒に手を出してるくせに」


呟いた声が上手く聞き取れず、聞き返した。


「なんか言ったか?亮」


亮は慌てるも、上手く誤魔化した。


「いえ、学園祭の事考えたら、口に出してたみたいで」


横にいる京介は、亮の言葉の真意が気になった。


「班決めだが、喧嘩になったら困るからクジ引きで決める。」


残念がる生徒の雄叫びが、木霊するも吉沢先生は聞き入れなかった。


血のように赤く四角い箱に、番号が書かれた黒い紙が31人分入っている。


右側の前方にいる生徒から、順番にクジを引いていく。


霊子は箱に手を入れるも、みんなと離れる事に抵抗するようにじっくりと選んで引いた。


文化祭の役割は、班に分かれている。


1班は死死森霊子、朝比奈人見、東山夏希、村川京子、宮本里奈。


2班は木村友希、白川正木、大川鉄也、三沢瑠璃、小倉春香。


3班は鈴木竜也、山下和樹、森田拓巳、入山小平、早見里見。


4班は谷崎亮、松川京介、石原唯、新井理枝、水野波。


5班は金本彩、河野美雪、大原柚木、水島章、風間真。


6班は神崎潤、本田慎二、吉村秀、津川公平、内田明日香、花守杏子。


で決まった。


里奈は京子と霊子と一緒で、飛び跳ね喜んでいる。


瑠璃は友希と正木がいて、不安は取り除けている。


波は仲の良い人はおらず、気分が沈む。


学園祭の準備は、明日から始まる。


一見クジで決まった班に見える班決めは、命のやり取りが始まる、準備に過ぎなかった。


残酷な運命は、決して光に向かわず、白を黒と血で塗り潰し、次の犠牲者に迫っていた。

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