第48話 1人目

只々、沈黙するしかなかった。


独り言を呟くように、口からこぼれ落ちた。


「霊子…」


時間が経ち、正木と友希が戻ってきた。


入った瞬間に、辺りを見てどういう状況か把握出来た。


何とかみんなで教室を出るも、会話すらない。


解散時、みんなで別れの挨拶をするもの、返事こそ返って来るものの、嘘の笑顔をだった。


里奈には友達ではないと、断定された気持ちで、涙が頬を伝って落ちた。


「じゃあ、また明日ね。」


「おう、明日な」


「バイバイ」


「はい。ではまた明日」


霊子は別れを告げるも、教室に戻り自分の席に座り、隣の里奈の席を見て、昨日と今日の出来事を思い出していた。


18時44分。


ガラっと音がして、音の方に目を向ける。


居たのは、昼間霊子に絡んできた理枝、彩、夏希の3人だった。


霊子は逃げるように出て行こうとするも、理枝が右手を伸ばし道を塞ぐ。


霊子は怯えながらも、震えた声で言った。


「わ、私もう帰るんで通してくれますか?」


彩と夏希は睨みつけ、理枝は右手で霊子の髪を引っ張り掴んできた。


痛みで左目は瞑るように閉じ、理枝を見た。


「痛、話して下さい。」


見下し、笑いながら怒り狂う。


「てめーみたいなぶりっ子は、見てるだけでムカつくんだよ。」


彩は続いて霊子を小馬鹿にして言った。


「そうそう。」


夏希はいじめられている霊子を見て、あざ笑っている。


霊子は腕で振りほどき、当てもなく走った。


理枝達は走って追いかけるも、霊子の方が早かった。


霊子は、体育館側の階段を登り逃げる。


徐々に距離が開き、理枝は彩と夏希に三手に別れ、追い詰める指示をした。


「てめー、待てや!」


「あいつ、逃げ足はえーな」


「おい、三手に分かれるぞ!彩は職員室側の階段から、夏希は音楽室側から回り込め」


「ok」


「さっさと、取っ捕まえよう。」


階段を登るも、霊子が見えない。


理枝は、最上階まで声が届く程の大声で叫ぶ。


「見つけたら、ぶっ殺してやるからな!」

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