第25話 1人目

学校の外に出でて見るも、辺りは無数の木だらけ。


転校2日目の霊子は、どこにグランドがあるか分からない。


「どこに、グランドあるんですか?」


透かさず道を誘導しながら、声をあげる。


「霊子、こっち!」


里奈は前を歩き、後ろを何度も振り返りながら霊子に語りかける。


里奈が立ち止まっている場所の先には、見えない位木に囲まれている。


よく目を凝らして見ると、微かな道があった。


小さな狭い道を通ると、1本道になっていて木のトンネルのようだ。


20秒程歩くと、道を抜けグランドに着いた。


写し出された光景は、ベージュ色のグランド。


僅かな風に乗って行く様に、砂埃が舞っていた。


何より驚いたのは、辺り一帯はまるで囚人を逃がさない為に用意された、フェンスの様に周りは大量の木に囲まれた密閉空間だった。


僅かに違う景色があるのは、上空を見上げると、この悲しい世界に相応しい位、顔を出さない日輪を隠す様に浮いている薄暗い雲。


動揺を隠し切れない霊子だが、どこか喜んでいる自分がいた。


興奮と不安な気持ちで、覚束無いおぼつかない感じで聞いた。


「こ、これがグランドですか?」


気持ちを察し、苦笑いで霊子に顔を向けた。


「だよね。周り木以外何にも見えないもんね。」


「ここの学校が、作為的に作ったんですか?」


「私が聞いた話では、奇妙な事に学校が立ってから急にまるで、学校を逃がさない様に木が生えたらしいよ!」


衝撃な内容に頭がついていかない。


恐怖を覚えた。


その恐怖心は誘う様に、頭にピートントンピートントンと何回も欠けた記憶の中から、霊子に呼びかける。


顔色は真っ青に染まっていく。


「大丈夫?霊子顔真っ青だよ。」


里奈の声に急いで駆け寄る瑠璃達。


「何かあったの?」


「霊子が急に顔、真っ青になったから心配で」


霊子は里奈な前に手を翳し抑止する。


「大丈夫、少し目眩がしただけですから」


瑠璃は顔を覗こうとするもの、微かな横顔しか映らない。


「本当に大丈夫?保健室に連れて行こうか?」


記憶のかけらが言葉を繰り返し、聴こえて来る事を悟られたくない霊子。


「今は大丈夫です。」


「なら、具合悪くなったら言ってよ?」


「はい。ありがとうございます。」

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