第24話 1人目

男子は教室、女子は教室から出て職員室側の廊下を10m程歩くと更衣室があり、そこで着替える。


着替えを終え、全身赤い上下のジャージ姿で体育館に向かう。


授業の始まる10分前に着いた。


だが、まだ霊子達以外誰もいない。


静寂な体育館は霊子達を包み込み、二度と帰る事の出来ないと思わせる。


轟音が、無音な空間に大音を響かせ、入って来る茶髪の少女。


「あれ!瑠璃達だけ?」


茶髪の少女に瑠璃達の目がいく。


ゆっくりと歩き近づいて行く。


「そうだけど、春香1人?」


手を腰にかけ肩を落とし、少し気だるそうに答えた。


「うん。私最後に教室を出たけど、まだみんな来てないんだ。」


教室を間違えたように戸惑いを見せる。


「次の授業体育だよね?」


会話に加わる里奈。


霊子の目線が春香から里奈に変わる。


「私朝授業を確認したけど、1時間目は体育であってますよ。」


すると、友希と正木が呼びに来た。


「もしやと思って来てみたけど、やっぱり体育館にいたか!」


「友希の言った通りだな。」


友希は正木を見て、互いに目を合わせ得意げに笑う。


「次の授業はグランドって、前回言ってだだろう。」


「そうだった。」


来てくれた友希と正木を置いていき、春香は走ってグランドまで駆け抜けていく。


瑠璃達は恥ずかしさを誤魔化す為、直ぐには出て行かなかった。


「じゃあ、先に行ってるぞ。」


「後でねー、死死森さん。」


正木は、霊子に手を大げさに振り去っていく2人。


友希達の姿が見えなくなってから、グランドに向かった。


京子は波の耳元に小さく囁いた。


「只の勘違いで良かったね。」


波は後ろ姿の霊子を、じっと見ながら呟いた。


「そうだね。」

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