第12話 1人目

「あそこの扉の中を、見てみよう。」


人差し指で指した場所は、黒板の左横にある奥の部屋だった。


扉の前に着くと、この部屋には少し埃臭さと、物置と同じ匂いが漂っている。


ガッ、ガチャと鈍い音と共に、扉は開いた。


部屋の中には、使われてない危険な薬品ばかりが、隙間なく棚に並べらている。


中には、死んだ生物を瓶に詰め込んだのもあった。


下には実験結果や、化合式などが書いてある。


ファイルや本が山の様に、散らばっている。


「うわぁ、凄い散らかってるよ!」


腕で口を抑えなければ、居られない程だった。


視界が悪い中、人影が見えた霊子は、体を即座に後退した。


気の強い瑠璃は、人影の前に行き「これ人体模型だよ。」


「人かと思って驚きました。」


ニヤニヤとずる賢い顔をして「霊子は、怖がりだねー!」


よくよく見ると、霊子にしがみつき、ブルブルと震えている波がいた。


開いた口が、塞がらないといった感じで「何やってんの?」


霊子の背中から、半分くらい顔を出して言いづらそうにしている。


「だって、人だと思ったんだもん!さっきの今で、怖い話してたから幽霊かと思って 。」


そんな話を、していると予鈴が鳴った。


「もうこんな時間?」


「結構、話してたからね。」


「じゃあ、この続きは放課後にしよう。」


「すみません。私が話長かったから。」


霊子に気にしないでという意味で、明るく答えた。


「教室に戻ろっか!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る