第3話 1人目

山の頂上に、森に囲まれた廃校のような学校が、聳え立っている。


学校の周りは、まるで無限に続くかのように木々や木の葉があり、太陽は顔を見せず、雲が今にも涙を見せそうだ。


日中にもかかわらず、薄暗く光が入らなく、心霊スポットに来たみたいだ。


学校の門の片隅に、傾いた学校名が書かれた表札がある。


そこには、私立死別世獄高等学校と、赤いインクで書かれており、インクは垂れ文字が滲んでいる。


学校の外壁は、元は白い色だったが、年々薄黒く汚れが目立つ。


大きさは大型スーパー2つ分は、あるかと言う大きさで、十字架の上の部分を無くしたような形をしている。


玄関の扉は観音開きになっていて、見た目とは、裏腹に立派な建物だ。


その玄関前に、セーラー服を着た1人の少女が立っている。


名前は、死死森霊子。


髪は、黒のストレートロングで、体型は細身であるが、細すぎず理想的で、ガラスの玉のような大きく、綺麗な瞳をしている。


鼻筋も通り、顔は整っている。


男なら、二度や三度見してしまうほどだ。


彼女には記憶が無い。


そのせいか、学校へ行く一歩が、中々踏み出せない。


だが、彼女は意を決し、玄関のドアを開けて入って行く。


学校に入ると、木造で出来た下駄箱が無数に並んでいる。


黒い外靴を脱ぎ、学校指定の白い靴を履いていると、目線の先に大人の男性が立っている。


その男性は死死森霊子の、担任の教師で明るく気さくな感じの先生。


黒髪で、耳にかかるくらいのストレートヘアー、常に白いTシャツに、黒いズボンで白衣を着ている。


まるで、病院の先生みたいだ。


名前は、吉沢健。


吉沢健は、死死森霊子に近づき、右手を前に出しながら挨拶を交わす。


「担任の吉沢健だ。うちのクラスメートは、吉健とか、吉沢先生と呼んでる。今日からよろしく!」


死死森霊子は、戸惑いながらも右手を出し、頭を下げ挨拶をする。


「死死森霊子です。今日からお世話になります。」


学校の説明を受けながら、吉沢先生と教室に向かう。


吉沢先生は、言いづらそうに尋ねた。


「死死森さんは、記憶が無いんだよね?何か困ったら何でも先生に頼ってくれ。」


霊子は、先生の顔を見ながら答える。


「はい。記憶が無いんです。


覚えてる事は、自分の名前と、ピートントンピートントンと言う音だけなんです。


でも、いつも心に何か苦しいんです。」


吉沢先生は、苦悶の表情を浮かべる。


「早く記憶が、戻るといいな!うちのクラスは、みんな仲良しだから安心していいぞ。」










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