人の噂も~
異世界に転生して、勇者となって魔王を倒したまでは良いが、余生は結構困ったことになった。
女癖が悪いとか―別にそんなことはなく、ただ単に戦力と気遣いとか性格が合うとか一緒に居て楽しいとか容姿とかで選んだパーティメンバーが女性ばかりだった―、人身売買の亡者とか―別にそんなことはなく、金が余るほどあったので、行く街々で奴隷を買っては自宅である大豪邸で自由に暮らせるようにしてあげた。なお、この世界では奴隷売買は一般的かつ頻繁に行われていて違法ではない―、の悪評が立ってしまった。
さらに、ずっと飲み歩いていて、社会の役に立ってないとか、アルコール中毒だとか。
確かに、飲み歩いているのは事実だが、勇者時代に世話した人達からひっきりなしに誘われるために、断れないだけだ。
魔王とその幹部を倒して平和になった今、勇者であった自分の強さは明らかにオーバースペックであり、魔物を倒したりその他諸々の仕事は、後進の冒険者で十分事足りているために、相応しい仕事がないだけだ。
金があるので働く必要もそれほどない。
あと、耐毒性スキルを持ってるためか、酒を飲んでも酔っぱらうことはない。
勇者時代に世話した人は、恩を忘れることなく接してくれるが、そうでない人達は近づいて来ることはない。
超聴覚とか、読心術とかのスキルを持ってるので、悪い噂をしてるのが聞こえたり、良い印象を持っていないのが伝わるのが悲しいが。
まあ、こちらの世界にも人の噂も七十五日ということわざが、何故か存在するので、七十五日の我慢なのかもしれない。
ただ、この世界。
月が発光してて、だいたい23時間ぐらいで月がこの惑星を一周するのが一昼夜、すなわち一月(ひとつき)という単位で、自転速度が極端に遅く、25年ぐらいで1日という月日の大逆転が起こっているので―ちなみに一年は260日ぐらい―、2000年弱ぐらいかかるのが難点だ。
5000年ぐらい生きる長寿の種族が存在しているので、ちょうど2000年前に前の魔王を倒して世界を救った前の勇者の悪評が未だに鮮明に語られてるのも不安材料だ。
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