5000兆倍加速で最速魔王討伐
色々あってチートを得て異世界に召喚された。
与えられた
1年は、60秒×60分×24時間×365日なので、31,536,000秒。
3000万倍に加速すれば1秒間で1年分動けるということだ。
で、3000万どころか5000兆。
桁が、8つも違う。一秒間が数千万年に相当する。
5000兆倍加速(常時発動、解除不可)の能力で魔王を倒して世界に平和を導く簡単なお仕事だ。
テンプレ通りに良くある草原に降り立って、街なり村なりを探してみる。
少し歩くと、道が見つかった。馬車が通ったような跡があるのでどちらかの方向へ進めば街なり村なりがあるだろう。
途中、魔物に襲われている商人を見つけたが、後回しだ。今にも魔物に食われそうな状態のようで、実際数秒後にはそうなるだろうけれど、俺から見れば止まっているのと同じ。帰り道、あるいは魔王を倒してから戻ってきても十分お釣りは来る。まあ忘れてしまう可能性はあるので、街なり村なりを見つけた後、助けに戻って来ようとは思う。なんせ今は武器も情報も何もない。
しばらく歩くと街に到達した。門番が居るが運よく門が開いていたので、素通りする。
武器屋を見つけて入ろうとドアノブを引くと、ドアノブが爆発した。
神様的な存在の人曰く、
「5000兆倍で動くと実際はあちこちで大変なことが起こるが、元居た世界、地球のあった宇宙とは物理法則やらが微妙に異なっており、魔法的な力もあるので影響は最小限のはず」
とのことだったが、影響大のようである。
確かに、ただ歩く、あるいは体の一部を動かすだけで音速を軽々と超えて空気を押し動かしているので、超ソニックブームが発生するはずだったりするが、まだ確認できていない。もしくは後々起こるのか? 細かいことは考えないでおく。
とにかく、超速でドアノブを引っ張るとドアは開かず、ドアとドアノブが分離し、加速に耐えかねたノブは爆発するらしい。
ギルドにでも行って情報収集しようと思っていた――この世界の文字は読めるので掲示板が確認できたり、ギルド内の書類などを勝手に読むことも可能――が、無理そうだ。
運悪くギルドの扉は閉まっている。今にも入りそうな冒険者風の男が居るが、実時間で10秒ぐらいは後のことだろう。俺の体感だと数億年先だ。待ってられない。
冒険者風から武器を拝借することも考えたが、下手に触れると爆散してしまう恐れがある。
無手のまま、さっきの商人が襲われていたところまで戻る。
適当な棒きれを拾って魔物を殴ろうと考えたが、棒きれも拾ったら爆散した。
仕方なく魔物を素手で殴ってみる。豆腐に指を突っ込むどころか、ほとんど抵抗なく魔物に腕が入った。慌てて引き抜くと手は綺麗なままだった。
魔物には穴が開いたのでおそらく死んだだろう。
商人を今にも噛みそうな魔物をどうしたものかと考え、そっと上から手をのせて下に押し込むと、押し込んだ部分が圧縮されて平たくなった。残った部分も押して行くと、地面に影のような滲みのような黒い塊が残り、魔物の姿は消え失せた。
なんとなく、殴って穴をあけるより、心理的な影響、不快感が少なかったため残りの魔物も平たくする、手間はかかるが時間はたっぷりある。
そういえば、建造物や魔物は軽く触れるだけで破壊してしまうのに地面だけは平気だ。これが神様的の言ってたこの世界の謎仕組みなのか。歩く=足を踏み下ろすだけで大穴が開くと移動すらままならないので助かる。
引き続き魔物を処理し、何体目かでレベルが上がったらしい。この加速状態でステータスが上がることに意味があるのかはわからないが。
それから体感時間で数年、あるいは数十年かそれ以上。疲れないし空腹もその他の生理的欲求も発生しないので、歩き続けた。
魔王を倒すという役目があるのだが、肝心の場所がわからない。そして情報を得る手段がない。海を越えたところなどだと絶望的だと思っていたが、コンピュータRPGやファンタジーの王道として考えられる、少しずつ強い敵が居る方向――強いか弱いかはわからず皆ぺったんこになるので見た目で判断――へと向かっていくと、運よく進軍途中の魔物軍団がおり、それがやってきた方向へと歩くと魔王城っぽい城が見えた。
門は閉まっている。門を押すと押した部分が消滅して手形の穴が開いた。何度も繰り返して通れるだけの穴を開けるのが面倒だったので、試しに門の存在を無視して歩いてみると抵抗なく通れた。門には俺が通り抜けた部分に穴が開いた。
強そうな魔物があちらこちらに居るが、無視して進んで行く。一番奥の豪華な部屋で座っているのが魔王だろう。
豪華な椅子ごとぺったんこにした。
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