速さ社会

ここはとあるカフェ。

「……というわけで速度社会はなくなったわけだ」

「へぇ、でも、それって今でも速度社会じゃない?」

「まあ、名残だよ。皆がお速さございますっていうのもさ」

「今の社会、速いもなにも一瞬じゃん。速さって言葉自体

久々に聞いたよ」

「今は伝達社会」

「機械と機械とのやりとり?」

「いや、人間と人間とだよ」

「えーでもさ、機械のほうが間違いなくない?」

「機械の向上には限界が来たんだよ。

つまり、もう直接人間に付けてしまおうってことだよ」

「えぇ、怖いよ。なんか間違ったら死にそうじゃん」

「そりゃ、死ぬかもしれないね。でも僕ら市民がやるわけじゃないし。

クローンでしょ、ねえ」

「わかったよ、ノンバーバルがいいんだね」

男は女と握手するように口を突き出し舌を絡ませた。

「伝達エネルギー50も消費すんだぞ、残り40であと何人1日で会話できると思ってるんだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る