第2話 分裂

ご存知のように、真田家は分裂する。

徳川四天王の一人、本多忠勝の娘婿になった昌幸の長男信幸は、徳川に忠誠を誓い。

昌幸と次男佐衛門佐は、豊臣に残った。

先年、上田城の城攻めで、徳川七千の兵を、たった二千の兵で撃退して、昌幸には勝算があったのかというと定かではない。

昌幸自身は、上田城の攻防戦の後、関ヶ原では徳川秀忠率い三万八千の軍勢を、わずか三千の兵で防ぎ、秀忠の軍勢は関ヶ原の戦に遅れ。家康を激怒させたと伝わるほどの戦上手であった。

しかし、いくら戦上手であろうと、表立っての戦に忍びの技の意味はない。

戦国時代末期、織田信長により戦法は鉄砲が中心となった。

長篠の戦いでは、織田軍の三千丁の鉄砲隊の前に、戦国最強と恐れられた武田の騎馬隊が、嘘のように砕け散った。

以来、鉄砲の時代となり、忍者の中でも、紀州の雑賀一族や根来一族等は鉄砲で知られることになった。

一方で、伊賀や甲賀をはじめとする。純粋な忍者は、需要が減っていく一方であった。

とはいえ、世は大阪冬の陣が終わって2月あまり。才蔵佐助達10人の主、真田昌幸。幸村親子の高野山九度山への流刑が下されたばかり。

『殿様・・・

 九度山で、我々真田忍者。

 修行をやり直します。』

才蔵と佐助には、九度山が良い流刑場所であった。

流刑の屋敷の周りでは、畑を耕し、野菜を耕作、山では、猪や鹿を狩、川で、魚を釣るという、自給自足が可能。

しかも、役行者が拓いた修験道の修行が盛んな、大峰山が近い。

忍者にとっては、またとない棲みかである。

というような環境で、才蔵と佐助をはじめとする真田忍者が、益々忍法に磨きをかける。

その忍法によって、大阪夏の陣では徳川家康の本陣まで攻め込まれるという危険に晒されることになった。

しかし、真田幸村が鉄砲に倒れて終わった。

『露と落ち。

 露と消えにし

 我が命。

 浪速のことは

 夢のまた夢。』

豊臣秀吉公の辞世であるが。

今でこそ言えるかもしれませんが、秀吉公は愛してはならない女性を愛してしまったと。

自らが先陣を努めて滅ぼした、浅井長政の長女茶々姫。

近江の国の北小谷城陥落により父浅井長政を秀吉に殺され、

母と共に逃れた越前北之庄城でも、義父柴田勝家と母お市の方を、秀吉に殺されて、実父と義父と実母という3人の親を殺された怨みがなくなることなどあるのだろうか。

茶々姫、豊臣秀頼の母、淀殿であることは、あまりに有名。

浅井三姉妹、長女茶々姫が豊臣秀吉は側室。

次女初姫は、京極高次の正室、三女江は徳川秀忠の正室という戦国末期の時代に翻弄されていく。

大阪冬の陣と夏の陣では、豊臣秀吉の側室で三姉妹の長女茶々姫と当時、既に徳川家康より二代将軍の座を譲り受けていた徳川の総大将、徳川秀忠の正室という立場で戦うという数奇な運命。

歴史的な背景を見れば、徳川三代将軍家光の乳母春日原は明智光秀の重臣斎藤利光の娘だのなんのかんのと、非常にややこしい。

時代背景など。この際気にせず、空想妄想に戻って頂きましょう。

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