二、イケメン二人


サポートキャラをするには、まず、ヒロインと仲良くならないと…。

そう思った私は、海宇良日向のクラスを見た。

一組、いない。

二組、いない。

三組、……いた。

そして、私もいた。真琴もいる。

三組にいる攻略キャラは、真琴と、安西友あんざいともがいる。

他は先輩三人と、一年後にくる後輩がいるんだよね。

先輩が多いのは何でだろう?みんな三年生だった。

ゲーム作った人年上好きなのかな?

後輩は…。確か、その子が入学する前にパーティーで会うんだよね。


「お嬢様、行きましょう?」


「うん」


「ふっ、なんか、やけに素直ですね?」


「いつもは素直じゃないってわけ?」


そう言って睨むと、真琴はクスリと笑った。

攻略キャラなだけあって、十五歳だというのに色気がすごい。

……変態だけどね。


「ふぅ…、真琴のその大人の余裕?みたいなの欲しいわ」


「そうですか?私はお嬢様のように子供っぽい方が可愛いと思いますけどね。

下着は大人っぽくてギャップ萌えですが」


「下着……?」


真琴は、ヤバッと呟く。


「下着って何?」


「いえ!何も!」


「真琴のバカ!変態!」


ポカポカと真琴を叩くと、横で、女の子がキャー!と叫びながら転んだ。


あっ、イベントだ!

真琴と日向の出会いイベント。

日向が千景に足をかけられて転ばされる。


……んだけど、私、足かけてないよ?

何故、転んだ?

たまたま?強制力?


「いったぁ…」


ヒロインの日向に大丈夫ですか?と手をさしのべる。

私以外には紳士的なのがムカつく。


「はいっ!でも、足を挫いちゃったみたいで…」


日向は、チラチラと不躾にこちらを見てくる。

何だよ?何か文句でも…ってそりゃあるか。

えぇ、邪魔者は消えますよー。


「真琴、その方を保健室にお連れしてあげて?真琴のことだからここの構図は頭に入ってるでしょ?」


「そうですが…」


「大丈夫。私子供じゃないから」


「分かりました。本当、仕方ないですね。うちのお嬢様は。

ちゃんと教室行けますか?」


「大丈夫」


分かんなかったら訊くし。

大丈夫だし。


「じゃあ、いってきます」


「うん」


真琴は、日向を連れて、遠くなっていった。

私は、その背中を見送り、教室へと向かう。




「あ、あれ?」


人の波に乗ってここまで来たんだけど…。

どこ?教室の札を見ると、三年一組と書いている。


「どうしたの~?」


明るい声が後ろから聞こえ、振り向くと、攻略キャラの青崎蒼祐あおさきそうすけがいた。彼はチャラ男担当。友人は生徒会長で攻略キャラの幹理人もときりひとだ。

現に、蒼祐のとなりに理人がいる。


「えっと、一年生なんですが…」


「迷った?」


「はい……」


「連れてってあげよっか」


「ほ、本当ですか…!……いや!しかし!教えてもらえれば!」


だって、今のお姉さま方の顔!怖かった!


「じゃあ、教えるよ?階段下りて、左、まっすぐいって右、右、左…まっすぐ。で、左…って大丈夫?」


「いえ…、もう、キャパオーバーです」


あれ?前世の私はこの、蒼祐たちと同じ年齢だったんだけど…?

頭のつくりが違う?


「じゃあ、行こう」


「あうっ…」


「後輩は甘えるものだよ?ね、理人」


「そうだな。行こう。俺は幹理人。名前は?」


「七瀬千景です」


「俺は青崎蒼祐だよ、よろしく!」


「はいっ!」


私はイケメン二人に連れられ、一年三組の教室へと向かった。

みんなの視線が痛かったです!









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