第7話 あめがふる

 いかづちの雨が、降り注ぐ。

 そらを引き裂き、大地を穿ち。

 地に住む数多の星の子に、畏怖と狂気を植え付けた。

 そこからだろう。

 哀れで愚かな人の子が、「火」という禁断の果実を手に入れたのは。


 くろがねの雨が、降り注ぐ。

 大地を抉り、焔を放ち。

 地に住む数多の星の子を、貫き深紅の花へと変えた。

 そこからだろう。

 卑しく穢れた人の子が、「害意」という名の誇りを手に入れたのは。


 命の雨が、降り注ぐ。

 大地を潤し、草木を育て。

 地に住む数多の星の子へ、癒しと恵みを齎した。

 そこからだろう。

 滅びゆくべき人の子が、「優しさ」という名の感情を手に入れたのは。


 そうして今日も、どこかで雨が降り注ぐ。

 時に潤し、時に葬り。時に齎し、時に滅ぼし。

 地に住む数多の星の子に、命の巡りを促し続ける。

 そこからだろう。

 死にゆく運命さだめの命の子らが、地球ほしの願いに目を向けたのは。

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そらのゆりかご・Ⅱ まほろば @ich5da1huku

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