第4話 ねがいもとめる

 遠い異国の、小さな灯台で。

 一人の老人が、キセル片手に海を眺める。

 視線の先には、息子の乗った大きな客船。

 どうか願わくば、航海が無事でありますようにと。

 願いを込めて、灯りを点す。


 遠い異国の、小さな観測台で。

 二人の夫婦が、子守りをしながら空を眺める。

 視線の先には、漆黒の海に瞬く無数の星々。

 どうか願わくば、娘に幸せの祝福あれと。

 祈りを込めて、星を観る。


 遠い異国の、小さなオアシスで。

 一人の子供が、バケツ片手に水場へ急ぐ。

 視線の先には、命の水とたわわに実った果実たち。

 どうか願わくば、家族のお腹が膨れますようにと。

 精いっぱいの優しさを込めて、水を汲む。

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