第3話 いのちのな

 その音の名は、命という。

 とくとく、ごうごう、きしきし、ぱきぽき。

 数十億の時を経て、今なお鳴り続ける神秘の音。

 だからだろうか。

 その音を聞くと、無性に安心してしまうのは。


 その味の名は、命という。

 とびきり甘く、とびきり苦く。

 とびきり辛く、とびきり酸っぱく。

 数十億の時を経て、今なお我らを魅了する自然の祝福。

 だからだろうか。

 噛み締めるごとに、涙が溢れそうになるのは。


 その色の名は、命という。

 梅色、空色、琥珀色。

 命やどりしものたちが、みなそれぞれの光を灯す。

 数十億の時を経て、今なお輝き続ける神秘の泉。

 だからだろうか。

 彼らの色を視るたびに、懐かしさを感じてしまうのは。

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