第2話 あなたのおはなし

 そらで会おうと、あなたは言った。

 戦火に塗れた、京の都で。

 断ち斬られた、血まみれの右腕を高く掲げて。

 再び、そらで相まみえようとあなたは笑った。

 遥か昔の、あなたのお話。


 空が青いと、あなたは言った。

 喧噪に揺れる、東の都で。

 白磁の如く透き通った右腕を、紺碧の空に掲げて。

 空は、なんて美しいんだろうと、あなたは笑った。

 今を生きゆく、あなたのお話。


 宇宙そらは飛べると、あなたは言った。

 静寂に包まれた、漆黒の海で。

 白金プラチナに輝く翼を、大きくはためかせて。

 宇宙そらは、なんて心地よいんだろうと、あなたは笑った。

 遠い未来の、あなたのお話。

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