双子の弟
俺には、双子の弟がいる。
顔は似ているが、性格は逆で。いつも喧嘩ばかりしていた。
同じ物を2つ買う余裕のない我が家は、だいたい同じ物を二人で共有する必要があった。
だから、ゲームも一時間交代。
成長し、二人とも大人になると自分で好きな物が買えるようになった。
それなのにーーーー
「なんで真似するんだよ」
「そっちこそ」
悲しいことに、だいたい同じ物を買ってしまう。
そんな弟が、三十歳手前で癌で亡くなった。
「真似するなよ」
「…………………」
俺の命は、あと半年。癌の進行は、双子でも少し違うらしい。
病院を抜け出し、弟と高校まで一緒に過ごした狭い部屋で、二人でクリアしたゲームを最初からプレイする。
「お前、ゲーム上手かったよな。この先、どうするんだ?」
途中から進めなくなり、ゲームを諦めた。
本来の目的を思い出した俺は、押入れの中から、弟の宝箱を引っ張り出した。
「ハハハ」
中には、大量の爪が入っていた。
弟が愛した女の赤い爪だ。異常な性癖。
俺は、その宝箱に俺が愛した女の爪をザザァァと入れ、一緒にした。
「生爪を剥がす時が、一番興奮するよなぁ」
もうすぐ俺は、弟に会える。楽しみで仕方ない。
お前もだろ?
だから、もう少しだけ地獄で待っていてくれな
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