第14話 嫉妬

 食事を済ませて定食屋を出ると門倉が私の手を握り、その手を自分のコートのポケットに突っ込んだ。あまりに唐突すぎて鼓動が急激に速くなる。


「ちょっ……!門倉……!!」

「いいじゃん、たまには」

「良くないよ!会社のすぐそばでこんなとこ社内の誰かに見られたら、どんな噂たてられるか……!!」

「俺は構わんけどな。噂通りになればもっといい」


 私がどんなに手を引っ込めようとしても、門倉は離してくれない。


「ねぇ、離してよ」

「離して欲しいのか?だったら俺の言うこと聞け」


 またからかわれてる……。

 仕方なく素直にうなずくと、門倉は意地悪く笑う。

 まずいな。とんでもない命令されたらどうしよう?!


「じゃあ……離してやるから、今日は家まで送らせろ」

「えぇっ?!それはちょっと……」

「イヤならこのまま会社のやつらに会うまでずっとこの辺歩き回ってやる」

「それも困る……!!」

「じゃあ……ここでキスしてやる」


 門倉が無駄にデカイ手で私の頭を掴んだ。

 こいつ何考えてんだ!!


「それはもっとダメ!」

「じゃあ素直に送らせろ」

「わかった!わかったから離して!!」


 こうなったら門倉が手を離した瞬間に猛ダッシュで逃げてやる。


「言っとくけど、手ぇ離した瞬間に逃げるとかナシだからな。そんなことしたら会社であることないこと言いふらしてやる」

「にっ、逃げないから!」


 完全に読まれてたよ……。ここは素直に従うしかなさそうだ。

 とりあえず手を離してもらって、いつものように並んで駅までの道のりを歩いた。


「門倉ってさ……けっこうヒドイよね」

「そうか?俺は好きな女にはとことん優しくする主義なんだけどな」

「ふーん……。じゃあ私のことはそんなに好きじゃないね」


 自分で言っておいて、なんだかこっぱずかしい。

 門倉は一瞬キョトンとした顔をした後、おかしそうに笑った。


「ホントにおまえは何もわかってねぇなぁ……」


 大きな手が私の頭をワシャワシャと撫でた。

 門倉が優しいのは知ってる。だけど異性として優しくされるのには慣れてないから、急にそうされると否応なく胸が痛いほど高鳴って、やっぱりどうしても落ち着かない。

 それなのに一緒にいるのはイヤじゃなくて、どこか安心感があって、あろうことかもう少し一緒にいたいような気さえしてくる。

 お酒も飲んでいないのにおかしいな。あまりの眠さのせいで思考回路がおかしくなってしまったのかも知れない。


 電車の中で、門倉は私の隣に立って窓の外を眺めていた。その目は窓の外の景色なんかよりもずっと遠くを見ているように感じた。


「篠宮、ホントに座らなくて大丈夫か?」


 私はよほど眠そうな顔をしているんだろう。心なしか眠さのせいで頭がボーッとしている。


「アジフライにはウスターソースよりとんかつソースだと思うんだよね」

「は?」

「この前、社食の味噌汁にピーマンが入ってた。出汁はトマトでじゅうぶんなのに……」

「おい篠宮、寝ぼけてんのか?」


 門倉に肩を掴まれ体を揺すられて、私は今何を言っていたんだろうと首をかしげた。


「報告書はワンタン麺でいいんだっけ?」

「はぁ?やっぱ寝ぼけてんな。おまえここ座れ」


 門倉に手を引かれ座席に座らされた。私の隣に門倉も座る。


「無理やりついてきて良かったわ。着くまで寝てろ、起こしてやるから」

「いや、それはちょっと……」


 確かに眠くて死にそうだけど、寝顔を見られるのは恥ずかしいんだってば。


「つべこべ言うな」


 門倉は強引に私の頭を引き寄せて、自分の肩にもたせかけた。


「こうしてりゃ寝顔も見えん。安心して寝てろ、バカ」

「バカって言う方がバカなんだからね」

「はいはい、おまえのためならいくらでもバカになってやるよ」


 ホントに強引だな、門倉は……。口は悪いし意地悪だけど……優しくて……あったかい。

 体に伝わってくる門倉の鼓動と体温があまりにも心地よくて、目を閉じるとあっという間に眠りに落ちた。



 優しい手が私の肩を抱き寄せて長い髪を撫でた。


『瑞希、大好きだよ』


 私たちはお互いの目を見つめて微笑み合う。

 この先もずっとずっと、誰よりもそばにいられるようにしっかり手を繋いだ。

 繋いだ手を引き寄せてそっと重ねた唇がゆっくりと離れた後、照れくさそうに呟いた。


『ずっと一緒にいような』

『約束だからね』


 ギュッと抱きしめ合ってお互いの名前を呼んで、触れ合う肌の温もりを確かめた。


『瑞希……愛してる』



 誰かが私の肩を揺すっている。


「おい、そろそろ起きろよ」

「……ん……光……」


 重いまぶたをゆっくり開き明かりの眩しさに目を細めた。ぼやけた視界には、悲しそうな目で私を見つめる門倉の顔が映った。


「あ……門倉……」

「……もう着くから起きろ」

「うん……」


 よく覚えていないけれど、夢を見ていた気がする。なんとなく懐かしくて、優しくて温かいのに悲しい夢だ。

 電車を降りてホームを歩きながら、一体どんな夢を見ていたのか思い出そうとした。誰かが隣にいたのは覚えているけれど、それ以外は思い出せない。

 門倉はさっきから黙り込んでいる。

 なんか急に機嫌が悪くなったような……?

 改札口の前で門倉のスーツの袖を引っ張った。


「……なんだ?」

「もうここで大丈夫。駅から徒歩5分だから」

「家まで送るって言っただろ」


 門倉はぶっきらぼうにそう言って、さっさと自動改札機を通り抜けた。仕方なく私もそれに続く。


「どっちだ?」

「あっち」


 駅を出てからの自宅までのわずかな道のりも、門倉は眉間にシワを寄せて黙って歩き続けた。

 さっきまであんなに優しかったのに、急に機嫌の悪くなった門倉に困惑した。重苦しい沈黙に耐えかねて、ほんの少し先を行く門倉の背中に問いかける。


「門倉……なんか怒ってる……?」

「……別に」


 返ってくる言葉はぶっきらぼうで冷たい。

 どうしていいのかわからず黙り込んだままマンションの前にたどり着いた。


「送ってくれてありがとう。うち、このマンションだから」

「……家まで」

「えぇっ……。あとはエレベーターに乗るだけだからホントにもう大丈夫だよ?」

「いいから家まで送らせろ」


 もうかなり眠気も覚めたし、さすがにエレベーターの中では寝ないのに、門倉は家まで送らせろと言って譲らない。家に入るのを見届けないとそんなに心配?

 仕方なくオートロックを解除して一緒にエレベーターに乗った。

 このマンションに越してきてからの5年間、私の部屋を訪れた男性は父、兄、義弟。見事に身内の3人だけ。

 門倉とここを歩いているのは妙な気分だ。

 玄関の前にたどり着きバッグから鍵を取り出した。


「ここだから、これでもう今度こそ大丈夫だよね?」


 私が尋ねると、門倉は苛立たしげに私の手から鍵を奪ってドアを開け、私を玄関に引っ張り込んだ。


「ちょっ……何?!」


 壁際に追い詰められ、長い腕の間に閉じ込められた。突然のことにびっくりして頭が回らない。


「おまえ、俺の名前覚えてる?」


 なんで突然?門倉の名前はなんだっけ?


「えーっと……凌平……?」

「わかってんならあいつの名前なんか呼ぶんじゃねぇよ……。今おまえの隣にいるのは俺だろ?」

「えっ?!」


 門倉が私の体を強く抱き寄せた。


「なんでおまえはいつもあいつのことばっかり……。呼ぶなら俺の名前呼べよ……」

「ねぇ……なんのこと?私、さっぱりわからないんだけど……」

「俺の隣であいつの夢見て寝言で名前呼ぶほどあいつが好きか?」

「えっ?!」


 さっき電車の中で見たのは光の夢?!

 私、門倉にもたれて光の名前呼んだの?!

 いくら眠っていたとは言え、我ながらひど過ぎる。私だって好きな人に同じことをされたら、ものすごく怒るか落ち込むか、とにかくショックを受けるに違いない。


「あの……全然覚えてないんだけど……ごめん……」

「めちゃくちゃ傷付いた。絶対許さん」

「えぇっ……」


 どうしよう……。

 どうしていいのかわからず黙り込むと、門倉は私を抱きしめながら耳元で小さく笑った。


「バーカ」

「……え?」

「ムカつくしショックなのはホントだけどな。おまえにあたってもしょうがねぇし……今回だけは許してやる」


 門倉は笑いながら頭の頭をぐしゃぐしゃに撫で回した。

 良かった……いつもの門倉だ。


「けどその代わり……」


 え、その代わりって何?!

 とんでもない無茶な要求をされたらどうしよう……。


「篠宮」

「ん?」


 名前を呼ばれて顔を上げると、クイッと顎を掴まれた。頭は反対側の手でがっちりホールドされている。


「お詫びにキスさせろ」

「えっ?!」

「あいつとしてたキスよりめちゃくちゃ濃厚なやつ」

「えぇっ?!」


 光としてたキスよりって何?!


「それ……嫉妬?」

「言ったな……?息できなくなるくらい激しいのしてやる。覚悟しろ」


 門倉の顔がゆっくりと近付いてくる。逃れようにも身動きも取れず、あともう少しで唇が触れそうになった瞬間、観念してギュッと目を閉じた。

 やや間があって、額に柔らかいものが微かに触れた。

 ん……?

 おそるおそる目を開けると、門倉は笑みを浮かべて私の頭を撫でた。


「また眠れなくなったら困るから、今日は勘弁してやる。ゆっくり寝ろよ」

「う……うん……」

「眠れなかったら電話しろ。腕枕で添い寝してやる」

「それは要らないよ、バカ……」


 門倉は笑いながら私に背を向けて手を振った。


「じゃあな、おやすみ」

「おやすみ……」


 ドアが閉まった途端、急激に体の力が抜けて玄関に座り込んだ。

 ホントにめちゃくちゃ濃厚なやつされるのかと思った……。

 強引なくせに優しいんだもんな。

 また門倉にドキドキさせられた。門倉は余裕なのに私ばっかりドキドキさせられて、なんだか悔しい。

 でも……そうか、門倉も嫉妬なんかするんだな。光としてたよりも激しいキスさせろとか……。


「あ……」


 そうだ、私はまだ光に返事をしていない。光とのことを迷っているうちに門倉からも好きだと言われて、もう何がなんだか……。

 目を閉じて腕組みをしてかんがえていると、睡魔がやって来て頭がカクンと落ちそうになる。

 ダメだ、今日は難しいこと考えている余裕なんてない。とりあえずシャワーを浴びてさっさと寝よう。



 なんとかシャワーを済ませてベッドに倒れ込むと同時に、枕元に置いたスマホがメールの受信を知らせた。

 メールか……眠いな……どうしようか。内容を確認して、急ぎの用件でなければ返信は明日にしよう。

 眠さを堪えながら確認すると、メールは光からだった。


【お疲れ様。また仕事忙しいのかな。

 次はいつ会える?少しでもいいから会いたい】


 なんだか光に責められているような気がした。

 昨日はやむを得ない状況だったとは言え光との約束を守れなかったし、光の顔をまともに見られる自信がなくて、次に会う約束をしなかった。

 門倉との間にあったことはとても言えない。

 光の気持ちに応えたいと思っていても、どうしても不安が拭い去れないのは確かだし、一緒にいると昔のことばかり思い出して、今はもう昔とは違うと改めて思うことも多い。

 あんなに好きだったのにな。

 5年前の傷は今もまだ癒えることなくズキズキと痛んで、つらかった記憶を呼び覚ます。

 光との別れを想い出と呼ぶにはまだ早すぎる。それなのに私の心は……。


 なんと返信しようか悩んでいるうちにウトウトし始めた頃、またメールの受信音が鳴っていることに気が付いた。


【今日はお疲れ。まだ起きてるのか?

 眠れないなら電話しろよ】


 門倉め、またからかうつもりだな。

 でも夕飯をごちそうになって送ってもらったお礼のメールくらいはしておこうか。

 簡単なお礼のメールを送ろうと文章を作成し始めると、途端にまぶたが重くなった。ウトウトしながら何度も文字を打ち間違えては消す。

 ダメだ、眠くて画面を見てるのがつらい。電話した方が早いな。

 ボーッとした頭で電話帳画面を開き、門倉の番号を探した。

 か……勝山……門倉……あった。

 半分眠りかけながら通話ボタンを押してスマホを耳に近付けると、呼び出し音がふたつめの途中で途切れた。


「もしもし」

「もしもし。眠過ぎてメールするのつらいから電話した。今日はいろいろありがとね。夕飯ごちそうさま」

「え?」


 珍しく門倉からの反応が薄い。だけど眠すぎて長い時間話す余裕もないから、その方が手短に済んで助かる。


「あと、送ってくれてありがとう。門倉がいなかったら間違いなく途中で寝てたわ。私もう眠くて限界だから寝る。腕枕で添い寝は要らないから、じゃあね」


 まるで留守番電話にメッセージを吹き込むかのように、一方的に言いたいことを言って電話を切ろうとした時。


「……瑞希、誰と話してんの?」

「……え?」


 今、瑞希って呼んだ?

 それにあんまり眠くて最初は気付かなかったけど、今のは門倉の声じゃない。


「俺とは会えなくても門倉さんとは一緒にいたんだ。もしかして昨日も?」

「えっ?」


 間違いない……光だ。

 門倉に電話するつもりが、眠さのせいで間違えて光に電話してしまったらしい。一気に眠気も吹き飛ぶほどの最悪の事態だ。


「ごめん……すごい寝不足で残業中に寝そうになってたの助けてもらって、夕飯までおごってもらったからお礼の電話しようとしたら間違えたみたいで……アドレス帳のあいうえお順が勝山門倉で前後で……眠くて限界で間違えたのに気付かなくて……」


 何を言っているのか自分でもわからなくなるほど必死で言い訳をした。


「俺がメールしても返事くれなかったのに」

「それは……」

「俺が家まで送らせてって言っても断るのに、門倉さんには送ってもらって腕枕で添い寝するような仲なんだ」

「違う……そうじゃなくて……」

「ホントは俺のこと迷惑だった?浮気して別れた男なんかって。瑞希が会ってくれるようになったから、瑞希は俺を許してくれたんだとか……瑞希も俺のことまだ少しは想ってくれてるのかなって勘違いしちゃったよ……」


 自嘲気味に笑う乾いた声がした。


「昔と同じだ」

「え?」

「瑞希は毎日残業で帰りが遅くて、休みの日まで仕事に出掛けて……だんだん俺には見向きもしなくなって……ホントは仕事じゃないのかもとか、職場に男がいるのかもって……ずっと不安だった。今だって瑞希が門倉さんといたことを考えるだけでおかしくなりそうだ」

「……そんな風に思ってたの?」

「どんなに俺が瑞希を好きでも、瑞希にとっては俺なんか仕事とか職場の人たち以下だったもんな。仕事がなくて暇をもて余してる時くらいしか、俺とは一緒にいてくれなかった。今もそれは変わってない」


 そんな風に思ったことは一度もなかった。

 昔も仕事は大事だったけど、光を仕事以下だと思ったことなんてないし、今だって仕事がなくて暇をもて余してる時だけ会っているわけじゃない。

 約束した日は急いでなんとか仕事を早めに終わらせて、光と会う時間を作っていたのに。

 だけどそんなのわかってもらおうとは思わないし、きっと光にはわからない。

 光の『一緒にいたい』は、『何年経ってもずっと』って意味だけじゃないんだ。

『できるだけ長い時間を共にしたい』って、もっと言ってしまえば『ずっとくっついてたい』ってことなんだろう。

 どんなに時間をかけて歩み寄ったところで、私が仕事をしている以上、『一緒にいたい』という光の気持ちに応えることはできない。

 これ以上光をガッカリさせるのは忍びない。光には申し訳ないけど、ハッキリ返事をした方がお互いのためだと思う。


「ごめん、光……私やっぱり……」


 やっぱり付き合えないと言おうとした時、それを妨げるかのように光が私の言葉を遮った。


「でも俺は……!瑞希が好きなんだよ……。勝手なのはわかってる。でも好きで好きでどうしようもないんだよ……」


 光の声が震えている。昔みたいに泣いているのかも知れない。


「時々しか会えなくても、仕事以下でもいい。俺は瑞希と会いたいし、瑞希に昔みたいに笑って欲しい……。光が好きだって……一緒にいようねって、言って欲しい……」

「光……」


 電話越しに聞こえる光の声が、完全に涙声になっていた。

 光の気持ちに応えらないならハッキリしなくちゃいけないと思うのに、光を強く突き放すこともできない私はずるい。

 だいたいこんな話は電話でできるものじゃない。


「光……ちょっと落ち着いて。このことは今度ちゃんと会って冷静に話そう?」

「……瑞希にとっては俺のことなんてその程度のことなんだよな。だから離婚する時だって……」

「……離婚する時だって、何?」

「……なんでもない。おやすみ」


 光は感情を押し殺した声で一方的におやすみを告げ、電話を切ってしまった。

 通話の終わったスマホを枕元に置いてため息をつく。

 間違えて電話したのも相手を確認せずにしゃべりだしたのも全面的に私が悪い。それもよりによって門倉への電話を光にかけてしまうなんて。

 門倉の冗談を交わそうと余計なことまで言ったから、更に話がややこしくなってしまったんだろう。


 ベッドに倒れ込んで目を閉じた。光の顔と門倉の顔が交互に浮かぶ。

 私はどうしたいんだろう?二人の男の人から同時に好きだと言われたことなんてなかったから戸惑う。

 光のことは大好きだったから結婚したし、お互いの気持ちが離れてしまったから離婚した。お互いに傷付いて傷付けて、心に深い傷痕が残った苦い経験だ。

 今の光のことはどうだろう?優しくされると不安になるなんて、昔はなかったのに。


 じゃあ、門倉のことは……?

 もちろん嫌いじゃないし、気取ったり飾ったりせず言いたいことを笑って言い合える。最近は一緒にいると安心したりドキドキさせられたり。

 好き……なのかな?ただ居心地がいいだけなのかな?


 自分の気持ちもわからないのに、どうやってその境界線を越えればいい?

 どちらか一人しか選べないのはわかってる。だったら選ばれなかったもう一人はどうなるの?

 ……わからない。何もかも忘れて、とりあえず眠りたい。



 浅い眠りの淵で夢を見た。

 まだ結婚したばかりの頃の光と私が二人で笑っていた。


 大好きだよ。

 ずっと一緒にいようって約束したもんね。

 隣には誰もいないから、安心して。





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